■『8年越しの花嫁 奇跡の実話』■(映画) 



はちねんごしのはなよめ
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コンスタントに映画を監督している、瀬々敬久監督の最新作。
昨年は『64』を発表し、今年は本作と同時に『最低』も公開中ということで、ほんとうに精力的だ。

岡山在住のカップルに起こった実話を、自身たちが手記として発表し、TVで取り上げられたことで話題となった。
いわゆる難病もの(同じ病気を扱ったクロエ・グレース・モレッツ主演の『彼女が目覚めるその日まで』が公開されているのは、単なる偶然?)一つだが、創作ではなく実話ということで、奇をてらったつくりではないところがまず好感のもてるところ。
ここは瀬々監督と脚本を書いた岡田恵和のタッグが功をなしたというところだろう。

映画は二人の苦難の日々を淡々と描いていくのだが、時間の経過をスプリットなどを駆使して表現するなど、わずかに映画的な表現を盛り込んでいる。
しかし、それさえも映画の本質をさえぎるものではなく、極力「創作」というイメージを持ち込まないところに作り手側の良心を感じる。
映像的な処理よりも、小道具の使い方に長けていたが、それは敢えてここで書くことではなく、実際に映画を観て確認していただきたい。

カップルを演じる佐藤健、土屋太凰の演技も素晴らしく、前者は完治する保証のない恋人の回復を待ち続ける、これまでになく(と書くと失礼か)ストイックなキャラを瑞々しく演じ、後者は普段は活発な印象のある女優(某自動車CMのキレッキレなダンスに顕著)だが、徹底したリサーチの下、重い病を患ったヒロインを演じきった。
さらに、ヒロインの両親を演じた薬師丸ひろ子、杉本哲太も素晴らしく、映画に説得力をもたらすいいキャスティングだったと思う。
特筆すべきは中村ゆり。
薄幸な女性を演じれば日本映画界ダントツの印象がある彼女が、珍しく今回は幸をもらたす人物を好演している。
じつに「わかった」キャスティングだ(笑)

岡山を中心にロケが敢行され、さらに重要な舞台として小豆島が登場するのは、関西人の僕としては嬉しいところ。
物語の本筋とは少し離れるものの、ともすれば暗く重くなりがちな物語に、小豆島の農村歌舞伎を持ち込むことで、ある種の風穴を開けるのは効果的だったと思う。

人の関わりの大切さ、とりわけ本作では「家族」をテーマに人間を描く瀬々監督の視線は今回も揺るがない。
単に物語のアクセントとして難病ものを取り込む他の映画とは一線を画している。
そういう真摯な姿勢が、ラストの感動を呼び起こすのだ。
心して鑑賞されたし。




📖パンフレット📖

・縦181㎜×横227㎜
・18ページ 無線綴じ製本
・株式会社久栄社
・定価:720円(税込み)

全ページマット調の原紙を使用で落ち着いた印象。
表紙はマーメイドを使用か、手触りのよいファインペーパーが使われている。
内容は主要登場人物のプロフィール、監督、脚本家をはじめとするスタッフのプロフィールに加え、ヒロインが罹る病である抗NMDA受容体脳炎の解説、ロケ地マップなど。
最後の2ページは関連グッズと松竹2018年カレンダーの広告ページ。



♬音楽♬
はちねんごしのはなよめ
スコア担当は、『64』でも瀬々監督と組んだ村松崇継。

こういったテーマの作品は、まずメインテーマのメロディが成功の鍵を握ると思うのだが、そういう意味では今回も素晴らしいスコアで魅了してくれる。
とはいえ、その使い方は極々控えめ。
しかし、クライマックスでは怒涛のように、コーラスを伴いながら盛り上げてくれる。
その匙加減が絶妙である。

またドノヴァンの名曲、「キャッチ・ザ・ウィンド」をマーク・マイルズなるシンガー(詳細判らず)がカヴァーしたナンバーが流れたり、女性シンガーによる英語のナンバーが流れてくる。
この女性シンガーはシャンティ・スナイダー。
かのゴダイゴのメンバー、トミー・スナイダーの娘さんなのだそうだ。
本作でソング・ナンバーといえばエンディング流れてくるバックナンバーのヴォーカル曲がキャッチーだが、劇中の要所要所で流れるシャンティ・スナイダーのヴォーカルが一つの清涼感をもたらしてくれる。

なお、サントラにはシャンティ・スナイダーのヴォーカル曲は村松崇継のスコアと共に収録されている(インレイにはマーク・マイルズ、シャンティ・スナイダーの紹介がまったくないのはどういうこと?)が、バックナンバーによるエンディング曲は未収録。
【amazon】
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はちねんごしのはなよめまばたき

で、そのエンディングに流れてくるバックナンバーによる主題歌「瞬き」。
昨年の『僕は明日、昨日の君とデートする』に続き、毎年この時期定番アーティストのような印象があるが、本作も物語に沿った歌詞とともに溜飲を下げてくれる。

初回限定盤やら特典がついてるやら、お好きなのをチョイスしていただきたい。
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コメント

Re: あけおめです!

> ケフコタカハシさま

あけおめです!

中村ゆり、いいですねぇ。
でも、たいてい幸の薄い役でありまして、NHKの朝ドラにもよく出演してるんですが、『わろてんか』でも幸の薄い役でありました。

そんな中で、『8年越しの花嫁』では意外な役柄だったので、嬉しかったです。

> 中村ゆりさんが「点」というショートフイルムに出演しているのをご存知でしょうか?
> この作品「点」に御興味がおありでしたら、下記↓に公式サイトをリンクしておきますのでチェックしてみてくださいませ。

まったく知りませんでした。
関西ではシネマート心斎橋で昨年の10月に公開されていたんですね・・・。

あ、そうそう、『最低。』に出演していた佐々木心音って、『闇金ウシジマくん』に出演してたんですってね。
まったく知らない女優さんでしたけど、『最低。』では大胆なラヴシーンもさることながら、けっこう泣かせる演技やってましたよ。

あけおめです!

こんにちは。
この作品とは全く関係ないんですけど、ビンさんが中村ゆりさんがお好きだと聞いたような聞かないような・・・もし勘違いだったらごめんなさい。
中村ゆりさんが「点」というショートフイルムに出演しているのをご存知でしょうか?
この作品「点」に御興味がおありでしたら、下記↓に公式サイトをリンクしておきますのでチェックしてみてくださいませ。

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