■『アゲイン 28年目の甲子園』■(映画) 







アゲイン28ネンメノコウシエン
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人間、二十歳を超えて十数年も経つと、人生のほとんどは現実にがんじがらめになってしまうものである。
それでも、昔からひそかに抱いていた夢は、いつか叶うんじゃないか。
まだ、その夢を実現できるのではないか。
そんな微かな希望を持つからこそ、人間は毎日を生きてゆけるのではないかと思う。

かくいう僕も、まだまだあれこれ夢も希望もあるわけで、いつか突然、この映画の波瑠ちゃんのようなキュートな女子大生が訪れてきて、夢や希望を叶えてくれるんじゃないか、なんて思っているわけだ。
そんなハッピーな境遇になる本作の中井貴一を中心とする中年のおっちゃん連中(年齢設定が僕と同じというのが至極納得いかないけれど)は、極めて幸せ者である。

でも、普段からゴロゴロダラダラしていた末に、ハッピーになったわけじゃない。
若い頃に痛烈な挫折と苦渋を味わい、その時点で夢や希望を絶たれてしまったというそれ相当な経験をしているのだ。
そのまま年老いて、朽ち果てるというのはどうも忍びない。
なので、彼らのことを見守っていたなにかの神様かなにか偉大な存在が、彼らに波瑠ちゃんのような天使を遣わしてくれたのだろう。

なんだかこの映画に対して辛辣な書き様だが、決してそうではない。
本作は、いつまでも夢と希望を忘れてはいけないという、人間にとってあまりにも基本的でかつストレートなテーマを扱った感動ドラマである。


マスターズ甲子園というイベント(?)があるというのを本作で初めて知った。
野球にはとんと関心もないし、プロ野球も全く観ない僕としては、わずかながら高校野球くらいだろうか、地元の高校が出場する際には見る程度。

かつて、甲子園を目指した高校球児たちがもう一度、甲子園の土を踏んでみよう、というのがこのマスターズ甲子園というのだそうで、映画ではビギナーな僕でもよく判るようなつくりになっている。

作家の重松清氏がこのマスターズ甲子園のサポーターをしてらっしゃることもあって、本作の原作を執筆され、それを大森寿美男監督が映画化したのが本作。
なんでも映画を作るというのが大前提で原作が書かれたらしい。
しかも、本作の主題歌を歌う浜田省吾は、以前からマスターズ甲子園のイメージソングを唄っているということで、今回の映画のお膳立てはしっかり整っていたというわけだ。

重松氏の原作は読んだことはないが、ドラマ化された『とんび』やオンエア中の『流星ワゴン』を観ていると、親子の情というものがいつもテーマとして書かれており、それが熱い感動を与えてくれる。
本作でも、たしかに親子の愛情が根底にある。
と同時に、男同士の友情、そして男女の愛情と、数多くの「情」が画面にあふれており、それらが逐一涙腺を攻撃してくる。
そして、それらすべてを支えているのは、捨てきれなかった夢や希望に対する「情熱」なのだ。

当初は、特に興味のない野球がテーマだし、中井貴一と波瑠の歳の離れた男女のドロドロしたドラマが展開されるわけでもないし、いわば「真面目な優等生な映画」くらいな印象しかなかった。
しかし、とにかく劇中いたるところで泣かされてしまったし、特にあるシーンでは、あふれる涙を抑えきれず、正直やられた~~~!! と思った。
でも、こういう心から泣ける映画は年に何度かは出会いたいもので、それが明日への活力になる。

だから映画は素晴らしい。


大森監督は数年前に箱根駅伝に出場する大学生の姿を描いた『風が強く吹いている』(09)を監督しており、あの作品も爽やかな感動を与えてくれる良作だった。
監督作はそれ以来ということで寡作なイメージがあるが、脚本家としては数多くの作品をてがけてらっしゃる。
今回も破綻のない物語でぐいぐい引っ張ってくれるのは、もちろん重松清氏の原作によるものもあるが、大森監督の脚色と演出によるものも大きいのではないだろうか。



アゲインニジュウハチネンメノコウシエン
スコア担当は梁邦彦。
もともと麻酔医というプロフィールがユニークで、そこから音楽の世界で活躍されている。
在日韓国人という経歴もあり、それが日本を含むアジア圏での活躍につながっているというのは、じつに素晴らしいことだと思う。
ジャッキー・チェンの『デッドヒート』(05)やイム・グォンテク監督の『千年鶴』(07)のスコアも担当されている。

梁氏のスコアは、もちろん野球というスポーツをイメージさせる勇ましいものもある。
しかし、その大半を占めるのは、夢に向かって情熱を注ぐ者たちの熱き思いと、夢半ばで挫折してしまった若者たちの淡き思い、そして先にも書いた様々な「情」を讃える爽やかな旋律だ。

そのスコアを聴けば、これが野球だけに留まらない、もっと広い意味での人間ドラマであることがよく判ると思う。

梁氏は、本作の主題歌を歌っている浜田省吾のコンサートスタッフとしても活躍されている。
スコア担当となったのはそのあたりの経緯もあるのだろう。

なお、サントラには浜田省吾が歌う主題歌「夢のつづき」は収録されていないので、念のため。
ただし、インストゥルメンタル・バージョンは収録されている。

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アゲインドリームキャッチャーハマダショウゴ
主題歌「夢のつづき」は、この浜田省吾の最新EP盤に収録されている。

マスターズ甲子園のために作った、「光と影の季節」、「I am a Father」をはじめ、野球にまつわる楽曲を収録。
「夢のつづき」は10年ぶりの新曲。
こちらも本編のテーマと同じく、親子の愛情を唄った爽やかなナンバーだ。

なお、完全生産限定盤は限定1万枚の7インチ紙ジャケット仕様となる。

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