■『彼岸島』■(映画) 


ヒガンジマ
原作はヤングマガジンに連載されているコミックなんだそうですが、ここ数年、漫画雑誌の類いをまったく読んでないものですから、その分先入観ゼロで観ることができました。
まぁ、それが良かったのかどうかは別として、とある孤島を舞台にそこに君臨するヴァンパイアと、それと戦う若者たちを描いた、ホラー・アクション・ムービー。
海の向こうのヴァンパイア&ラヴ・ストーリー大ヒットの例もあるので、日本でも同工異曲な作品が作られるかと思ったら、こちらはそんな甘い内容じゃないところがまずは潔いです。

でもね、やっぱり原作が長い(んですよね?)のでしょうか、映画はかなり枝葉末節を刈り落としたような内容でありまして、観ていてあちこちに???と思う部分もなきにしもあらず。

高校生の明(石黒英夫)は、学校の不良グループに絡まれそうになるところを、冷(水川あさみ)という謎の美女に助けられます。
ラブホで身を潜める明の横で、真っ昼間からシャワーなんぞを浴びている冷。
おそらくチェリーボーイな明はドッキドキですが、結局何にも起こりません。

かわりに冷は「お兄さんに会ってみな~い?」と。
お兄さんといっても、グラサンに頬にキズのあるような「10分2万円です。文句あんのか、コラァ!」みたいなお兄さんではなく、明の本当のお兄さん篤(渡辺大。『プライド』(09)では女装)のこと。
じつは篤は婚約者の涼子とともに行方不明だったのです。それがもとで、明の両親は夫婦喧嘩が絶えないわ、その両親はなにごとも明よりも優秀な篤と露骨に比較したりして、「篤さえいれば・・・」などと口走る始末。
という、とってもドメスティックな場面が続きます。

それでも篤のことを尊敬している明は、魚屋の息子ケン(ヤンキー。弓削智久)、弓道部のユキ(マスコットガール。瀧本美織)、化学に長けている西山(技術系。足立理)、いつも兄にいじめられているポン(みんなの足を引っ張る。森脇史登)、加藤(デブ。半田晶也)といった、この手の作品には定番な面々の友人たちに、前日出会った冷という女性と失踪した兄になにか関連があることを打ち明けます。
「そのね~ちゃんと、いいコトしたんだろぉ~~~」と下世話なことを言うのはたいがいデブ・キャラで、やっぱり本作でもそれをしっかり踏襲。

そうこうしているうちに、なんとグッドタイミングなことに、彼らの前に冷が、謎の大男とともに姿を現します。二人はとある工事現場へ。
そこには数日前から行方不明になっていた女性が監禁されており、なんと大男はその女性の首筋をチュウチュウ吸っているではありませんか!
それを目撃した明たちは、初めて目の当たりにするSMプレイにドッキドキ。いや、そんな悠長なもの(SMが悠長かどうかは別として)ではなく、異常事態にビックリ!!
が、彼らに気づいた大男はもちろん襲い掛かってくる。逃げ回る明たち。
ケンがつかまって今度は彼がチュウチュウ首を吸われてしまいます。が、冷の機転でもって大男は倒されるのでありました。

冷の話では、その大男はヴァンパイアで、自分は彼岸島という島からやってきたとのこと。
島はヴァンパイアに占領され、食料源として活きのいい人間を調達させられている、みたいなことを明に打ち明けます。
チュウチュウされた人はヴァンパイアになるというゾンビな設定ですが、ヴァンパイアの血液&唾液が体内に入らないうちはヴァンパイアにならない(エイズの揶揄でしょうか)ということで、とりあえずケンは大丈夫な様子。
そして、明の兄、篤は島でヴァンパイアと戦っている。一緒に戦ってくれ、と明に要請する冷でありました。

一晩よ~~~く考えて、明は島へ行くことに。
チュウチュウされたのに冷の話を信じないケン以下仲間たちでしたが、翌朝、島へ向かう明の冷のもとに集結するという、ちょっといい場面なんかもあったりします。

さて、その彼岸島。地図にも載っていない絶海の孤島。
あちこちに彼岸花が咲いているのでそう呼ばれているそうな。
島は深い霧に囲まれ、コンパスも効きません。
にも関わらず小型の漁船でちょちょいのちょいと到着して、思いっきり和歌山の友ヶ島そっくりな彼岸島に到着します。
僕も小学生の頃に潮干狩りに行ったっけ、友ヶ島。

島に上陸早々に、編み笠にほっかむり姿の時代錯誤な島民がお出迎え。しかし、すでに彼らはみんなヴァンパイア。
あっというまに牢屋に放り込まれる明たち。
そこで順番に生贄にされます、ってんで一番ひ弱そうなポンが選ばれかけるも、男気のあるケンが自ら生贄に。
彼の機転で明たちは牢屋を脱出。しかし、ケンは旧日本軍のコスプレのマッドサイエンティスト、五十嵐(青年座。山本龍二)に『ホステル』(05)みたいな拷問を受けそうになります。

でも、なんやかんやでケンを救出した明たち。でも、ポンはグズグズ文句を言い出して皆からはぐれてしまいます。
これまた、よくある展開。

結局、明たちはヴァンパイアの群れに囲まれ、絶体絶命、となったところに登場したのが、レインコートに身を包み日本刀を振り回し、ヴァンパイアを倒す篤でありました。
おいおい、もっと早く出てこいよ!

