■『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』■(映画) 


ディッスイズイット
映画とあればたいていのジャンルは観る僕ですが、今回の作品は正直苦手な分野であります。
正直、本作は観る予定がなかったのです。
でも、当初は2週間限定公開だったのが、あまりの反響の良さにムーヴ・オーバーが決まったということを耳にすると、映画ファンとしては好奇心がふつふつと湧いてくるというもので・・・。


今年6月に亡くなったキング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンが今年の夏にロンドンで行われるはずだったコンサート「THIS IS IT」。
本作はそのコンサートのリハーサル映像と公演で使用される予定だった映像などから構成されたドキュメンタリー映画。というよりも、フィルム・コンサートといったほうがよいかも。
と、書いている僕ですが、そもそもマイケル・ジャクソンについては80年代を代表するアーティスト、というイメージくらいしかないもので、それ以上でも以下でもなく、訃報が伝わった同時でも彼よりもむしろ、同日に亡くなったファラ・フォーセットのほうが個人的には感慨深いものでありました。

そんな僕ですから、いくら本作がヒットしているとはいえそれは映画そのものよりも、マイケル・ジャクソンというアーティストの姿を拝見できるという意味からくるものであって、つまりは普段映画館へ足を運ばない客層も取り込めたことがヒットの要因であることは、冷静に考えてみればここであらためて書くまでもないことではあります。
それでも、やっぱりこれは一度観ておかねば、という映画ファンとしての野次馬根性的な欲求から劇場へ行ってまいりました。


考えてみれば、マイケル・ジャクソンが歌って踊る姿というのは、一世を風靡し、当時何度も観た「スリラー」のPVはともかくとして、じっくり拝見するのは本作が初めてかもしれません。
そのうえ、彼のナンバーで知っているものも数える程度ですから、正直のっけから置いてけぼり喰らわされたような気分になりました。
そうですねぇ、僕が東京にいた頃に、同僚の強い誘いから「やしきたかじん」のコンサートへ行って、なかなかその場の空気に馴染めなかった疎外感のようなものを感じました。
が、あらためてマイケルのパフォーマンスを観ていると、やっぱり彼はすごいわ、って、マイケル初心者の僕でも心を揺さぶられるくらい、すごいんですよね。
すごいって言葉でしか表現できないんですけど、とにかくすごいんですよ。

なるほど、彼がキング・オブ・ポップと呼ばれる所以がわかるような気がしましたねぇ。
大画面と大音響から繰り出される数々のパフォーマンスは、映画という媒体の特性を十分に引き出すものであり、たとえ普段映画館へ行かないとはいえ、本作で映画館の素晴らしさを実感された観客も多いのではないでしょうか。


個人的な本作への興味では、マイケルのナンバーは楽しめなくても、リハーサル映像ということなので、彼のアーティストとしてのパフォーマンスはもとより、スタッフを束ねていく姿が楽しめるのでは、と本作に対する僕の興味も十分満足させてくれました。
とにかく、ミュージシャンを自分の世界に引きずり込む手腕の見事なこと! そして、スタッフの心を掴むバイタリティには、正直スキャンダルな面ばかりクローズアップされた彼に対する「負」の印象をキレイさっぱり拭い去るがごときもので、そういう意味では本作から得られるものは大きかったと思います。


ただ、映像作品として観た場合、どうしても本作はまとまりに欠ける部分があるのも否めないんです。
マイケルが亡くなり、彼の周辺も落ち着かないうちに本作の企画・編集が行われたということで、たしかに亡くなる直前の映像という意味ではファンにとってはたまらないのかもしれません。
ただ、歌とダンスは見事なのですが、さぞかし本番はあの何倍も見事なものが展開されたのだろうと、ある程度の予想はできるものの、実際の本番映像が観ることができないのは、単なるないものねだりでしょうか。しかし、それを思わせるところが本作はあくまでリハーサル映像でしかない、という宿命からくる物足りなさなんですよね。
このあたりも編集や構成いかんでもっと完成度を高めることができる余地はあったと思うのです。

また、スタッフやミュージシャンのインタビュー場面などが挿入されるのも、マイケル・ジャクソンというアーティストの姿を浮き彫りにするにはいい構成だったと思います。思いますが、どうしても全体的にマイケル・ジャクソンを崇め奉る雰囲気が漂っているのは、やはり初心者にとっては少々むず痒い気分を味わってしまったのも事実。
ゆえに、つまるところ本作はファンのファンによるファンのための映画であって、語弊を承知で書けば「マイケル教信者集会用映画」なんですよね。

そういうものではなく、もっと人間マイケル・ジャクソンとしての姿を掘り下げた映像を僕は観たかった。
それを含めてのあの見事なパフォーマンスが披露されるのであれば、容易に僕もマイケル信者になれたものを本作ではそれにはいたらなかったなぁ、というのが正直な感想です。

すでに伝説化しているマイケル・ジャクソン。
おそらく、何年か後には彼の伝記映画のようなものも作られることでしょう。その際には、本作で得られなかった部分をも全うできるものであることと期待しています。
(その際のマイケル役は、やっぱり寺田農か? By 「今夜は最高!」

(TOHOシネマズ橿原にて鑑賞)

【採点:100点中50点】


※本作の一応のサントラ。2枚組み。
本編中に登場したナンバーを登場順で構成してあるそうな。



※こちらは上記からボーナスCDを省いた1枚組み。


※日本のファンが選んだ、マイケル・ナンバー17曲。
僕のような初心者にはもってこいのアルバムではないかと。





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