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■『るろうに剣心 京都大火編』■(映画) 







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2年前に公開された前作は、谷垣健治氏によるせっかくのアクションをことごとく台無しにしたカメラワークと、リズム感に欠ける編集の悪さと、登場人物のオーバーアクション(特に香川照之)に辟易した、じつに印象の悪い作品だった(あくまで観る者の個人差があるので、そこは十分理解していただきたい)。

観るべきところといえば、武井咲が縛られて苦悶の表情を見せる場面くらいなもの(あくまで観る者の個人差・・・もういいか)で、それがなかったら、コミックを実写映画化して失敗こいた、有象無象の作品の一つになっているところだった(もっとも原作もコミックはおろか、アニメ化された作品は一度も観たことはないけれど)。

それを受けての本作である。
前作に引き続き、監督を筆頭にスタッフ再結集。
無論、アクション監督は谷垣健治氏だが、撮影、編集も前作と同じだ。
ということは観る前からその出来は予想に難くないというところだが、2部作の前編ということで、スタッフも相当に力が入っていることは伝わってくる。

今回は前作に比べ物語もスケールアップしていたし、大久保利通暗殺という事実を巧みに取り込んだ伝奇ロマンとしても見ごたえがあった。
9月に公開される後編への橋渡し的なエピソードも効いていたし、2時間を超える上映時間だったが十分楽しめる内容になっていた。


谷垣氏によるアクション・シーンも相当派手なものになっていたが、いかんせん、それを十分に活かしきれていないのは、前作同様だった。
ところどころ、アクションにカメラが追い付いていない場面があったり、逆にスピーディでなくとも、登場人物が刀を鞘から抜くスローな場面でさえ、それが追い切れていないのは、剣戟がテーマの一つになっている本作においては致命傷だ。
おそらく、谷垣氏とカメラマン、無論、監督もアクション・シーンについては何度もディスカッションを重ねていることと思う。
その結果があれでは、これは僕が視覚から得る躍動感と、このスタッフの考える躍動感の波長が生理的なところでまったく合っていないということなんだろう。

たとえば、谷垣氏も参加した『捜査官X』(11)などは、そのアクション・シーンのすべてに観ているこちらのアドレナリンが爆発するかのような躍動感と昂揚感を得たものだ。
あれは、ドニー・イェンという稀有なスタッフの存在が大きく関係していることによる違いなんだろうけど、まったくの日本人だけのスタッフでは、なかなかそこまで到達しないのかな、というところがなんとももどかしい。


アクション以外に目を転じれば、今回は「裏切られた者の怨念」が物語のテーマとなっている。
幕末という時代の大きな転換期に、政府に裏切られた者、幕府に裏切られた者、立場は違えど同じ恨みを持った人物が登場する。
主人公はそういった者の心情が理解できたうえで、それらと対峙しなければならない。
多少、書き込みが浅いなぁ・・・とは思いつつも、出演者たちは説得力のある演技を見せてくれる。
特に、田中泯と伊勢谷友介のエピソードは、なかなかの見ものであり、ここで披露する田中泯のアクションは特筆すべき見どころの一つになっている。

あとは、汗だくの表情の胴着姿であったり、やっぱり今回も縛られるのかぃ(監督は緊縛癖でもおありなのだろうか)ってな武井咲の姿には、十分満足(あ、そこなの・・・)させられたので、それについては申し分ない。
まぁ、あのか弱い声で薙刀振るわれても、まったく強くもなんとも感じなかったのは、道場主役としてはミスキャストなのかもしれないけれど・・・。



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スコアを担当したのは、前作に続き佐藤直紀。
ハリウッド製大作スコア、たとえばジョン・ウィリアムズやジェリー・ゴールドスミスといった作曲家の影響を強く受けたことは想像に難くない作曲家だ。
ほかにも、あ、ここはエンニオ・モリコーネだな、ここはジョン・バリーだな、と、そういうところが逐一感じられるのは、映画音楽ファンとしては楽しいわけで、そういった作曲家の後継者としては、アメリカのマイケル・ジアッキーノ、日本の佐藤直紀と並び称してもいいのではないか。

今回のスコアは、たとえば前作のような悪役登場場面に執拗に何度も流れるワルツのようなくどいものはなくて、主人公の宿敵登場シーンにおけるエキゾティックな女性コーラスを用いたスコアが印象深いところだろうか。
アクション・シーンにおける躍動感あるスコアもいいのだが、先にも書いたようにいかんせん映像がスコアに負けていたのは至極残念なところだ。
他にも、気になったのは冒頭のシークエンスでスコアが鳴り過ぎて登場人物のセリフが一部聴き取りづらい個所があった。
スコアを活かすも殺すも、スタッフ次第だなぁ・・・と痛感した場面だった。

