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■『複製された男』■(映画) 







フクセイサレタオトコ1
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世の中には自分に似た人物が3人いるという。
僕も昔、後姿や(自分の後ろ姿がどうして判るのだ?)歩く様子が自分とそっくりな人を見かけたことがあるが、顔は全然違っていた。

今年、『プリズナーズ』が公開されたカナダの監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの新作は、ある日偶然にも自分と瓜二つな人物を見つけた主人公の姿を描く、なんとも摩訶不思議な映画。
実際には『プリズナーズ』の前に本国では公開されたそうで、日本では公開順序が逆になったわけだ。


大学で歴史を教えている主人公アダム(ジェイク・ギレンホール)。
ある日、彼はとある映画の端役に、自分とそっくりな男を見つける。
エンドクレジットでその俳優アンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール二役)の名前を確認したアダムは、フィルモグラフィーを調べ、レンタルショップでアンソニーの過去の出演作を借りてくる。
見れば見るほど自分にそっくりな男の存在に驚くアダム。
彼は意を決して、アンソニーにコンタクトをとり、やがて二人は対面することとなる。


原作はジョゼ・サラマーゴ。
どこかで聞いた名前だな、と思ったら2008年に彼の原作を映画化した『ブラインドネス』があった。
謎の病気によって、世界中の人々が失明するというデストピア物で、伊勢谷友介と木村佳乃も出演していたっけ。
ポルトガルのノーベル賞作家ということだが、そういえば『ブラインドネス』も単なるSFパニック物というよりも、哲学的な要素も濃厚だったなぁ(でも決して難しい映画じゃなかった)。

それがあったので、今回もSF物?(タイトルからして「ボディ・スナッチャー」を連想させるし) と思ったが、むしろカフカのような不条理感に満ちた作品だった。
あ、あくまで映画はということだけど。原作は未読なもんで。

アダムには倦怠期とはいえ恋人(メラニー・ロラン)がいる。
アンソニーには出産を控えた身重の妻(サラ・ガドン)がいる。
物語はこの二人をも巻き込み、やがて驚愕のラストへ突入する。

観客が知りたいのは、アダムとアンソニーはなぜソックリなのか?
いわゆるドッペルゲンガーなのか?
それとも、すべてはアダムの妄想なのか?
そんな疑問が頭の中をグルグルと巡った果てに、「あのラスト」ときたもんだから、おそらく劇場内の観客のほとんど(僕も含め)が、口をポカ~ンと開いた状態になっていただろう(笑)


フクセイサレタオトコ2
上映時間は90分。
最近の作品では短い方だが、3時間くらいあるんじゃないか、と思うくらい長く感じる映画。
いや、これは悪い意味ではなく、たとえば舞台となるトロントの都会の持つドライ感。
緊張感を孕む、どこか悲鳴を思わせるスコア。
ときおり挿入されるシュールな映像(予告編にも一瞬写るが、あれがさらに本作をSF物?と思わせる一因でもある)。
これらの要素が組み合わさって、テンポの良さとは程遠いが濃厚で濃密な映画となっているのだ。

様々な解釈のできる映画だが、それを書くと未見の方にはあらぬ先入観を持たせてしまうので、じつに説明に困る。
さらに、ヒントとなるような過去の作品のタイトルも挙げることができるが、それをやっちゃうとネタバレにつながりかねない。


ただ、スレスレのところで僕なりの解釈を少し書くとするならば、本作の真の主人公はアダムでもアンソニーでもなく、男に裏切られ男性不信となった、ある女性なのでは・・・と、ここまでにしておこう。

単純明快な映画もいいが、こういう知的イマジネーションを刺激してくれる(言い換えれば「難解」なわけだが)映画もたまにはいい。


フクセイサレタオトコ2
スコアを担当したのはダニー・ベンシーとソーンダー・ジュリアーンズ。
聞かない名前だなぁと思ったら、前者はクラシック畑の方だそうで。
パンフレットによれば、二人は高校時代の友人で後に再開しバンドを結成。
6年間活動したのち解散し、その後、映画やCM等で活躍しているとのこと。

日本公開作品では公開中の『GODZILLA ゴジラ』にも出演しているエリザベス・オルセンの出世作『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(11)がある。


フクセイサレタオトコ
先にも書いたが、全編緊張感を孕んだメロディを排したスコア。
終始鳴りっぱなしというわけではなく、要所要所で、登場人物の感情の起伏に沿って、軋むかのようなストリングスの音色が独特だ。
いわば前衛的。たとえば武満徹あたりのスコアに近いか。

サントラはMILANからリリースされている。
米盤と仏盤でジャケット・デザインが違う(主人公の横顔の方が米盤、黄色いジャケットが仏盤)が、内容は同じ。
ダウンロードでも入手可能。
クライマックスからエンドクレジット(このデザインもまたいいんだ)にかけて流れるリッチマン・ブラザースの「After The Lights Go Out」もスコアとともに収録。

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