■『DESTINY 鎌倉ものがたり』■(映画) 



でぃすてぃにーかまくらものがたり
【公式サイトはこちら!】

『ALWAYS 三丁目の夕日』に続き、同じく西岸良平の原作コミックを山崎貴監督が映画化。
いわば西岸良平シリーズの第2弾ってな感じか。

僕自身、「三丁目の夕日」は原作も読んだけれど、今回の「鎌倉ものがたり」はまったくの未読。
なので、映画で初めてその世界観に触れたわけだが、なんとも珍奇な映画だった。

そもそも、なんで鎌倉にあのように「普通に」妖怪が跳梁跋扈しているのかが、まず変。
いみじくも、堺雅人演じる主人公が新婚の新妻、高畑充希にそこんところを尋ねられるのだが、

「ここは鎌倉だぜぇ」

の一言で済ませてしまう。

だから、そこを何でや? って訊ぃとるんだよ!!

主人公は作家であり、民俗学に長けた人物という設定ゆえ、なるほど、そういう人物が妖怪を引き寄せるんだな。
映画の冒頭、新婚旅行から帰ってきた二人が、「現代の」鎌倉の市街地を車で走り抜けるのだが、そこから次第に郊外へ。
だんだん空気が変わっていくというそのファースト・シークエンスを観て、そうか、この映画は一応舞台は「鎌倉」と特定されてはいるものの、主人公の作家の住むところは異世界である、という設定なんだな。
これから起こる出来事は、主人公の脳内で起こった妄想劇なんだな。

と、自分自身に納得させて映画に臨んだが、いやいやいや、どうもおかしい、おかしい。

主人公の脳内の出来事であればいいが、警察署には普通に妖怪がウロウロしているし(しかも、特定の管轄まである)、夜には「普通の人」も普通にものが買える妖怪たちが屋台を開いていたりする。

それ以外にも、びつくりぎょうてんな出来事が次から次へと起こるのだが、それらすべてに説得力がないものだから、妙な空気感は終始拭えないままだ。

この映画は何なんだ? いったい何を言いたいんだ?
そんな疑問が生じるたびに、

「ここは鎌倉だぜぇ」

という堺雅人のニヤけたセリフがまた浮かび上がって、相当に気分がよろしくない(笑)

のっけから説得力のない内容ゆえ、その後起こる出来事も逐一説得力がない。
あることがきっかけで、高畑充希は黄泉の国へと旅立ってしまい、喪失の悲しみの中、堺雅人もなんとか黄泉の国へ渡る術を知って、彼女を現世へ取り返そうとする。

このイザナミ・イザナギの物語のような展開は、僕も民俗学が好きなので本来は感動すべき部分のはずなのだが、いかに妻を亡くした悲しみに、砂浜で茫然と立ち尽くす堺雅人の姿を映し出したとて、そこにエモーショナルな共感できる部分は皆無だ。
だって、説得力がないんだもの。

むしろ、メインのストーリーよりも、主人公の知人、堤真一のエピソードで1本映画を作ったほうが、もっと良かったんじゃないかって思う。
詳しいことは書かないが、あちらのほうがよほどエモーショナルだし感動的だ。

ってなわけで、堺雅人と高畑充希の新婚夫婦に、ある因縁があったとか、まぁ、ゾロゾロとあらゆるシチュエーションが飛び出してくるんだけど、すべてひっくるめてファンタジーとして捉えりゃいいんだろうが、いくら絵空事でも、それなりにきちっとしたお膳立てがないと、どれだけ美しいSFXを繰り出そうとも空虚なものにしか映らない、反面教師のような映画だった。


まぁ、そう目くじら立てずに、オールスターキャストの娯楽映画として割り切って観るには、楽しい映画だけれど。
つまるところ、20歳も年下の奥さんができるのは、過去からの因縁がある以外には、そうそうにない話だ、ちゅうことやね。

個人的には貧乏神を演じた田中泯が儲け役。
この方のコミカルな演技は、初めて見るので新鮮だった。



📖パンフレット📖

・縦300㎜×横225㎜
・26ページ 無線綴じ
・㈱久栄社
・定価:720円(税込み)

表紙はPP張りで、オールカラー。
なによりメーキングのページに半分以上を充てているのはさすが。
主演者のプロフィールも充実しており、コストパフォーマンス高し。
パンフレットのお手本的内容だ。


♬音楽♬
でぃすてぃにーかまくらものがたり
スコアは山崎貴監督とずっとコラボレーションを続けている佐藤直紀。

予告編でジョン・ウィリアムズの『フック』にそっくりなスコアが流れていて、とっても気になっていた。
ああいうスコアが惜しげもなく流れるとなると、佐藤直紀という作曲家に対する、不信感というかなんというか、映画自体もダメダメだろうな・・・と思っていたが、どうやら予告編用のテンプ・トラックだったようだ(作曲者は不明)。

実際に佐藤氏が本作に書いたスコアは、メランコリックなワルツ曲をメインとしたドラマティックなもので、いかに予告編に間に合わなかった(のかどうか、詳しいことは知らないけど)とはいえ、なぜ実際のメインテーマを使わなかったのか! じつに惜しいところである。

宇多田ヒカルのソングナンバーがやたらとキャッチーな使われ方をしているが、いやいや、それに勝るとも劣らぬスコアを佐藤氏は書いているのだ。
このメインテーマの旋律は劇中の要所要所で流れてくるので、映画を観た方ならば強く印象に残ることと思う。

感動的に盛り上げるというよりも、異世界の中で互いの存在を信じあう一組の夫婦への賛歌ともいうべきスコアだ。

なお、サントラには宇多田ヒカルのソングナンバーは収録されていないので念のため。
山崎監督の作品における、佐藤氏のスコアは、これはもう二人三脚のような印象を持っているのだが、なぜかエンドクレジットはスコアと関係のないソングナンバーが毎回流れる。

大人の事情、といえばそれまでだが、こういうスタイルを目の当たりにすると、せっかくの二人三脚の関係は単に仕事上のことだけなのかな、なんてちょっと寂しくなってしまうのだ。
先の『オリエント急行殺人事件』における、監督と作曲家の絶妙な関係を目の当たりにしたから、余計にそう思うのかもしれない。
【amazon】
【タワーレコード】
【iTunes】

エンドクレジットに流れるのは、宇多田ヒカルが唄う「あなた」。
配信にてリリース中。
【amazon MP-3】
【iTunes】





コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/610-702bcc51