■『スペル』■(映画) 


スペル
いやぁ~~~笑った笑った!!
ホラー映画を観て笑うってのもおかしな話ですが、この『スペル』を観たらおそらく過半数の方は共感していただけるものと信じております(笑)

サム・ライミ・・・いまや『スパイダーマン』シリーズの監督というイメージが強いですが、彼の監督第一作『死霊のはらわた』(83)の洗礼を高校時代にリアルタイムで受けた身としては、サム・ライミ=ホラー映画という印象は拭いたくとも拭えないわけであります。
いまだに『死霊のはらわた』を初見した際のインパクトは強烈でしてねぇ、当時のホラー映画の主流でもあったスプラッター・ムービーでありながら、そこはかとない可笑しさ(&悪趣味)が同席しているという、なんとも不思議なテイストを持ったそのスタイルはじつにじつに新鮮でした。
その後、ホラー映画のみならずあらゆる作品をこなしてきたライミ監督ですが、本作の『スペル』を観るに『死霊のはらわた』のテイストがまったく損なわれていないばかりか、さらにそれを上回る可笑しさ(&悪趣味)を併せ持っているのは、それだけ監督が監督しての腕が洗練された証なのかもしれませんね。
たとえば『XYZマーダーズ』(85)や『死霊のはらわた2』(87)における、あまりにも大袈裟すぎるスラップスティックな演出が本作では何倍もブローアップされたような感じといえばお判りいただけますでしょうか。
具体的な描写は敢えて書きません。ぜひ、劇場で体感していただきとうございます。

スペル3
昨今、上映時間が長めの映画が多い中、本作は1時間30分というお手ごろサイズ。
ヒロイン、クリスティン(アリソン・ローマン)が体験する恐怖の物語という、ストーリーもきわめてオーソドックス。
とにかくここに登場するジプシーお婆ちゃん(ローナ・レイヴァー)の恐ろしいこと恐ろしいこと!
クリスティンのささいな「欲」に端を発した、ジプシーお婆ちゃんとの壮絶な対決が展開される前半部。
その果てにお婆ちゃんから呪いをかけられ、おっそろしい目に遭いつつも霊媒師の助けを借りて呪いを解こうと右往左往するクリスティンが描かれる中盤。
そして、いよいよ呪いを解こうと奮闘するクリスティンを描く後半部。
1時間半という上映時間のなかで構成がしっかりしていている映画は観ていて飽きないし、そのうえ先にも書いた独特な可笑しさ(&悪趣味)が全編を包んでいて、最後の最後まで突っ走るかのごとき展開には、観ているこちらとしてはあれこれ考えず身を任せるしかないのです。

スペル4
そう、この映画、あれこれ考えちゃダメですよ。
僕はあれこれ考えたばかりに・・・まぁ、それ以上は書きますまい。
とってもとっても面白い映画であることには違いなく、ひょっとしたら今年観た映画の中ではかなり上位にいくかも・・・と、映画を観ている途中までは本気でそう思っていたのです。
ただ、これは詳しくは書きませんが映画をご覧になった方ならば、僕が何を言わんとしているのか悟っていただけると思うんですけど、もう一回ひっくり返してくれるんじゃないか・・・って一縷の望みを抱いていたんですけど・・・ねぇ。

たとえば、お好み焼きを作っていて、片側がいい具合に焼けてきた。
さぁ、コテでもって一気にひっくり返す。
ああ、いい焼具合。
もちろん、そこでソースや青海苔をふりかけて食べても十分イケるんですけど、まだちょっと中のほうが生焼けみたい。それでは、もう一度ひっくりかえして香ばしさを出しましょうかね。

そう、この香ばしさが無いんですよ。判りますぅ?
それがちょっと残念だったし、あぁ、これだけの映画なのに勿体ないなぁ・・・と。
ライミだったら、絶対もう一回くらいひっくり返してくれると思ったんですけどね・・・。もちろん美味いんだけど、香ばしさが・・・って、ね。
考えるに、サム・ライミは本作で原典回帰もさることながら、やっぱりオーソドックスなホラー映画を作ろうとしたのでしょう。
オープニングのユニバーサル映画のロゴも最近のものではなく、一昔前のスタイルというのもその表れなんだと思います。
だから、奇をてらった(本編の演出は十分奇をてらってますけど)ものではなく、あくまでオードックスな映画を目指したのですね。それを考えるとクライマックスの展開、いわゆるお好み焼きの生焼け状態というのも納得できなくはないのですけどね。

スペル2
とはいえ、残念なだったのはそこだけで、本編は本当に楽しい楽しい映画ですし、メイン・タイトルからハッタリ感効かせまくりなクリストファー・ヤングのスコアも素晴らしい。
音楽面でいえば後半、呪いを解く方法を実践しようかしまいかバーで悩むクリスティンの背後に流れるBGMが、ラロ・シフリンが書いてフリードキンの怒りを喰らってボツになった『エクソシスト』のボツスコアだったりするお遊び(いったい、何に対するお遊びなのかはともかく)も仕込んでありまして、映画音楽ファンとしてもニヤリとせずにおれなかったりすることを考えれば、それだけでお腹一杯!

ホラー映画は猛烈に苦手という方以外なら、楽しめること請合いなアトラクション・ムービーの秀作と言っていいでしょう。
でも、悪趣味ですよ~~~。

あ、あと本作の劇場予告にTVスポットに苦言を呈したい。
あれを作った方は猛烈に反省すべし(本編ご覧になったら判ります)。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中80点】

※ライミの原点、『死霊のはらわた』。
店頭ではほとんどみかけなくなったDVDも、amazonではまだ購入可能なようで。かなり高価ですけど・・・。



※けっこう好きなんですよ、『XYZマーダーズ』。
その昔、『クリープショー』と2本立てで劇場で観た際は興奮しましたなぁ(笑)
これまた好きな怪優ポール・スミスの怪演も堪能できますよ。





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