■『イン・ザ・ヒーロー』■(映画) 







インザヒーロー
【公式サイトはコチラ!!】

東映特撮もの、あるいは東映戦隊もの、というジャンルは、僕の子供の頃から連綿と作り続けられている。
僕自身は、このあたりの作品はすでに子供の頃に卒業してしまったので、いまとなってはほとんど興味もなかったし、たまに日曜の朝などにTVのチャンネルを回す中で、ちょろっと番組の映像を垣間見た際に、

「いつまでも同じこと、よくやってんなぁ・・・」

という思いしか持たなかった。

『イン・ザ・ヒーロー』は、そんな特撮もののスーツアクターとして、実際に活躍していた時期もあった唐沢寿明が、自らスーツアクターを演じるバックステージもの。

決して素顔が映るわけでもないのに、スーツアクターとしてのプライドを、熱く熱く描いた、アクションと笑いとペーソスを盛り込んだ人情劇でもある。


初めて映像に素顔が映る! と意気込んでいた主人公(唐沢寿明)。
しかし、彼の役柄はポッと出てきた、アイドル俳優(福士 蒼汰)に奪われてしまう。
意気消沈はするものの、自らアクションクラブを主催する彼は、生意気を絵に描いたようなそのアイドル俳優にアクション指導を行っていく。
最初は噛み合わない二人だが、特訓を積み重ねる中で友情が芽生えていくという、まぁ、ストーリーとしてはよくある流れ。
物語は後半、主人公がハリウッドのアクション映画において、ハードすぎるアクションに怖気づいたスタントマンに替わり、彼が抜擢されたことで、壮絶なクライマックスへと突入していく。


とにかく、主人公の情熱が熱い。
それはそのまま、主人公を演じる唐沢寿明の熱さでもある。
その熱さに、観ているこちらも段々引き込まれていく。
この映画はそんな魅力がある。


そのうえで、以下は本作に対する苦言である。

まず、多少、様々なエピソードを詰め込み過ぎの感がある。
アクションクラブの面々のエピソードはスタッフとしてはどうしても描きたかったのだろうが、主役はあくまで唐沢寿明なので、そこは断腸の思いで刈り込んで2時間以内にしたほうが、映画としてはもっとスッキリしたのではないか。

また、前半と後半でテーマがブレているのも気になった。
新人俳優の成長を描く前半と、主人公のプライドを描く後半、つまり本作は2部構成の作品として見れば納得いくが、そうでないと多少戸惑ってしまう。
前半、あれだけ比重を置いて描いていた新人俳優の存在が、後半ではまったくの脇役扱いになっている。
ならば、最初から新人俳優のエピソードは不要だったんじゃないか、とさえ思う。


さらに問題はクライマックスの主人公のアクション・シーンだ。
これはじつに見応えがあるのだが、劇中の監督はそのアクションをノーカットで撮る、と言い切る。
それに怖気づいたスタントマンに替わり、主人公がそのシーンに挑むわけだが、実際の映画ではなんと、カットつなぎだらけである。
それってどうなの?(笑)
いや、もちろんノーカットではいくらなんでも撮影は無理なんだろうが、それならば、映画はそれなりの説得力をもって演出してくれないと・・・。


本作が熱い情熱の塊の映画であることはわかる。
しかし、果たしてそれを受け取る方は、すべてがすべて、そこを汲んでくれるかというと、はなはだ疑問が残った次第である。

ただ、実際の現場のスタッフの情熱が、冒頭に書いたいまも特撮ものが連綿と作られ続けているところにつながっているということは十分納得できた。



インザヒーロー
スコアはイ・ドンジュンが担当している。
最初、スコアを彼が担当すると知って、これは映画音楽ファンとしてはちょっとした事件(と書くと大袈裟だが)だと思った。

イ・ドンジュン。
知る人ぞ知る韓国映画界を代表する映画音楽作曲家だ。
韓国映画にこんなにも面白い作品がある、ということで話題になった『シュリ』(99)の熱いスコア(平たくいえば、ハンス・ヅィマー風)を書いたのが彼だった。
以後、韓国映画界にイ・ドンジュンあり、と、彼の作品のサントラに注目する映画音楽ファンも少なくなかった。

『ロストメモリーズ』(02)、『ブラザーフッド』(04)等で鳴らした重厚なスコアは、ハリウッドのそれに匹敵するほどのスケールを持っていた。
なので、今回、彼が日本映画のスコアを初めて担当するとなると、これは期待しないわけがない。

だが、実際の本作のスコアは、なんというか・・・軽いのだ。
日常のドラマ部分で、まるでコメディのようなライトなスコアが流れている。
え? これほんまにイ・ドンジュン? って、最初は信じられなかったほどだ。

たしかにクライマックスのアクション・シーンでは派手にスコアがなってはいたが、それさえも彼の過去の作品におけるスコアと比べると、え? ってなものだ。
これは実に残念だった。

【amazon】
【amazon MP-3】
【タワーレコード】
【iTunes】



インザヒーローシュダイカ
その代わりと言ってはなんだが、吉川晃司による主題歌が、本編以上に熱い。

たいてい、日本映画の主題歌って、エンドクレジットにちょろっと流れて、スコアとはまったく絡まないのがほとんどだというのは、僕も再三書いている。

本作もスコアと主題歌は別物なのだが、本編の盛り上がる場面でまずこの主題歌が流れ、クライマックスのアクション・シーンでも再び流れてくる。

さらに、エンドクレジットでもあらためて流れてくる、というようにかなり主張の強い主題歌なのだ。
こういう使い方が、本当の意味での「主題歌」なのだと思う。

【amazon】
【amazon MP-3】
【タワーレコード】
【iTunes】




コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/417-151fdfcc