■『仁義なき戦い(第二回 新・午前十時の映画祭)』■(映画) 







ジンギナキタタカイ
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全国のシネコンで展開されている「午前十時の映画祭」。

本年は「第二回 新・午前十時の映画祭」と銘打ち、それまで洋画中心だったセレクトに邦画も数作加わった。
地元の奈良県では、TOHOシネマズ橿原にて昨年まで「午前十時~」が開催されていたが、なぜか今年は上映が見送られてしまった。
昨年まで何度か足を運んだが、毎回キャパに対して客入りは半分以下(たまたま僕が観に行った作品がそうだったのかもしれないが)。

せっかく名作を大スクリーンで観ることができるいい企画なのに勿体ないなぁ、とは思っていた(かくいう自分も毎回通っていたわけじゃなかったけれど)が、そのあたりが今年の上映を見送ってしまった原因だったのだろうか。
ただ、やっぱり今年は邦画も加わっていることもあって、地元で開催されていないのは至極残念である。

さて、「午前十時~」の各映画館で上映されるスケジュールはそれぞれ違うのだが、12月13日(土)からは、TOHOシネマズなんばにて『仁義なき戦い』(74)が上映されることとなった。

語弊を承知で書けば、これは実にタイムリーである。
無論、先ほど亡くなれた菅原文太さんの代表作中の代表作であり、訃報から日が経たないうちに上映されるというのは、もちろん意図したわけじゃないだろうが、追悼上映という意味でもおそろしいくらいに上映時期が合致した。

『仁義なき戦い』については、幼少の頃に父親に連れられて観に行った。
ただ、それがどこの映画館だったかはおぼえていない。
道頓堀だったか、新世界だったか、はたまた布施だったか大和高田だったか。

当時は東映が『仁義なき戦い』のヒットにあやかって、「実録やくざ路線」が大量生産されていた時期。
しかも、その手の映画が好きな父親だったものだから、どの映画がどれなのか記憶が混沌としていたものだった。
ただ、菅原文太が指を詰める場面(その後の鶏小屋のシークエンス)と、伊吹吾郎が理髪店で射殺される場面、松方弘樹がおもちゃ屋で射殺される場面は鮮烈に覚えていた。

その後、社会人になった頃に、東映ビデオから初めて『仁義なき戦い』がビデオ化された際に数十年ぶりに観て、それが本作の1シーンであったことを確認したのだった。
(もっとも、他に記憶に残っていた場面は、「広島死闘編」や「代理戦争」、といった後続の作品だったりしたけど)


当時の僕はこういった作品に出演している人は、みんな「その筋の人」だと思い込んでいた。
そして、展開される映像はドキュメンタリーのような印象があって、まるでホラー映画のような「恐怖心」を抱いたものだった。
深作欣二監督のリアリティ重視の演出は、当時の観客の度肝を抜き、センセーショナルを巻き起こした。大人でもそうだったのだ、それが年端のいかぬ幼い子供(当時の僕は小学一年生)となるとなおさらのことである。

だから、よくネタとして使われるように、一度死んだ俳優が次の作品ではピンピンして登場している、というのは大人だったら割り切れるが、当時の僕としては、松方弘樹も伊吹吾郎も梅宮辰夫も、あの映画の中で死んだものと思い込んでいたので、続編などでどこかで観た俳優が出ていても、「それは良く似た別の人だ」、ということで自分の中で納得していたのである。


そんなことを思い出しながら、今回の上映を堪能した。
フィルムだったソフトをデジタルに変換し、DCPによる『仁義なき戦い』は、詳しくわからないが、ある程度のリマスターはされているのだろう、映像も音声もかなり鮮明だ。
おそらく、これがフィルム上映だったりすると、映像に傷が入っていたり、途中で音声が飛んでいたり(それも味のうちではあるが)するのだろうが、終始、綺麗なままだった。
それでも、そこで描かれるのは人間の業と欲が渦巻く、綺麗とは言い難い、文字通り「仁義」のかけらもない世界である(笑)


とにかく、主演の菅原文太をはじめ、いまや大御所、なかには今や「いい人」を演じて定評のある俳優(渡瀬恒彦とか田中邦衛とかね)の、思わず殺意さえ抱いてしまう悪党ぶりなどは、これが初見の若い世代の方々には相当なカルチャーショックだろう(笑)
松方弘樹が発する「神輿」のくだりや、金子信雄の登場するたびに手の平返すような言動に、場内からは笑いが起こる。
このあたりは本作を何度も観ている観客層からのものだろう。
場内には僕よりも上の世代の観客がほとんどだろう、と思いきや、けっこう若い世代の姿も多く見受けられたし、上映後、「意外と面白かった」と話し合っている観客もいたのは、なんだか嬉しかった。


今回の上映で、あらためてこの映画が優れたエンターテインメントの秀作であることを再認識した。
そして、これを「ホラー映画」のように捉えていた幼かった僕と、当時そんな映画ばかり連れて行った今は亡き父親との思い出が色々と蘇った。
もっとも、当時の映画館は、こんな綺麗なシートでも綺麗なスクリーンでも、ましてや床にはカーペットも敷かれてはいなかったけれど。

ラスト、葬儀場を後にする菅原文太の姿に、場内から拍手の一つでも起こるかとおもったが、静まり返ったままだったのがちょっと残念だった。
これも、シネコン世代ゆえのことなんだろうか・・・。


ジンギナキタタカイ
インパクト絶大で、いまやパロディとしても使われ、我が国の映画音楽としてはスタンダードな位置にある本作のスコアを作曲したのは津島利章。

菅原文太をはじめ、個性豊かな俳優たちの演技もさることながら、ここにあの津島氏のスコアがなかったら、ここまで後世に語り継がれる名作になっていただろうか。

『仁義なき戦い』シリーズをはじめ、『県警対組織暴力』といった「実録やくざ路線」はもとより、東映作品のスコアを数多く担当。

東映以外ではあの(あの、って何だよ?)『惑星大戦争』のスコアも担当。
惜しくも昨年、この世を去られている。
ジンギナキタタカイウルトラヴァイブ
サントラCDはVAPとウルトラ・ヴァイブ、アブソード・ミュージック・ジャパンからリリース。
VAPとウルトラ・ヴァイブはシリーズ全体からスコアを選曲したオムニバスという形をとっているが、双方に収録曲が微妙に違う。






ジンギナキタタカイアブソード
アブソード・ミュージック・ジャパンは一枚丸々『仁義なき戦い』一作のみからの選曲になっている。






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