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◆『ラーメンガ-ル』◆(DVD) 


ラーメンガール2
昨年末に急逝したブリタニー・マーフィ。
彼女の出演作すべてを観たわけではありませんが、その大きな目と大きな口のとっても愛嬌のある表情が魅力的でけっこう好きな女優でもありました。
彼女が西田敏行と共演した映画が昨年公開されたことは知っていましたが、たしか関西での上映はなかったと思う(もし上映されていたのなら、どうもすみません・・・)し、映画そのものの評価もあまり芳しくなかったようで。
そのまま忘れ去っていたのですが、ここにきて彼女の訃報を聞き、追悼の意味も込めて鑑賞してみました。

まず驚いたのは、てっきり日本映画に彼女が出演していたんだと思っていたら、これ、アメリカ映画だったってこと。むしろ、西田敏行のハリウッド進出第一作だったんですねぇ・・・(アメリカ本国ではどうやらいまだに上映されてないみたい。DVDスルーか?)。
とはいえ、みたところ撮影のほとんどは日本(渋谷近辺)で行われているようですし、共演している日本の俳優人もおなじみの顔ぶれだし、日本映画といわれたって遜色のない仕上がりになっています。
なるほど、製作には日本人の名前(奈良橋陽子氏とか)もクレジットされているし、プロデュース兼監督のロバート・アラン・アッカーマン氏は日本で何度も舞台を上演している、いわば日本熟知者。
こういうハリウッド映画で日本が扱われる作品というのは、たいがい勘違いニッポンが登場するのもので、そこをツっ込むというのがこの手の作品の楽しみ方(?)なわけで、本作もそういう視線で観ていたんですけど、そういった日本を熟知しているスタッフによる作品ですから、ツっつこむ楽しみは薄いですが(笑)、概ね違和感のない仕上がりでけっこう楽しく観ることができました。

ラーメンガール2
日本で働く恋人に逢うために、はるばる日本へやってきたアビーさん(ブリタニー・マーフィ)。
しかし、彼はどうやら彼女が日本にやってきたが迷惑な様子。そのうえ転勤が重なってアビーさんの元から去ってしまいます。
傷心のアビーさんが立ち寄った一軒のラーメン屋。
無骨な親父マエズミさん(西田敏行)とおかみさん(余貴美子)が差し出す一杯のラーメンにアビーさんは感激し心を癒されるのでした。
後日、ラーメン屋に弟子入りを決めたアビーさんはマエズミさんの店に押しかけます。
日頃からサントリーの角瓶をあおっている酔いどれ親父のマエズミさんは英語がちっともわからないので、アビーさんをイカれたヤンキー娘と思い相手にしませんが、あまりにしつこいので厨房の掃除や便所掃除を押し付けるのでした。
最初のうちはそれに従うアビーさんでしたが、一向にラーメンの作り方を教えてくれないのでキレる彼女。そんな態度にマエズミさんもキレまくります。その間でオロオロするおかみさん。まぁ、こんな感じでお話は進みます。
ある日、マエズミさんのライバルのラーメン屋ウダガワさん(石橋蓮司)とひょんなことからラーメン対決をすることに。二人の間にはなにやら因縁めいたものがあるようで、互いの弟子の作るラーメンをラーメンの師匠(山崎努)に認めてもらおうと言うのです。
かくして、マエズミさんも本腰を入れてアビーさんにラーメンを仕込むのですが、はたして勝敗は如何に・・・???

ここに、ラーメン屋の客として岡本麗石井トミ子前田健といった面々が登場し、なぜかストリート・ミュージシャン役で1シーンだけ高橋和也が登場という、まんま日本映画。
誤解してるなぁというのは、カルロ・シリオットのどことなくか中華風(ラーメン主体の物語だから、それはそれでいいのかもしれませんけど)なスコアくらいなものでしょうか。

とりわけ、ラーメンの師匠役で本編の最後数分間登場する山崎努の怪演は必見!
なんでも本作の監督は伊丹十三の『タンポポ』(85)にいたく感動しこの映画を作ったそうですが、山崎努の起用もその流れなのでしょう。
でも、役柄は全然違いますけどね(笑)

ラーメンガール3
とにかく、本作のブリタニー・マーフィがむちゃくちゃキュートなんですよ(ま、好みの問題もありますが)。
恋人にフられ、すっぽんぽんの上にタオルだけ巻きつけて、渋谷の町に飛び出す場面とか、初めてラーメンを食べるシーンで、あのラーメン鉢の底を手で受けて(普通、熱くてそんなことできないぞ)麺をすするという、あらあらビックリな場面とか、西田敏行にボロクソ言われ、こき使われた挙げ句、汚い便器(とってもリアルでしたなぁ、あの汚れ)を掃除するなんて、ハリウッド映画ではそうそうお目にかかれません。
あ、これ、ハリウッド映画だったわ・・・。


時に西田敏行に反抗しながらも、これまでの自分を変えるんだ! という信念のもとにラーメン作りに精進する彼女の姿のりりしいことよ。
他にも会社のいいなりになって、自分の可能性を曲げてしまうという日本人の描き方についてもまったく違和感のないもので、作り手の日本人に対する疑問というものが嫌味なく物語に盛り込まれているのも好感持てました。
なかなか映画のようにいかないのが現実だったりするわけですが・・・(苦笑)


ただ、思いのほかしっかりした作りの映画だったのに、惜しいことに肝心のラーメンの作り方に関する部分がまったく描けていない(たしかに玉ねぎとか豚の骨などでスープを取るって場面はありますけど)ので、クライマックスのラーメン対決がまったく活きてこない(先にも書いたように、山崎努の怪演がすべてさらっていきます)のは、本作の致命傷だといっていいでしょう。
なんで『タンポポ』に感銘を受けた監督が、あんな浅い描き方で終ってしまったのか。
シンプルなストーリーを重視して枝葉末節はあえて盛り込まないのは、日本映画とハリウッド映画の作り方の違いといえばそれまでですが、ほんとにそこが残念でしたねぇ。

でも、そんな欠点を補って余りある、ブリタニー・マーフィの好演と表情豊かな彼女の愛くるしさ。
しかし、新作を観ることができないと思うと、こみ上げてくるものを抑えられませんでした。
特にクライマックスの場面は最高! そこんところはぜひご覧いただきたい。

映画としては、諸手を挙げて賞賛するとまではいきませんが、彼女の代表作として挙げるに値する作品だと思いますよ!

合掌。

【採点:100点中60点】


※本作のDVD。おまけ映像としては西田敏行による、撮影の思い出など。
劇場公開は2009年1月だったんですね。







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