■『バトルフロント』■(映画) 







バトルフロント
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ここはルイジアナの片田舎。
表向きは船の整備工、じつは倉庫で危険ドラッグをちまちま作っては売りさばいて生計を立てているゲイダー(ジェームズ・フランコ)というボンクラな男がおりまして。

地元のハイティーンがドラッグでラリっているところへ押しかけるや、

「お前らぁ、ドラッグなんかやめんかいっ!!」

と、バットで男の子の足をへし折るような正義漢。
いえいえ、自分のシマを荒らされたことへの腹いせなだけなのだった。


ある日、ゲイダーは妹のキャシー(ケイト・ボスワース)から、

「お兄ちゃん、うちの子、最近越してきた野郎のメスネコ(娘のこと。本当はここに書けないような暴言を吐いている)に怪我させられてん。仇とってぇなぁ」

と、ヒステリックな電話を受ける。
キャシーはドラッグ中毒で、クスリが切れると頭の線も切れるという、兄以上のボンクラなビッチだった。
クスリが切れるたびにヒステリーを起こして、キィキィまくしたてるわけだ。

面倒はご免やで・・・と思いながらも、妹の頼みやったらしゃあないなぁと、キャシーの言うメスネコの親父に、手下を3人ばかり差し向けるが、あっさり返り討ちに遭ってしまう。


ほんま、腹立つなぁ、こんなことやったら妹の話なんか聞かんかったらよかった。
こっちは、波風立たんように、こっそりドラッグ売ってるだけでええのに・・・と思いつつも、手下がボコボコにされると、いくらボンクラなゲイダーにも面子があるというものだ。

彼はメスネコとその親父の家を突き止め、二人(どうやら親父は「やもめ」のようだ)が外出している間にこっそり家の中へ、

「ごめんくさ~~ぃ。お隣さんですけどぉ~~~。玄関開いてまっせぇ~~~」

と言いながら侵入する。
そこで彼が見たものは、メスネコの親父の隠された正体だった。

「え、えらいもん、見つけてしもたわ・・・」

と驚きつつも、それをネタに自分の商売に結びつけようと思い立つゲイダー。
それはともかく、メスネコが大事にしているぬいぐるみと黒猫のルーサー(メスネコが黒猫を飼っているというややこしい設定だ)も持ち帰ってくるところが、ゲイダーのボンクラなところだ。


さらにゲイダーのボンクラぶりなところといえば、妹のキャシーに、

「なぁ、に~~ちゃん(いわゆる関西人のおばちゃんが、縁もゆかりもない男性に声をかけるときの呼び名ではなく、実際に兄という意味で)、クスリ切れてお腹の調子悪いねん。ちょっとでもええからクスリおくれぇなぁ~~~」

と、旦那(こいつもまたボンクラ。キャシーにせっつかれてメスネコの親父を殴ろうとして、あっさり腕を捻じ曲げられる)や息子(絵にかいたようなクソガキ)の前でそんなことを言うものだから、

「こら! クスリなんかやめて、もっとまともにならんかぃっ!!」

と怒鳴りつけたりする。

おそらくここで、場内の観客のほとんどが、

「それはお前やろ~~~っ!!」

と心の中で叫んでいたのは想像に難くない。


そのキャシーはというと、もとはといえば自分の「お願い」のせいで、いろいろややこしいことになっているのに、ある日のこと、メスネコの親父直々に

「こないだは、うちの娘がおたくの息子さんに怪我させて、えらいすんませんでしたなぁ。
今度、うちの娘の誕生会をやりますんで、ぜひ来ておくんなはれ」

ってなことを言われ、それまで爆発させていた怒りもしゅわしゅわしゅわわわんん~~~としぼんでしまっていた(クスリが効いたのか?)。
そして、きっちり息子(ほんまにブッサイクなクソガキ)とともに、メスネコの誕生会に出席したりしている。


さて、ゲイダーは腐れ縁で愛人でビッチ(職業も娼婦なので)なビッチのシェリル(ウィノナ・ライダー)を呼びつける。
仕事の話をする前に一回、キチンと「することを済ませ」るところがなかなかの男っぷりだ(そうなのか?)。
ゲイダーはメスネコの親父の秘密を餌に、凶悪な麻薬売人とコネを作って、自分の商売をもっと広く展開しようと思いたち、その連絡役にシェリルを使おうとしたのだ。

しかし、類は友を呼ぶもので、このシェリルもまたゲイダーやキャシー以上のボンクラだった。
彼女のおかげで事態はどんどん悪化。
町の中では銃撃戦が起こるわ、せっかく自分が作った危険ドラッグ工場も大爆発を起こしてしまう。
おまけに、やらなくていいのにシェリルはメスネコを誘拐してきてしまったりする。


もう、ええ加減にしてほしいぃわぁ~~~~!!!!
と、涙目のゲイダー。
そこに彼の言いつけどおり、ちょいとまともになったキャシーがやってきて、

「ちょっと、にぃ~~~ちゃん、メスネコ誘拐してきてどないすんねん!! アホちゃうか!!」

と罵声を浴びせられたものだから、つい拳銃で彼女を撃ってしまう(つい、で撃つなよ)。


自暴自棄でテンパってしまったゲイダーは、何台もやってくるパトカー包囲網のなか、人質のメスネコを連れて逃走するのだった。

はたして、ボンクラ男ゲイダーの運命や如何に・・・。



あ、この映画、主役はあくまでジェイソン・ステイサムである。
シルベスター・スタローンが書いた脚本を、ゲイリー・フレダーが監督したクライム・アクションで、もともとはスタローン自身が主役を演じようとしたのを、ステイサムに進呈したという。

