FC2ブログ

■『BALLAD 名もなき恋のうた』■(映画) 


バラッドナモナキコイノウタ
原作である『映画版クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(02)にいたく感激し、これが実写映画化されることを想像しただけで本作は傑作になることを確信していました。
しかも山崎貴監督ということでこれはもう期待しないわけがない。

ただ、過度な期待は得てしてヌカよろこびに終ってしまうもので・・・。

おおまかなストーリーは原作どおり。

特にキャスティングやタイトルからも判るように、本作は身分を越えた愛を描くラブ・ストーリーの要素が濃厚な仕上がり。とはいえ、期待していた中世城郭、とりわけ平山城の描写については、本作においても緻密な調査や時代考証がなされたうえのもので十分満足いくものでした。
VFXの発達もあって、わざわざ大規模なセットを組まずともスクリーンに城郭を再現することが可能になった現在では、よりリアリティを追及した映像も期待できるわけで、その点は『ALWAYS 三丁目の夕日』での実績のある山崎監督の真骨頂ともいえます。

そんな技術面ばかりでなく、たとえば1ショット長回しを多用した演出はある種の緊張感もともなって、ラブ・ストーリーとはいえ戦国時代の合戦絵巻でもある本作のもう一つの魅力を十分伝えるものでした。
また、原作における消化不良と思った部分、たとえば現代からタイムスリップする主人公一家が持っていく、現代の様々な小物が、けっきょくは自動車とエクササイズ器具くらいしか活躍の場がなかったのに対し、本作ではさまざまな物が登場。その使い方もストーリーに巧みに組み込んであり、このあたりは原作を超えていると思いましたね。

ただ・・・。

主人公を原作どおりのキャラとして描くには、いろいろと難しい(笑)でしょうから、本作では幼稚園児から小学生へと設定変更がなされています。それはいいんですよ。
でも、とっても残念だったのはその主人公のキャラというのが、いわゆるいじめられっこなんです。しかも、ステレオタイプの。正直、えぇ・・・っ、またかよ、って思いました。
いじめっ子の不正を正すクラスメートの女子を守れなかったというエピソードが開巻早々に描かれて、
「ああ、この子がその後の体験を通じて、人間として成長していくんだな」
という予想はその時点でついてしまう。で、まったくその通りの展開になっていくのです。

キャラ設定の相違については、「クレヨンしんちゃん」をそのまま実写化したのではなく、あくまで原案ということを考えれば納得いかないわけではありません。しかし、だからといっていまさら手垢にまみれたテーマを持ち出すのではなく、たとえば大人に対して礼儀知らずのガキンチョであったり、社会的なマナーの知らないクソガキ、もとい、お子ちゃま(笑)も実際にたくさんいるわけですから、本作における主人公もそんな設定でもよかったのではないのか。
大人にタメ口を吐くような子供が、規律を重んじる武士の世界に触れ、そして人と人とのつながりが断たれてしまう殺し合いの場を身をもって体験することで、人間として成長するという設定でもよかったのではないか、と思うんですよ。

作り手の姿勢の違いであったりアプローチの違いというのも判らなくはないのですが、本作ではそれらが残念ながら裏目に出てしまった感があって、そこからくるのでしょうか、映画全体を包む妙な真面目さが逐一鼻についてしまったのも事実。
原作における巧妙だと思った部分(本筋に関与しないシークエンスの簡略化された演出)も、こちらは逐一時間をかけて描いてしまうのも、これまた監督の人柄なのでしょうが、かえって映画を冗長にさせてしまった感があります。

「鬼の井尻」と呼ばれるような猛者には到底見えない、某アイドルタレントをキャスティングしているとか、あまりにも原作のクオリティが高いということを差し引いても、引っ掛かる部分の多々ある作品でありました。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中65点】


※山崎貴監督といえば『ALWAYS 三丁目の夕日』が代表作ですが、個人的にはコチラを推します。
初めて劇場で観た時は、「スゴイ人が出てきたぞ」と思ったものです。



※こちらはデラックス・エディション。
よっぽどのファンでないかぎり、スタンダード・エディションでも十分楽しめますよ。


コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/4-635af880