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■『薄氷の殺人』■(映画) 







ハクヒョウノサツジン
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中国の華北地方の街ハルピン。
ここで15カ所に渡ってバラバラ死体が発見されるという猟奇事件が発生。
所持品から殺されたのは、リアンという男だということがわかる。
妻に別れ話を切り出され、ショックで泥酔状態だった刑事ジャン(リャオ・ファン)は、やる気なし感100%なまま、捜査に加わることに。
容疑者が浮上するも捜査の途中、容疑者の放った銃弾でジャンは大怪我をする。
容疑者は駆けつけた同僚刑事に射殺されてしまう。

5年後・・・。
負った怪我と妻に捨てられたダブルパンチで自暴自棄、酒浸りな毎日を送るジャンは、警察を辞め、いまはとある工場の警備員になっている。
ある日、5年前と同じような猟奇バラバラ殺人事件が2度も起こる。
元同僚の刑事からその件を知らされたジャンは、いまのボンクラな生活と決別すべく、独自に捜査をすすめていくこととなる。


2014年ベルリン映画祭において、『グランドブタペスト・ホテル』や『6才のボクが、大人になるまで。』を抑え、堂々グランプリを受賞(と同時に主演男優賞も受賞)した本作。
中国映画界の新鋭ディアオ・イーナンによるこのサスペンス映画は、独自の映像美学を持ったジュアル的にもかなり見どころの多い秀作だった。

事件の鍵を握る人物として登場するのが本作のヒロイン、ウー。
日本の波瑠を思わせる美人だなぁ・・・と思ったら、『藍色夏恋』(03)のヒロインを演じたあの女優だったのか!
たしかに『藍色夏恋』の時も美少女だったが、どこか朴訥な雰囲気が抜け切れないでいた。
それが十数年経って、垢抜けてさらに美しくなっている。
(もちろん、その間も他に幾つも映画に出演しているようで。『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(11)とかね。観てないけど)
ハードなラヴ・シーンがあるわけじゃないのに、このウーが醸し出すなんともいえないエロティシズムが、映画の魅力を増幅させている。

捜査を進めていくうちに、5年前の事件の被害者の未亡人であるウーと知り合うジャンは、彼女に強く惹かれてしまう。
もちろん、容疑者の一人として近づくのだが、いまにも壊れてしまいそうな幸の薄そうな彼女から目が離せなくなってくるのだ。
果たして彼女は単に事件の被害者の妻というだけなのか。
それとも、実はとんでもないファム・ファタールなのだろうか。


ハクヒョウノサツジン1
事件そのもののの真実は、正直なところ大したことはない。
ウーが抱えている「とある秘密」も、想像の範疇を超えるものではない。
だから謎解きとか、そういった面白さはほとんど無いといってもいいだろう。
しかし、映像の美的感覚やユニークな演出は、他の類を見ない独自のものがあって、そこがたまらなく魅力的なのだ。

美的感覚という部分については、舞台となったハルピンという街自体がまず秀逸。
雪に覆われたこの街には、世間から隔離されたかのような閉塞感が漂う。
日常の色彩が雪で奪われたことで、静謐な街という印象だが、それとは逆に夜になると飲食店の原色だらけのどぎついネオンがポツ、ポツと輝き、降り積もった雪に映えるのだ。
雪の夜景と輝くネオンのコントラストは、一見静謐なように見える街に蠢く男女の激情を現わしているように感じる。

ユニークな演出については逐一挙げないが、これは本編をご覧いただくのが手っ取り早いかと思う。
フィルム・ノワールな香り漂う作品だが、ところどころにオフビートなユニークな演出を挿入する監督の感覚が、こちらの波長と見事にマッチした。
ゆえに、本作は好き嫌いが分かれると思う。
合わない方には最後まで抵抗を抱いてしまうかもしれない。
それくらいクセのある作品なのだ。

本作の原題は「白日焔火」という。
白昼の花火という意味だそうだ。
本編ではこれが事件の真相につながる一つのキーワードになっており、クライマックスでは実際に白昼に花火が炸裂する。
そこに込められた登場人物の想いが胸に響く。
最後の最後に、もう一発ユニークなショットを挿入して、観客は呆気にとられてしまうだろうが(笑)、それがとてつもない余韻を残す。


ハクヒョウノサツジン2
スコアを担当したのはウェン・ツーという作曲家。
それ以外は資料がないか調べたがよく判らなかった。

本編では時折物悲しいスコアが流れていたが、それも全体からすればかなり少ない。
むしろ、劇中に登場する夜のアイススケートリンクに流れる「美しく青きドナウ」や、エンドクレジットにも流れてくる中国のポップス(?)(ジャンがこの曲に乗って踊り狂う場面がある)の印象の方が強い。

サントラもリリースされていないようだ。
が、ベルリン映画祭でグランプリを獲った作品である。
挿入曲なども含めたサントラのリリースがあっても不思議ではないのだが・・・。









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