兄弟の再会もそこそこに、篤はこれまでのことを語ります。
彼の婚約者涼子はこの島の出身者で、僕たち結婚しま~~~す、と涼子の家に報告にいきますが、島以外の人とは結婚あいならん! と涼子のお父さんは言い放ちます。でも、ルンルン(死語)な二人は観光気分で島の神社を探訪。
誰も入っちゃいけません、と言われている神殿に入る篤。
そこには開かずの扉が。それをいとも簡単に開けてしまう篤。

あらららら、中から飛び出してきたのは全身真っ白で真っ裸な、まるで前衛舞踏みたいな山本耕史。
もとい、山本耕史クリソツな雅(山本耕史。あぁ、ややこしい)というヴァンパイア。

彼は涼子に飛び掛るとその首をチュウチュウ。真っ裸でチュウチュウ。
う~~ん、とってもエロいぞ山本耕史!

雅はあっという間に島民全部をヴァンパイアにすると(大食漢かよ)、大きな御殿を建てて(この島のどこにそんな建材があったんだ?)、お殿様のように君臨しております。

そして、島娘である冷を愛人兼嗜好品として、夜ごと彼女の首をチュウチュウ。
ほんとにとってもエロいぞ&羨ましいぞ、山本耕史!!(このシーンだけでご飯が3杯喰えます)

ま、そんなこんなで、婚約者を殺されその復讐心に燃える篤。そしてそれに連なる明。彼らの前にたちはだかるヴァンパイアのお殿様雅。
そこに突然現れるレジスタンス(奇怪なお面をつけた師匠と呼ばれるおっちゃんがリーダー)の協力を得て、果たして主人公たちはヴァンパイアを倒すことができるのか?
水川あさみもいいが、ソニー損保のCMでおなじみの瀧本美織はいつ山本耕史にチュウチュウされるのか? ってなわけで、物語は怒涛の結末へとなだれ込んでいくのでありました!!


・・・ま、そんな映画です。
まず、地図にも載らない島、という設定が無理がある。
そんな島の出身者の冷が妙に垢抜けているのも不自然。
しかも、雅をリーダーとするヴァンパイアたちが、なんで島から出ないのか? 『サンゲリア』(79)のゾンビだってニューヨークまでやってきたというのに。
また、剣道に長けている明と篤兄弟がチャンバラを披露するのはともかく、化学マニアや弓道部員といった、手に技術をもっている登場人物が、アクション・シークエンスにまったく活かされていない(おそらく原作では活かされてるんでしょうが)。
思わせぶりなお面姿のレジスタンスのリーダーも、結局正体もよくわからないまま。
ほんと、いろいろ突っ込みだしたらキリがないくらい穴だらけのストーリーな上に、クライマックスに登場するモンスターの造詣に、はぁぁぁぁ・・・・。
いかにH.R.ギーガーが映画界に影響をもたらしたかが顕著であります。


見どころといえば生身のアクションと、何度も書きますが妙にエロい山本耕史(一部、お尻丸出しサービス付)くらいなもんで、なんというかいい素材だと思うんですけどそれが活用されてないのはことごとく残念なかぎり。
昨年の『MW』を観た時も思いましたが、原作物を映画化する際は、原作を大切にする作り手の思いも大事だけれど、コンセプトだけを拝借してもっと自由に映画化してもいいんじゃないかと思いますねぇ。
本作を監督したのは『火山高』(01)『オオカミの誘惑』(04)キム・デギュン。
配給はワーナー・ブラザーズということで、世界的な視野を前提にしたがための監督の起用かと思いますが、日本映画なんだから別に日本の監督も良かったんじゃないんですかね。
たとえば、深作健太監督あたりだったら『エクスクロス~魔境伝説』(07)で見せてくれたような映像世界を展開してくれたんじゃないかと思うと、とっても複雑な心境でございます。

ちょっと興味深かったのは、クライマックスの篤と雅の戦いのシーン。
天井から文字が書かれた巻物が幾つも垂れ下がる部屋、というセットなんですけど、どこかピーター・グリーナウェイの映画を思わせるようなコンセプトは、ほほ~~~ぅと思いましたけど、後がイカンなぁ後が。
本作のラストも、まぁよくある結末でありまして、特に意外性もなく、続編製作を見越したようなケースでありました。

あ、そうそう。
けっきょくのところ、瀧本美織はチュウチュウされませんでした。むぅ・・・。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中45点】




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