■『2012』■(映画) 


2012
いつもそうなんですけど、ローランド・エメリッヒの映画って掴みはOKながら、結局はとっても大味な印象があります。
毎回、その予告編には思わす「おおっ!」と唸ってしまうものの、実際に本編を観に行ったらば、「・・・で?」ってな感じ。
さて、今回の『2012』も初めて予告編を観た時にはとにかくビックリいたしましたが、その驚きがどこまで本編を観る上で持続できるか? 
それを確かめるために観に行くようなものですね、エメリッヒ作品ってのは。



さて、今回のお話。
科学的なことはよくわかんないんですけど、まぁ、惑星直列やらなんやらが起こって、地球の表面が不安定になっちゃう。で、それが崩壊して地球全体に未曾有の大惨事が起こるわけですな。
それを突き止めたのが名も無きインドの科学者とその友人の科学者エイドリアン(キウェテル・イジョフォー)。
エイドリアンはすぐに米大統領補佐官のカール(オリヴァー・プラット)に報告するわけですが、たった一人の科学者の提言を真に受けてすぐに大統領(ダニー・グローヴァー)は世界各国の首脳を呼んで臨時会議を行います。
どれだけこのエイドリアンという科学者が信頼置かれているのかわかりませんが、もっと多くの科学者の意見を出し合うなんてシーンもまったくなく、世界の首脳は来るべき危機にたいしてとある計画を進めていきます。
という政府主体の物語と同時進行で、ロシアの実業家のお付き運転手ジャクソン(ジョン・キューザック)を主体とした市井の人々の物語も描かれます。
ジャクソンは離婚して奥さん(アマンダ・ピート)には新しい恋人がいる。二人の子供も奥さんのもとに。
最近のアメリカ映画にはよくあるシチュエーションですが、このジャクソンさんも(というか地球上の人々すべてですけど)未曾有の危機にさらされていくわけです。
このジャクソンの場合、他の人々と違ってロシアの実業家の知り合いということもあって、映画の後半に登場する政府のとある計画に深く関わっていくことになります。

20121
まず2009年に地球が危ないということを察知し、あっという間に3年が過ぎて地球のいたるところに大災害が起こります。
巨大地震に大津波。なんせエベレスト山をも飲み込む津波ですからその迫力は相当なものがあります。
さすがエメリッヒ、『デイ・アフター・トゥモロー』(04)ではニューヨークを津波で飲み込んでましたが、さらにそれがエスカレート!

映画の前半はその全世界を襲う大災害の様子(もちろん日本も無理矢理登場いたします)がSFXを駆使してこれでもか、これでもかってくらいに展開されまして、まるで災害のスーパーマーケットみたい。
そこから脱出しようとするジャクソン一向(いろいろあって2人の子供はもちろん、別れた奥さんも、その恋人も一緒)の姿が、まるで冒険活劇のごとく展開される様はまるでゲームでも見ているようで、いわゆる悲惨な現状からくるヒューマニズムはかなり希薄です。でも、エメリッヒの映画っていつもそうですけど。


20122
ただ、それを補うように登場するのが米大統領とその娘(タンディ・ニュートン)のエピソードや、エイドリアンの父親とその友人のエピソード(アメリカ発日本行きの豪華客船の専属ミュージシャン)。
また、チベットの僧(おそらくダライ・ラマを想定しているのでしょう)とその弟子、そしてその家族のエピソードなどなど、それらサイド・ストーリーを盛り込むあたりは、おや? 今回の映画はちょっといつものエメリッヒ作品と違うな、と好印象を受けたわけです。
なんせ、上映時間は2時間半を超える大作でありますし、SFXシーンばかり続いても観客は飽きるでしょうから、エメリッヒにしてみれば、俺だってドラマも撮れるんだぜ! ってなところを見せたかったのでしょうか。

でも、あとはいつもど~りのエメリッヒ映画でしたが・・・。


20125
派手なSFXがウリになっている本作ですけど、ストーりー自体はいままで作られたパニック映画の定石どおりのもので、いわゆる斬新さは皆無。
たとえば、なぜ地球が壊滅状態になるのか、という部分でも特に説得力のある説明があるわけでなく、力技で押し切られたような感があるのも、過去のパニック映画の範疇を越えるものでもありません。
さらには、前半の地球規模のスケールで展開される物語に対して、後半は限定された空間での物語(そこに人間のエゴが絡んでくるという流れ)になって一気にスケールダウンするのは、そのまま映画を観るこちらのテンションと比例するもので、その後半の展開に乗れるかどうかで本作への評価は大きく分かれることでしょう。
その後半部分については早々にネタバレしている向きもありますが、ここでは敢えて伏せておきます。ぜひ映画館で確認していただきたい。
ただ、普通に考えればその後半とて特に意表を突くような展開でもありませんし、実際そこでの物語も予想の範囲を超えるようなものでもなくエンディングを迎えます。



20124
ゆえに今回もいつものエメリッヒ映画という印象でありました。
ただ、大スクリーンで展開される世界各地が壊滅される様は、かなりの見応えのあるもので(特に巨大な地割れが起こって地下鉄が宙を舞う場面には不謹慎ながら興奮しました)、映画だからこそ許されるエンターテインメントな映像はぜひぜひ、ご家族、恋人同士でワイワイ言いながら堪能していただきたい。

米大統領や地球の危機を察知する科学者が黒人であったり、後半で活躍するのが中国人だったり、ホワイトハウスを破壊するのが米の空母だったり、いろいろ深読みしようと思えばできなくもない部分もあったりしますが、おそらくエメリッヒの頭には特に深い意味はなかったんだろうなぁ、とエンドクレジットに流れる陽気なロック・バラードを聴きながらそう思いましたとさ。



20123
あ、そうそう、いろいろ煽ってますけど、本作ではマヤ文明の予言、ほとんど関わってませんよ(なんだそりゃ)。

それと、あいかわらず予告編、いいところ見せ過ぎ・・・。
どうか配給する側もお願いだから、本編を観に行って番茶の出がらしを見せられるような気分にさせることだけは止めてくださいな。頼むよ!

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中60点】



※相変わらず映画に便乗の洋泉社ムック。
昔の「~大全科」みたいな感じですな。



※クラリオン星人??? クラリオン・ガールではないのですね?
茶化してすみませんが、けっこう興味をそそる本だったりします。信憑性はともかくとして。



※最も現実味がありますな・・・。





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