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■『ダレン・シャン』■(映画) 


ダレンシャン
最近のファンタジー物って、いわゆる普通のガキンチョが大活躍するんじゃなくて、やれ魔法使いの子供だったり、ギリシャの神様の子供だったりと、あらかじめ特殊な能力を持っているという設定が多いような気がしますなぁ。

努力しなくても、手っ取り早く大冒険ができるというのは、ものごとの流れるスピードが速い現代にマッチしているのかもしれませんが、今回の『ダレン・シャン』もそう。

主人公はヴァンパイアなんです。しかも、ハーフ・ヴァンパイア。
なんだよ? ハーフ・ヴァンパイアって?

お父ちゃんかお母ちゃんのどちらかがヴァンパイアなのか(『パーシー・ジャクソン~』みたいな)と思ったら、ヴァンパイアになりかけ、という意味でのハーフなんですと。


ま、それはええわいな。
この『ダレン・シャン』、とにかくその内容に正直、呆気に取られたという表現がピッタリな、キワモノ悪趣味珍品映画でありました。

あの・・・これって、ほんとにお子ちゃまたちに人気があるんですか?

というか、同じ原作を元に日本でコミカライズされているらしいんですけど、それもやっぱり今回の映画と同じ内容(やっぱり原作が同じだからそうなんだろうけど)なんでしょうかね?

あ、オープニング・クレジットのアニメーションはなかなか見応えがありましたよ。
まるで、ダニー・エルフマンですかい? ってな感じのスティーヴン・トラスクによるスコアも相まって、掴みは良かったんですけどねぇ・・・。

ダレンシャン1
主人公のダレン・シャン(クリス・マッソグリア)は高校生。女の子にモテモテで成績優秀。
そんな彼にはスティーブ(ジョシュ・ハッチャーソン)という親友がいまして、こいつがいわゆる悪ガキ。でも二人は妙に気が合うのです。

ある日、二人は「シルク・ド・フリーク」というサーカスを観に行きます。
ダレンはそこでクレスプリー(イイ顔俳優のジョン・C・ライリー)という男が扱う毒蜘蛛に惹かれます。
というのもダレンは大の蜘蛛マニア(おいおい、蜘蛛マニアで女の子にモテモテってどういうこった?)だったのです。
一方、スティーブはクレスプリーを見て大興奮!
というのもスティーブはイイ顔マニア、ではなくて、大のヴァンパイア・マニア(なんだよ、この取ってつけたような二人の設定は?)だったのです。
そのクレスプリーこそ伝説のヴァンパイアだったんですねぇ(って、なんでそれが判るんだ? あ、マニアだからか)

ダレンは楽屋に忍び込んでクレスプリーの毒蜘蛛を勝手に持ち出し、スティーブはクレスプリーにヴァンパイアの弟子入りを志願するも、あっさり断られて逆ギレ。

翌日、ダレンは学校へ毒蜘蛛を持って行きますが(だから、そんな奴がなんで女の子にモテモテなんだよ?)、なんとスティーブがそれに噛まれてどエライことに!
慌ててクレスプリーのところへ助けを求めるダレン。
そんな彼にクレスプリーは、ヴァンパイアになるのなら親友を助けてやると持ちかけます。

ってなわけでダレンはハーフ・ヴァンパイアとなりスティーブは助かるのですが、自分がなりたかったヴァンパイアにダレンがなってしまったので逆恨み。
そんなスティーヴのところへ見るからに悪そうな顔をした、これまたヴァンパイアであるマーロック(レイ・スティーヴンソン)という男がやってきて、彼によって目出度く(?)念願だったヴァンパイアになれたスティーヴでありました。

じつは、同じヴァンパイアでもクレスプリーはハト派(なんだか『トワイライト』な設定ですね)、マーロックはバンパニーズというタカ派。この両者は長年にわたって対立していたのでありました。
かくして、ヴァンパイアのハト派とタカ派の闘いは、両者ともにダレンとスティーブというニューリーダーを掲げることで(ってことは親友同士の仲を引き裂いて)さらに展開していく、っていうのは次回以降のお話。


あの・・・、これってヴァンパイア内のお家騒動なだけですやん。
もっと壮大なお話かと思ったら、かなり小さくて狭い世界でのお話でありまして、正直そんなのどっちが勝ってもええやんか、ってなものですが、同じヴァンパイアでもタカ派は人を襲いますがハト派は襲わないというのが信条。
じゃあ、どうやって血を入手するのさ? という疑問がわきますが、まぁそこは映画を観てくだされ(結局、人を傷つけなきゃ血は入手できないんですけどね)。


ま、そんなヴァンパイア間のいざこざはともかく、この映画でビックリしたのは、「シルク・ド・フリーク」なるサーカス。
いや、資料にはサーカスと書かれてますけど、たとえば象の演技や空中ブランコといった、ご家族揃ってワクワク、ドキドキなワンダーランドというのではなく、その名前(フリーク)が示すとおり、「見世物小屋」がその実態。
日本でも新宿の花園神社や大阪の生國魂神社で見られるようなアレですわ。