なお、エンドクレジットには前作同様、映画本編の印象とは大きくかけ離れたロック・ナンバーが流れる。
まぁ、いろいろ大人の事情もあるのだろうが、大きな余韻を残す本作ゆえ、よけいに今回のロック・ナンバーは異質である。
最後まで佐藤直紀のスコアで通したっていいじゃないか。
特に邦画にこういうケースが多いが、こういうアホなこと(敢えて書くけれど)をするようなプロデューサーは、本当に映画に対する愛情があるのかと、いつも疑問に思う次第である。

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コメント

>きょーこタカハシさま

先日は「完結編」初日ということもあって、劇場はどこもごったがえしていました。
(僕は別の映画を観に行ってたので、まだこちらは観てないのですけど・・・)

翌日曜日も満席状態の劇場も多いようで、相当にヒットしそうですね。

さて、アクションの件ですけど、なんていうかリアルにやろうと思うと、いわゆる時代劇のようにはいかないと思うんですよね。

刀って「るろうに~」みたいにいくら達人でもそう軽々と振り回せるほど軽いもんじゃないし。

そんななかで、観ている人にいかに殺陣をアピールできるか、となると、それぞれスタッフは工夫されているわけで、件の谷垣氏のコメントもそんな中でのことだったのでしょう。

それが、リアルだ、カッコイイ、と思う方もいれば、やり過ぎと感じる方もおられるし、僕のようにどうもあの映画の殺陣は違和感だらけ・・・と思う者もいるわけで(笑)

個人的には、邦画でいえばかつての若山富三郎の『子連れ狼』シリーズの殺陣が、けっこうワイルドで、一部荒唐無稽な部分もありますが、リアルだなぁ・・・って思ったものです。

話は変わりますが、昨日、某劇場で映画を観た帰りに、「完結編」を観たカップルが映画の内容をぺちゃくちゃ後ろで喋っておりまして。

おかげで、だいたいのストーリーが判ってしまいました・・・うううう・・・(笑)

「るろうに剣心完結編」私も楽しみにしてますよ〜。先週の土曜日に番宣のため、佐藤健と谷垣さんが某番組に出ていました。それによると「京都大火編」の最初の立ち回りのシーン(貧しい村人を痛めつけるシシオの配下相手)では、刀を本気で当てているということを随分強調していました。

「本気で」ってのがどの程度のことなのか、私は良くわかりませんが、それってわざわざ強調するべきことなの?とちょっと不思議でした。そもそも剣心の使っている剣は逆刃刀なので「斬る」ことでダメージを与えるのではなく、当てる(叩く?)ことで相手を倒す訳ですよね?だったらある程度「当てる」動きをしないと、リアルな物にはならないのは当然だと思うんですよ。ある意味殴り合いのアクションと同じ。

同じくこのシーンではドスドスという効果音がやたら強調されていて、逆にヤリ過ぎな感じを私は持っていました。そういう観点から、日本の視聴者にはあまりアクションに対する感性がないのかな、というのが最近私の気がついたところです。

>きょーこタカハシさま

ようやく『捜査官X』ご覧になられたのですね!

ブログ、拝見させていただきました。

そうですか、グロいところは苦手なのですね。
僕も最初はそんな感じで最後まで進むのかと思ったら、ジミー・ウォングが登場してくる後半は、前半と映画の内容が変わっておりましたねぇ(笑)

でも、僕としては1本で2本の映画を観ているような、そんな満足感がありました。

『るろうに剣心』、上では散々なことを書いてはいるものの、完結編の公開を実は楽しみにしていたりするのです(笑)

こんにちは。「捜査官X」観ましたよ〜。直前に新聞に谷垣さんのことが出ていたので、登場してすぐわかりました。あっっと言う間に片付けられてましたね。いきなりコロっといっちゃったので???だったんですが、その後の金城武の推理のシーンでなるほどでした。

詳しい感想はこちら↓のURLってところをポチッとした先にありますので、お暇であればぜひどうぞ。

>きょーこさま

コメント、ありがとうございます!

そうですそうです、スピード感はあるのですが、躍動感がないというか・・・。

あんなことして、実際には斬り合いなんてできないだろう、というなんというかリアル感も感じられなかったんですよねぇ・・・。

『捜査官X』はとっても面白かったですよ。
最初は推理物かと思いきや、とんでもないアクション映画に途中から変貌(笑)

それでいて、双方の満足感も得られた稀有な作品だと思います。

ちなみに、谷垣氏もドニー・イェンに倒される悪役の一人として出演されていますよ。
観る機会があればいいですね!!

こんにちは。いきなりのコメント失礼します。私も今日この作品観てきました。アクションシーンにかなりの時間があてられてるな、という印象でした。それも派手さとスピード感を追求しているアクションがメインで、動きの面白さとか美しさにはあまりこだわっていないようですね。

ドニー・イェンのアクションが好きなので「捜査官X」は気になってました。でも私の利用しているネットレンタルには置いてないんですよ。TSUTAYAにはあるのかしら?今度最寄りのとこに行ってチェックしてみようと思います。

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