もちろん、最初は自分の娘とドラッグ中毒の女の息子で問題児の少年との、ちょっとしたケンカが発端のアクション映画(子供のケンカが発端ってどないやねん)という、本来の見方で楽しんでももちろんよいのだが、敵役であるゲイダーの視点から物語を追うピカレスク・ロマンという側面も持っているのだ。

これからご覧いただく際に注意して観てもらいたいのだが、劇中、ステイサムは悪人を何人も殺しているのに、ゲイダーは一人も殺していない(映画で描かれていないところでは知らんけど)。
それひとつとっても、本作が何を描かんとしているのかがよくお分かりいただけると思う(そんな深い映画じゃないけどね)。


本作の魅力の一つに、キャスティングの妙がある。
かつては、可憐な乙女であったウィノナ・ライダーに、瑞々しいピーチのようなケイト・ボスワースが、本作ではカスカスのたくあんの古漬けの如くに変貌しているその哀しさ(楽しんで観てたけど)。
そこにスタッフの悪意を感じてしまったりするわけだが、特に終始ビッチなウィナニーの姿には思わず「嗚呼、嗚呼、嗚呼々々々々・・・」と唸ってしまうほどだ。

他に個人的に嬉しかったのは保安官役でクランシー・ブラウンが出演していたこと。
この人、結構好きなんですよ。

あ、そうそう、キャスティングでいえば、最初の方に登場して物語に大きく関わってくるんだろうな・・・と思った、ラシェル・ルフェーブルが途中から姿を消してしまうという、さすがスタローンの脚本やなぁ・・・というアラもまた楽しからずや。

今年の夏は、怪獣やらロボットやらアニメばっかりで、観たい映画があらへんがな、とお嘆きの貴兄には、ぜひお勧めしたい一本である(内容は中学生が書いたような物語だけど)。



スコアを担当したのはマーク・アイシャム。

RC関連の作曲家が幅を利かすハリウッドにおいて、こういった作曲家に活躍の場がまだあるというのは、それだけでも嬉しくなってしまう。
もっとも、監督したゲイリー・フレダーとは『コレクター』(07)、『サウンド・オブ・サイレンス』(01)などでもコンビを組んでいるので、その流れなのだろうが、監督の義理堅いところが伺えるというものだ。

ストリングスと打ち込みをメインとしたスコア作りで、まぁ正直なところメロディ部分での印象は薄いが、主人公のやもめ暮らしな部分を哀愁を帯びたストリングスが奏でていくというところが、アイシャムの真骨頂か。

アクション場面になると打ち込みのリズミカルなスコアになり、そこにはいまひとつ個性は感じられなかったのが残念なところ。

なお、本作のサントラはCDはおろか、ダウンロードでも販売されていないようだ。


コメント

>ケフコタカハシさま

まさに『シザーハンズ』の頃のウィノナ・ライダーは、キュートな絶頂期だったかと思いますねぇ。

その後、万引き事件など経歴に汚点を残してしまいましたが、そういう意味では今回の役柄はピッタリというかなんというか・・・(笑)

あらら?!私ったら、何か勘違いしてたみたいですね。ゴメンナサイ。ちょっと検索してみたら、ウィノナ・ライダーの出てるのは「シザーハンズ」しか観てないですわ。人の顔を覚えるのが苦手なので、どうも女優さんの区別がなかなかつけられなくて・・・。

>ケフコタカハシさま

あ、それとウィノナ・ライダーですが、『キル・ビル』には出てなかったと思いますが。

『キル・ビル』、好きなので何度も観ております(笑)

ウィノナ・ライダー、『シザーハンズ』や『エイジ・オブ・イノセンス』、『若草物語』などで魅了された身としては、今回のあの役柄は・・・(笑)

同じく、ケイト・ボスワースは『ブルークラッシュ』の女性サーファー役や、なんといっても『スーパーマン・リターンズ』ではロイス・レイン役を演じるくらいの女優だったんですが・・・。

>ケフコタカハシさま

そうですね、最初はホームドラマ然としてましたねぇ(笑)

なので、ラシェル・ルフェーブルがもっと物語に絡んでくると思ったのに(お父さんの再婚話みたいな展開になってくるかと)、途中から忘れ去られた存在になってたのが、え? って(笑)

結局は、アクション映画として終わってましたけど、じつはジェームズ・フランコが主演だったんじゃないのか、と思うとまた違った見方ができるんじゃないかと思って書いたのが、上のレビューです。

まぁ、いずれにせよ楽しい映画だったことには変わりないわけで(笑)

コメント、ありがとうございました!!

バトルを呼ぶ男ジェイソン

こんにちは。ボンクラ兄貴のピカレスクロマン、楽しく拝見しましたよ〜。私はこの作品、勧善懲悪物のハッピーエンドなホームドラマと解釈しました。本人は全くそのつもりはないのに、どうしても暴力沙汰を引き寄せてしまうジェイソン・ステイサム。その彼が父親役だと、ホームドラマもアクション満載にならざるを得ないかと。あんな父親を持つ娘は大変だろうなぁ、と妙なところに感情移入しちゃったりして。

ウィノナ・ライダーってそんなに可憐だったんですか?私はキルビルでしか観たことがないので。あ、そうそう、子猫のルーサーちゃんが無事だったのが一番ほっとしましたわ。あ〜んなのとか、こ〜んなのとか、色々と変わり果てた姿で発見されるんじゃなかろうか、とドキドキしましたから。

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