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■『世界の果ての通学路』■(映画) 







セカイノハテノツウガクロ
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8月末で閉館した奈良県のシネマコンプレックス、MOVIX橿原のラスト上映(8月30日、31日の限定公開)の1本。
ここで上映されてなかったら、おそらく観逃していただろうドキュメンタリー映画の秀作。
(ちなみに東京ではシネスイッチ銀座、大阪ではシネ・リーブル梅田でそれぞれ4月に公開されていた)


世界のあらゆる地域から4つの場所を選び、それぞれの場所で暮らす子供たちが、それぞれに学校へ通学する姿を追う。
それだけ聞くと、たとえば学校の映画上映会などで半ば強制的に見せられるような、文部省選定のお堅い映画(実際、本作は文部省選定作品なのだが)というイメージを持ってしまう。
しかし、これがどうしてどうして、子供はもちろん、大人も十分楽しめるエンターテインメント巨編、というと大袈裟だが、SFXをふんだんに使ったアドベンチャー映画くらいの面白さに満ちた作品に仕上がっていたのが、意外だったが嬉しかった。


ケニアに暮らす兄妹(すんません、観ている間てっきり弟だと思っていた)は、いつ巨象などの野生生物に襲われるかもわからないサバンナの、片道15キロもある通学路を2時間かけて学校へ向かう。
アンデス山脈に暮らす兄妹は、馬に乗って山や草原を抜け、片道18キロの通学路を1時間半かけて学校へ向かう。
モロッコの山岳地帯で暮らす少女は、険しい山道の片道22キロもある通学路を4時間かけて学校へ向かう。
インドの少年は、体が不自由なので車椅子(これが相当にボロボロなのだ)に乗り、2人の弟とともに片道4キロの通学路を1時間15分かけて通学する。

これを彼らはほぼ毎日、往復するのだ。

しかし、それぞれ子供たちは、なかには通学途中に友達や兄弟に愚痴を言ったり喧嘩もするが(これがまたじつにユニークだ)、みんな表情は活き活きとしている。
映画のクライマックス、各自が将来の夢を語る部分において、それぞれに確固としたビジョンを持っていることに大いに関心するとともに、大人になった僕も思わず襟を正したくなるほどだった。


監督したパスカル・プリッソンはフランスでドキュメンタリー映画を何作も撮って定評のある人物だということだが、僕自身、彼の作品を観るのは今回が初めて。
本編中には一切ナレーションを入れず、カメラはひたすら子供たちの姿を追う。
中には1つのシーンを多方面から撮っているという、明らかに一度ではカメラに収められないと思しき場面もあって、多少なりとも演出も入っているんだろうな・・・としか思えない部分もあるが、そんな重箱の隅をつつくようなこちらの視点も消し去ってしまうほど、子供たちの活き活きした表情を捉えるブレッソン監督の手腕は見事である。


本作に登場する子供たちを、日本の子供たちに置き換えるのはナンセンスかもしれない。
環境も風俗も全く違うし、国の政策の違いもあるだろう。
たとえば僕が通っていた小学校なり中学校は、歩いて15分くらいの場所にあった。
明確にはわからないが、日本では通学する校区というのは、歩いて容易に通学できる範囲に定められているのだと思う。
ただ、毎朝、通勤で母校の前を車で通るのだが、明らかに学校の近くまで親が子供を車に乗せて来ている場面に何度か遭遇したことがある。
ひょっとしたら、体が弱いのでやむなく・・・ということなのかもしれない。
それぞれの家庭の事情もあるのだろうが、ならば堂々と校門の前で車を停めればいいものを、校門付近にいる教師たちから見えないところで車から子供を降ろしているのを何度も目撃している。


そういう親子には、この映画の爪の垢でも煎じて飲んでいただきたいと思った。
というのは、極々個人的な意見であるが、それを考えれば、こういう映画は冒頭にも書いたように学校の映画上映会にはぴったりの作品なんじゃなかろうか。


この映画を上映したMOVIX橿原は、メジャー系の映画はもちろん、奈良県内ではなかなかお目にかかれないミニ・シアター系の作品も積極的に取り上げていたシネコンで、一映画ファンとしても大いに重宝したものだった。
そのラスト上映で、奇しくも夏休み最後の2日間で、かような秀作を取り上げたMOVIX橿原の意図というものを考えると、これは英断以外のなにものでもなかったと言えよう。



セカイノハテノツウガクロ
スコアを担当したのはローラン・フェルレ。

日本ではあまり馴染みのない作曲家だが、今回の監督パスカル・プリッソンとは何度もコラボレーションを組んでいる。

他にフランスのエロティックTVドラマシリーズ、『ノクターン』(01)(日本でもDVD化されている)のスコアも担当しており、方や文部省選定のドキュメンタリー、方やエロドラマという、その両極端ぶりがじつにユニークだ。

上でも書いたように、ナレーションが一切入らない本作において、スコアは重要な役割を担っている。
無論、4つの国の子供たちの姿だけでも、十分魅力的なのだが、その心情をスコアは見事に代弁している。

全体的にエキゾティックなスコアになっており、特にメインテーマの旋律(エンドクレジットで流れる)は、アンデスの兄妹が馬で疾走する場面でも効果的に流れている。
なかなか日本には情報が入ってこない作曲家だが、そんな彼の実力のほどがうかがえるスコアだ。

他に劇中で子供たちがくちづさむ歌も収録されている本作のサントラは、iTunesによるダウンロードのみの販売となっている。

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