FC2ブログ

■『私の少女時代』■(映画) 







ワタシノショウジョジダイ
【公式サイトはコチラ!】

🎦シネマート心斎橋にて鑑賞🎦

昨年末に公開された『湾生回家』は、戦前の台湾に生まれた日本人たちの現在の姿を描いた優れたドキュメンタリー映画だった。
その映画の中で強く印象に残ったのは、かつての日本の統治下になった国でありながらも、いまの台湾の方々に親日家の方が多いということだった。

もちろん、すべての方がそうではないと思う。
我々日本人だっていろんな考えの人がいる。

ただ、『湾生~』のスタッフや出演者の方々の談話を読んだり聞いたり(ありがたくも、地元、奈良のユナイテッドシネマ橿原でも舞台挨拶があった)するうえでも、その印象が強かったのはとても嬉しいことだった。

実際、僕自身も十数年前に社員旅行で台湾旅行へ行くことになり、その前に台湾についていろいろ調べたものだが、やはり重くのしかかってくるのはかつて日本の統治下にあったということ、それによって「霧杜事件」のような悲劇(『セデック・バレ』で描かれている)も起こったという歴史的な負い目だった。
(会社の同僚は海外旅行というだけで浮かれているものが多く、そういった人たちの現地での振る舞いには相当に閉口したものだ)

しかし、実際に台湾の方々に接してみると、じつに友好的で正直目からウロコが落ちた気分だった。
特に印象深かったのは、宿泊したホテルの近くにあった「セブンイレブン」の店員のお兄さん。
お菓子や飲み物を買って、弟の土産に漫画雑誌を買った(明らかに日本のものの海賊版(笑))ら、店員のお兄さんが、にこやかにいろいろと話しかけてくるのだ。
こっちは向こうの言葉がわからないし、向こうも日本語がわからない。
それでも、飲み物のことやらポテトチップスのこと、はたまた漫画のことなどであれこれ話をして、互いに意味が分からないままに笑いあったりして、じつにいい雰囲気だった。

他にも、夜、ホテルのそばの屋台をウロウロしていたら、酔っぱらったおっちゃんに、

「あんたら日本人かぁ? 日本のどこから来たぁ?」

と流暢な日本語で絡まれた(いや、話したかっただけみたいだが)り、当時話題だった宮沢りえの写真集「サンタフェ」(これもあきらかに海賊版)を売りつけてきたおばちゃんに、

「みやざわりえあるよ~~~。お土産にどうぞ~~~。ねぇねぇ、買って帰りよ~~~」

と流暢な日本語で迫られたりした(土産って・・・日本にもあるがな正規版が)のも、いい思い出。
(嫌悪感だらけだったのは、そういった友好的な相手に対して辛辣な言葉を投げかける我が社の社員たちの振る舞いだった、というのは先にも書いた通り)


と、前置きが長くなったが、ここで本作『私の少女時代』である。

隣の国でありながら、なかなか台湾映画を観る機会がなかったのだが、そのうえ今回のようなベタベタな恋愛ドラマ、というか、ラブコメは初めて観た。
僕が担当しているラジオ番組にいただいたリスナーさんからのメールで、本作を強く薦めていただいたのがそもそものきっかけだったが、先に書いたように台湾という国に対する興味はずっと持っていたので、これは! と思い、早速観に行った。


ヒロインのリン・チェンシンは会社員。
今日も今日とて上司と部下の板挟みで、疲労困憊して帰宅する。
高校時代はこんな大人になるはずじゃなかったのに・・・と、当時の夢などを書いた日記を読み返すチェンシン。
そこには、憧れているスター、アンディ・ラウと結婚する、なんて赤面必至な願いまで書いてあったりする。
すると、ラジオからまさにアンディ・ラウが唄うナンバーが流れてきて、物語は一気にチェンシンの高校時代の物語へ・・・。

チェンシン(ビビアン・ソン)は、男子が誰も見向きもしない地味で平凡な女子高生。
アンディ・ラウに憧れつつも、校内一のイケメンで秀才のフェイファン(ディノ・リー)にも憧れている。
ある日、チェンシンの下駄箱に「不幸の手紙」(同じ文面を何人かの人物に送らないと不幸が・・・ってやつ。久しぶりに聞いたよ(笑))が。
困った彼女は悩んだ末に、意地悪な教師と校内一の美少女ミンミン(テヴィ・チェン)と、そして校内一の不良であるタイユイ(ダレン・ワン)に送り付けてしまう。
そうこうするうちに、フェイファンとミンミンが付き合っていることを知り、意気消沈するチェンシン。
一方、タイユイは「不幸の手紙」の送り主がチェンシンだと見抜き、弱みを握った彼はチェンシンを自分の使い走りにしてしまう。
だが、じつはタイユイはチェンシンに恋心を抱いていたのだった。

物語はこの4人の登場人物の恋愛模様が笑いとペーソスを交えながら展開していくのだが、
まさにラブコメの王道ともいえる内容で、美少女ミンミンはじつは性格が悪かったり、チェンシンとタイユイは反発しながらも、最終的には互いの気持ちに気づいて・・・というような、どこかで見たか聞いたような設定がてんこ盛りである。


多少、観ていてこっぱずかしい部分もなくはなかったが、130分という日本映画で同ジャンルの作品を考えると多少長丁場であるものの、サクサクと観ることができる。
フェイファンとタイユイに隠された過去があったり、学園に新しく赴任した厳格な生徒指導の教師に対して生徒たちが反発していくという、熱血学園ものなエピソードも盛り込まれたり。
クライマックスはまさかの感動巨編で、場内ではあちこちで泣いている観客もけっこう見受けられた。