ま、最近の日本の「見世物小屋」は、その内容はじつに微笑ましい(詳細についてはまた別の機会に書いてみたい)ものになっていますが、この映画に出てくるのはいわゆる畸形の人々を見世物にする、いわば『エレファント・マン』(80)に登場するようなああいう興行。

本作でも「シルク・ド・フリーク」の団長は、身長と頭が異様にデカい(演じるのは世界のケン・ワタナベ。ぬらりひょんのようなデカ頭のアイデアは自ら考えたんだとか)し、
団員にはヒゲ女サルマ・ハエック! 『フリーダ』(02)では眉毛がつながってたし、彼女こんな役ばっか)、
サルの尻尾を持つ女ジェシカ・カールソン。一応、本作のヒロイン)、
なんでも齧る鋼鉄の歯を持った女(リチャード・キールもビックリ!)、
体のあらゆる箇所が再生できる女(愛染恭子もビックリ!)、
胃袋が二つある男(石塚英彦もビックリ!)、
体が異様に細い男
体中が蛇のウロコのような肌で覆われた男
ちっちゃいけど頭だけデカイ男
シャム双生児
ジャワズとE.T.をミックスしたようなちっちゃいおっちゃん(見かけによらずこれが凶暴!)、
そしてやたらと不潔な狼人間(これだけホンモノか?)などなど、
ありとあらゆるそういう人のオンパレード!!

そういう人じゃないけれど、次回以降に出番があるとおぼしきウィレム・デフォーは、『ワイルド・アット・ハート』(90)を凌ぐヘン顔で登場。
また、メフィストフェレスの如き役回りのミスター・タイニーを演じるマイケル・サーヴェリスは、かのディバインを思わせる風貌というように、本作の隅々に漂うアンダーグラウンドな匂いが、どうも鼻について離れない。


で、その「シルク・ド・フリーク」の面々はいわゆる超人というのではなく、外見こそ奇異なれど普通の人々なわけで、ゆえに自分の姿をさらけ出して生計を立てることを余儀なくされている方ばかり。
で、主人公のダレン・シャンは、世間からその身を隠すために「シルク・ド・フリーク」に厄介になるわけですが、あろうことかこのダレン、一団の面々に対して

「僕はあんたらのようなフリークじゃない!」

なんてことを平気でのたまう。

おいおい、アンタが一番フリークやないかいっ!


ダレンシャン2
劇中ではこの「フリーク」という言葉がやたらと飛び出します。
それだけも悪趣味なんですが、さらに悪趣味なのは日本での上映のほとんどが吹き替え版(お世辞にも出来が良いとはいえない。特に主役の声をアテた山本なんとか君ってのと、サルマ・ハエックの声をアテたLilicoさんってのがもう聴いてられないくらいダメダメ)。
つまり、日本語で「フリーク」なんて言葉が平気で連呼されるわけです。

先にも書いたように、本作のコミック作品が日本のお子ちゃまたちの間で人気があるとういうことなんですけど、そこでもやっぱり連呼されてるんでしょうね。
ということは、つまりはその意味もロクに理解できていないガキンチョが、平気で「フリーク」ってな言葉を連呼する(というか、このレビューでも何度も書いてますけど)ってことを考えると、こりゃあファンタジーとかなんとかでは済まされない次元の話じゃないのですかい?


でもね、だからこの映画は唾棄すべき悪趣味映画だ!! と非難するんじゃなくて、こういうシロモノが堂々と、しかもファミリー層向けなんだろうか春休みという時期に公開されるというところが、日本の映画興行の世界もまだまだ捨てたもんじゃないですなぁ、と妙に感心してしまったのでありまして。


少なくとも、ジュヴナイルなファンタジー物なんてもんじゃなく、トッド・プラウニングの『フリークス』(32)、ジャック・カーディフの『悪魔の植物人間』(73)、そしてめでたく(?)DVD化された『怪奇!吸血人間スネーク』(73)『センチネル』(77)の流れを汲むこの作品、せいぜい、お子ちゃまたちにはこの映画を観てトラウマに陥っていただいて、アンダーグラウンドの世界への興味を開花させていただきたいものですな。

(TOHOシネマズ橿原にて鑑賞)

【採点:100点中30点】



※本作のサントラ。
作曲したスティーヴン・トラスクは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を作曲した人。
ダニー・エルフマンの影響が濃いように思ったのは僕だけ?



※原作です。
レビューは概ね絶賛ですね。今回の映画を観る限り、ほんとかな~~~? って思いましたけどね。



※コミカライズ。
原作ファンには賛否両論ってとこですか。今回の映画版もそんな感じですかね。



※丸尾末広の代表作。
コミカライズするなら、この方にしてほしかったですねぇ。



※元祖ダレン・シャン。


※ダレン・シャンの先輩格映画。
劇場公開時のタイトルは『悪魔の植物人間』。
DVD化の際のタイトル変更は、やっぱり問題があったから?
幼い頃になぜか劇場で2回観るハメになってトラウマになりました。



※こちらもダレン・シャンの先輩。
カタルシスあふれる名作、いや、迷作。





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