■『ビッグ・アイズ』■(映画) 







ビッグアイズ
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ティム・バートンにとっては、『エド・ウッド』(94)以来の非ファンタジー映画なんて言われている本作、ちなみに僕は『エド・ウッド』はファンタジー映画だと思う。
まぁ、なにをもってファンタジーか否かは、観る人それぞれの捉え方次第だろうけど。
とにかく、個人的にはバートン作品でこれほどまでに今回ほどファンタジー色を廃した作品は初めてだと思った。


描かれているキーン夫妻についてはその詳細はほとんど知らなかったけれど、バートン自身は昔からのマーガレット・キーンのファンだったそうな。
なんでも、彼女にかつてのパートナーだったリサ・マリーのことを描いてもらったこともあるらしい。
このマーガレットと夫であるウォルターとの確執を描いた本作は、ところどころコミカルな味付けをしていながらも、かなりドメスティックで重たい。


絵の才能がありながらも、それを世に発表する術を知らなかったマーガレット。
彼女の絵をプロデュースする才に長けた夫のウォルター。
クリエイターとプロデューサーの関係がうまく保たれていれば、これほど盤石なものはないのだが、実際のところなかなかそのバランスが保てているケースは少ないのではないか。

本作のキーン夫妻においても、夫に口出しできない妻という境遇が当たり前だった時代背景ということを考慮しても、追いつめられるまで自分の主張を声高にしないマーガレットの性格と、それをいいことに常に利益を追求する(それが夫婦に幸せをもたらすものと錯覚している)ウォルターの性格。
この双方の性格の不一致というのは、別にこの夫婦だけが特別な例ではないだろうし、さらにいえば夫婦という関係以外でも起こりうることだと思う。

そんなことを考えると、バートンが今回の題材を選んだのは、なんだかそのあたりのことを陰に含んでいるような気がしてならない。
クリエイターとそれをプロデュースする者との関係を、この夫婦の形を借りて描きたかったんじゃないのかな・・・というのは本作を観て感じたことだ。


と思うと同時にこの映画、普段の作風と違うということで、かのスピルバーグにおける『カラーパープル』(85)のような位置づけのような気がする。
そもそもこの作品は、本作の脚本を書いた人物が監督も兼任する予定だったらしい。
それをバートンが聞きつけたのか、脚本家がバートンに売り込んだのか、その詳細は判らない。
その脚本家が『エド・ウッド』の脚本も書いた人物だったということから、まったく接点がなかったわけじゃないが、それを考えると余計にバートンがこの映画でやりたかったことが見えてきやしないだろうか。

思えば、『エド・ウッド』は劇中でベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーがアカデミー賞助演男優賞を受賞したように、なにかと評価の高い作品だった。
その『エド・ウッド』の脚本家である、そこそこ作品も優れたものになっているに違いない。
ならば、ここらでそろそろオスカー狙ってもいいんじゃね、とバートンが考えたんじゃなかろうかと思うのは、至極自然なことかと思うが、いかがだろうか。

さらには、主演には演技に定評のあるエイミー・アダムズにクリストフ・ヴァルツを起用すれば、これはもう映画ができる前から高評価は約束されたようなものだ。
彼の分身ともいえるジョニー・デップを起用しなかったのも、そういうところに理由があるんじゃないか(別にジョニー・デップが演技力低いというわけじゃないが)。

結局、出来上がった映画はたしかに見ごたえはあったし、メインの二人の演技も申し分ない。
バートンが撮ったということを度外視しても、よくできた人間ドラマだと思う。
ただ、見事なまでにアカデミー賞には総スカンをくらったのはご存知の通りである。
映画自体は良しとしても、その裏でどうしてもチョロチョロ見え隠れするものがあって、どうも手放しで喜べなかったのも事実だ。

バートンにしては地味な内容だったからか、ロードショーでの上映は早々に切り上げられてしまった。
が、2月末よりミニシアター系にてムーヴ・オーバーとなっているので、観逃した! という向きにはいい機会かと思う。



ビッグアイズ
スコアを担当したのは、バートン組の常連というか、バートンの体の一部ともいえるダニー・エフルマン。

『エド・ウッド』では、ハワード・ショアを起用した例もあったので、今回はどうなんだろうとは思ったが、バートンの義理堅いところはこれで証明されたというもの。
もっとも、『エド・ウッド』の頃は、二人は絶交状態だった、なんて話も聞いたので、ということはその後の二人はずっといい関係が続いているわけだ。
本作のキーン夫妻みたいじゃなくてよかった、よかった(笑)

枚葉印刷機がマーガレット作によるポスターを印刷しているオープニング・シークエンスから、まさにエルフマン節ともいえる軽妙なスコアが流れてくる。

ただ、今回は印象深い場面ではラナ・デル・レイのソング・ナンバーが流れてくるので、スコアの印象が薄いのは否めない。
サントラも、スコアとソングナンバーが半々で収録されてた形になっており、しかもCDでのリリースはなく、現状としてはダウンロードのみである。

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