そういった学園青春ものな内容が本作の魅力であるわけだが、チェンシンの高校時代、つまり90年代の若者たちのカルチャーが劇中ふんだんに登場するのもまた興味深い。
面白いのがその多くが日本のものであるということ。
雑誌、音楽、ファッション、電化製品等々、観ていて思わずニヤっとしてしまうものがいっぱい登場する。
男子高校生が回し読みするのが浅倉舞のヌード写真集というのには、違う意味でニヤっとしたけど(笑)
90年代といえば、まさに僕が台湾を訪れた頃でもあり、なるほどコンビニのお兄ちゃんが盛んに僕らに話しかけてきたのは、日本のカルチャーの話をしたかったんだなぁ・・・といまさらながら実感した次第。

場内で泣いている観客もいたと書いたが、それは登場人物に感情移入してのこともあるだろうが、90年代というちょっと前の時代へのノスタルジーに対して、心を揺さぶられた向きも多かったのではないだろうか。
まさにこのノスタルジーが本作の大きなテーマであり、映画の冒頭に登場する現代のチェンシンも、高校生の頃の出来事を思い返す後ろ向きな姿勢を経て、それが前向きなものへ転換するという潔さが映画の大きな魅力なのである。


ヒロインのチェンシン(高校時代の)を演じたビビアン・ソンは、日本でいえば茉奈佳奈を足しで2で割ったような(だったら同じ顔だろ)美少女。
地味で平凡な少女という設定で、たしかに物語の前半は髪型やファッションも地味(いささかカリカチュア過ぎるけれど)だが、途中で驚くばかりの美少女に変貌する。
実際、学校一の美少女というミンミンを演じる女優のほうが、なんというかどこにでもいそうな地味な顔をしていて、意図したことでないのならば台湾の方の感覚というのは日本のそれと、ちょいとズレているのかも?(笑) と思ったほどだ。

残念だったのは、彼女が大人になったいわゆる現代パートでは、違う女優がチェンシンを演じていて、この方がまったくビビアン・ソンに似ていないのだ。
彼女もそうだが、タイユイを演じた俳優も大人になって違う方が演じている。
ここはやはり同じ俳優を起用するべきではなかったか。
いかに感動的なラストシーン(詳細は書かないけど)でも、演じる者が違うと、まったく違う人のエピソードのように見えてしまう。
それでも十分感動的ではあったが、同じ俳優だともっと感動の度合いがかなり変わってきたのではないかと思うのだ。
そこが本作で唯一残念なところ。


いずれにせよ、あらゆる魅力がいっぱい詰まった作品であり、これがアジア圏で大ヒットしたのもうなずける。
とてもチャーミングで愛すべき作品だった。



📖パンフレット📖

・縦258㎜×横182 ㎜
・16ページ 中綴じ製本
・印刷所の表記なし
・定価:665円(税抜き)

物語、出演者、監督のプロフィール等を記載。
(現代のチェンシンを演じる女優の記載がまったくないのはなぜ?)
他に映画に登場する台湾の名所、ショップなどの紹介記事も。
ただ、記載の一部に誤りがあり、配給元のココロヲ・動かす・映画社のサイト(上記リンク先を参照)にて、訂正記事がアップされている。



♬音楽♬
ワタシノショウジョジダイ
スコア担当はクリス・ホウ。
そもそも、隣の国でありながら、そのエンターテイメント界の方について不勉強で詳細はわからないのだが、おそらく映画やテレビで活躍されている作曲家なのだろう。
スコア自体は、ラブコメという映画のスタイルを考えれば想像通りのものが流れると考えてもらってよい。
サウンドトラックCDは発売されているが、スコアは未収録である。

さて、そのサントラだが、すべてソング・ナンバーで構成されている。
先にも書いたように、台湾のエンターテイメントに疎い身としては、これはなかなかの教科書的なCDだった。
まず、主題歌「小幸運」を唄うヒビ・ティエンは、台湾の人気アイドルユニットS.H.Eのメンバーの一人なんだそうで。
日本でいえばPERFUMEのような感じ?(よくわからずに書いてるので、語弊があったらご容赦を)
映画のクライマックスを盛り上げる、観客の涙を誘うこと請け合いなラブ・バラードだ。

また、映画のキーとなるアンディ・ラウが唄い、本編でも何度か流れてくる「忘情水」も。
実際、アンディ・ラウも本編に登場するのだが、御年56歳でありながらも、まるで20代くらいのアイドルのような姿で登場するのは、正直驚異である(笑)
これくらいの年齢で俳優もやれば歌も唄うエンターテイナーは、日本でいえば誰になるだろう? とふと考えると、該当する方がなかなか思い浮かばないなぁ。

他にも挿入歌としてこれまた台湾のアイドルユニットPopu Lady(日本でいえばももクロみたいなのかな?)のナンバーであるとか、孫耀威というアーティストが唄う、サザンの「涙のキッス」の中国語バージョン(実際に劇中では流れなかったような。歌詞の一説がセリフとして登場してはいたけれど。それだけ、90年代に台湾でポピュラーなナンバーだったということだな)等。

さらに、劇中に登場するスケートリンクで流れる、M.C.ハマーの「U Can’t Touch This」(う~~~ん、90年代やねぇ・・・)も。

ほかに主題歌、挿入歌のカラオケバージョン等々、全10曲収録。
特殊紙パッケージ仕様で、インレイには各ナンバーの歌詞が感じで表記されているので、聴きながら歌ってみるのもいいだろう(まったく歌詞が追いつけないけど)。

日本でもamazonで簡単に入手できる。
興味ある向きにはぜひお薦めの一枚だ。

【amazon】



コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/551-3774ed3f