■『杉原千畝』■(映画) 







スギハラチウネ
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2016年の正月映画は派手なエンターテイメントな洋画に比べると、邦画は押しなべて歴史の勉強のような(あ、妖怪なんたらは別だけど)、ひらたくいえば地味な作品が並んでいるのが興味深い。

映画会社もはなっから、SWに007には勝てないや、ってな多少は開き直りみたいなものもあったんだろうけど、それによって質の高い映画が作られるのなら、それに越したことはない。
まぁ、映画会社にしてみれば、興行収入がないとやってられまへんわ、ってなところだろうが、年が替わって半分が過ぎても、そういった正月映画がまだ上映されているところをみると、それなりに観客は確保できているんだろうな。

さて、「日本のシンドラー」と呼ばれた杉原千畝氏の姿を描いた本作、僕自身はこの方についての詳しい知識はほとんどなかった(いわゆる特集した番組等一切観たことがなかった)、わけだが、映画はけっこう分かりやすい作りになっていた。

監督は日本人ではなく、チェリン・グラッグという外人の方。
ただし、生まれは和歌山なんだとか。
これまで日米合作のような作品の助監督をされてきたようで、最初のフィルモグラフィーはなんと、寺山修司の『上海異人娼館 チャイナ・ドール』(81)!
他にゼメキスの『コンタクト』(97)の助監督などもやってらっしゃる。そういえば、あの映画って北海道も登場したもんね。
『サイドウェイズ』(09)で監督デビューされている。
この方の起用は本作においてはけっこういい人選だったんじゃないかと思う。
たとえば日本の偉人を描くとなると、多少浪花節的な描き方になりがちなところを、一歩引いた視点で描いているそのバランス感。これが絶妙だった。

また、劇中には多くのポーランド人が登場するのだが、たとえばこういった作品では、日本にある外国人タレント事務所に所属している俳優を使いがちだけど、実際にポーランド映画界で活躍している俳優を多く起用している。
たとえば、『トリコロール 白の愛』(94)の主役だったズビグニェフ・ザマホフスキも重要な役で出演しており、顔に見覚えのある俳優が出演しているのは観ていて嬉しいものだ。

こういった演出やキャスティングが、日本映画なんだけどどことなくヨーロッパ映画のような香りを漂わせていて、結果映画そのものにいい効果を与えているように思う。

もちろん、主演の唐沢寿明の演技もいい。
いいんだけど、相変わらず脇役でありながら彼が登場するとすべてかっさらっていく濱田岳(笑)が、またしても! という役で出ている(感動部門担当俳優というべきか)。

全体的に作り手の本気度が伝わってくる力作に仕上がっており、気軽に歴史に勉強をするにはいいテキストなのではないかと思う。



スギハラチウネ
スコア担当は佐藤直紀。

山崎貴監督作品で聴かれるような、ハリウッドの映画を思わせるスコアを得意とする方だが、今回は先に書いたようにヨーロッパ映画色濃厚である。
いや、そのヨーロッパ映画色に一役買っているのが、他でもない佐藤氏のスコアだと思う。

メインテーマやエンディングテーマこそ、ハリウッド風だが、第2テーマ的に流れてくるスコアが、なんというか、ジョルジュ・ドルリューが書いたような味わいを持っている。
これは佐藤氏のこれまでの作品を考える中では、けっこう新しいものではないだろうか。

サントラでいえば「手紙」と題されたスコアがそれで、それまで何度も劇中で流れてくるフレーズだが、クライマックスでは9分もの長時間演奏で映画を盛り上げている。
これを聴いて、まだまだ引き出しの多い作曲家だなぁ、と驚嘆したものだ。

映画をご覧になる際には、佐藤氏のスコアもじっくり堪能していただきたい。


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