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■『ホビット 決戦のゆくえ(IMAX 3D)』■(映画) 







ホビットケッセンノユクエ
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いろんな場面において、言いだしてしまったが最後、後に引けなくなることってあると思う。
ピーター・ジャクソンの場合、トールキンの世界を映画化する、というのがそれに当たるんだろうなぁ・・・というのは、前作『ホビット 竜に奪われた王国』(13)を観た際に思ったことだ。


壮大で長大な物語の完全映画化に果敢に挑んだピージャク。
見事、『LOTR』3部作では世界中からの評価を得て大ヒット。
僕自身、原作である「指輪物語」の1冊目で断念してしまったので、エラそうなことは書けないのだが、そんな僕でも物語の世界にどっぷり浸ることができたし、『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(03)の際の感動と大いなる喪失感に苛まれた時のことは、まだ記憶に新しい。

なにより、ピージャクの映像センスと、優れたスタッフによる脚色の妙が、長尺な映画であっても終始飽きさせない映画として結実していたことに感動したものだった。


その時のノウハウを生かして、前日譚である『ホビット』シリーズを作ろうと思い立ったのは、自然な成り行きかと思う。
かくして完成した『ホビット 思いがけない冒険』(12)にはいたく感動した。
『~王の帰還』で喪失感に苛まれていた身としては、数年ぶりのトールキンの世界は、旧知の友に出会ったかのような喜びでいっぱいだった。

ただ、『LOTR』シリーズに比べるとスケール感が小さいのは否めず、それは最終章である本作においても同じこと。
個性的な登場人物が多く、それでいてきっちり交通整理ができていた『LOTR』に比べ、たとえばドワーフの面々なんて、トーリン(リチャード・アーミテッジ)以外は最後まで誰が誰なのかきっちり見分けがつかない(唯一、ロマンスが描かれるキーリはキャラが立ってはいたけれど)ままだったし、目立つキャラクターも少ない。
ピージャク自身もそう思ったのか、わざわざ女性のエルフなんていう映画用のキャラクター(演じるエヴァンジェリン・リリーは熱演だったけれども)を登場させているところに顕著だ。

とはいえ、本来ならば2部作にする予定だったものを3部作に分割し、これから盛り上がる!ってところでいきなり尻切れトンボのような結末だった前作『~竜に奪われた王国』での欲求不満を早々に解消するかのような怒涛のオープニングに始まり、シリーズ中もっとも上映時間の短い(といっても2時間半みっちりあるのだけれども)本作は、劇中のほとんどが戦闘シーンで埋め尽くされている。

最終的には正義が勝利を手にするわけだが、そこにいたるまでには数々の犠牲を伴うこととなる。ゆえにクライマックスでは壮大なカタルシスを味わうこととなる。
それが本作の最大の魅力だと思う。


また、本作は『LOTR』の最終章、『~王の帰還』を連想させるキャラクター設定が興味深かった。
『~王の帰還』にて指輪の魅力に憑りつかれてしまうフロドと、それを更生させようとするサムの姿は、本作におけるアーケン石に憑りつかれるトーリンとそれを更生させようとするビルボ(マーティン・フリーマン)にオーバーラップしてくる。
原作が未読なのでこのあたりの構成は原作に従ったものなのか、映画オリジナルなのかはわからないが、こういう仕掛けも長大な原作を映画化するうえでのひとつの遊び心なのかもしれない。

さらに、本編の次の物語である『~旅の仲間』(01)に通じるエピソードもあちこちに忍ばせる心憎い演出もされており、なんだかんだ言ってもシリーズのファンにとってはたまらない作品になっていたと思う。
残念だったのは、ゴラムやフロドが登場しなかったこと。
前者はともかく、後者は登場してしかるべきだと思うが、おそらく撮影はされたが上映版では削除されたのではと推測する。今後、ブルーレイ等が発売された際に、「削除されたシーン」といった感じで観ることができるかもしれないけど。


さて、呪縛(本人はそうとは捉えていないかもしれないけど)から解き放たれたピージャクは、今後、どのような作品を見せてくれるのだろう?
『LOTR』がひと段落終わった後にも『キング・コング』(05)や『ラブリーボーン』(09)のような意欲作を発表していたが、おそらくは後者のようなあまりSFXが派手ではない作品(同系列では94年の『乙女の祈り』のような傑作もある)を作りそうな気がする。
いずれにせよ、今後の作品への興味は尽きない。


なお、本作はIMAX3Dで観た。
ただ、最近思うのは細かなディティールなどを楽しむのならば、まずは2D上映で観た方がいいなぁということ。
3Dとなると、どうしてもピントを合わすために視点が中央に集中しがちになる。
となると、画面の隅々のディティールを見落としてしまうことになるからだ。
もちろん、IMAXの大画面は魅力だが、特に本作のような作り込まれた映像となると、スケールや迫力は十分味わえても、100%本編を楽しめたか? となると疑問が残る。
まずは2Dで鑑賞して、作品に満足できれば3Dという流れの方がいいのでは・・・なんて思う昨今である。



ホビットケッセンノユクエ
スコアを担当したのはハワード・ショア。

シリーズ6作を通じてスコアを担当したのは、『SW』シリーズのジョン・ウィリアムズともども偉業だと思う。
基本的には前作『~竜に奪われた王国』の流れに沿ったモティーフが登場するスコアになっているが、もちろん『LOTR』への橋渡し的なエピソードでもあるため、「指輪のテーマ」や「ホビット庄のテーマ」といったお馴染みの旋律も流れてくるのは嬉しい。

エンドクレジットに流れる『LOTR』シリーズでピピンを演じた、ビリー・ボイドが唄う、「最後のお別れ」ももちろん収録されている。

2枚組CDに収録されたスコアの数々は、シリーズの終焉を考えれば本編以上に感慨深いものがあるが、まぎれもなく映画音楽のクラシックとして今後も残っていくものと確信する。

なお、国内盤CDには相変わらず詳細な前島秀国氏の解説が添えられているので、ぜひ一読していただきたい。
海外作品の国内盤サントラCDの解説といえば、国内における試写会開催日等の問題もあり、本編未見の段階でオファーされるケースも多々あって、それを担当される方は相当頭を悩まされることと思う。

今回の場合もそうなのだが、そんな状況においてもなお、「じつに興味深いエピソード」等も盛り込みつつ、アカデミックかつ分かりやすいライナーを書いておられることには毎回頭が下がる思いだ。

普通でもCDが売れない昨今、サントラにおいてもなおさらのこと(『アナ雪』のサントラ・ヒットは極めて希なケースだ)。
そんな中でも、映画音楽を愛するファンに向けて、地道に活動されておらる方もこうして存在するのだ。
そんな前島氏の解説を読むだけでも国内盤を購入する価値がある。


ホビットケッセンノユクエスペシャルエディション
なお、毎度のことながらここにボーナス・トラック(今回は2曲のみ)を追加したデラックス・エディションもリリースされている。
『LOTR』シリーズの際は、デラックス・エディションも国内盤がリリースされたが、『ホビット』シリーズでは輸入盤(ダウンロード版もあり)のみになっている。

まぁ、追加されているスコアがもっと多ければ別だが、2曲のみだったら、わざわざスペシャル・エディションなんて分けてリリースせずに、最初から収録した形でリリースすればいいのに・・・(笑)



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