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■『ホワイトアウト』■(映画) 


ホワイトアウト
先ほど公開された『エスター』に続いて、ホラー映画専門レーベル「ダーク・キャッスル」製作の映画が公開されジャンル・ファンとしては嬉しい限り。
もっとも、この『ホワイトアウト』はホラー映画というよりもサスペンス・スリラーという内容で、たとえばダーク・キャッスル第1作である『TATARI』(99)のように初期の頃はスーパー・ナチュラルを題材とした内容が多かったのに対し、『エスター』もそうですがサスペンス映画にシフトしつつあるのは、単にネタ切れになったのか、それともより作品の幅を広げようとしている会社の方針なのでしょうか。

とにかく本作は、「南極大陸で初めて起こった殺人事件」を描くというのがウリになっておりまして、あ、そうか、そういえば南極でそんな事件起こったことないよねぇ、と、なかなか面白い着眼点だとは思いました。


舞台は南極大陸にあるアメリカのアムンゼン・スコット基地。
米国連邦保安官キャリー(ケイト・ベッキンセイル)は2年の任期も終わりに近づき、こんなクソ寒いところからようやく解放されますわん(しかも周りは無骨なに~ちゃんばかりだし)、と、ほっとしていたのも束の間、基地の近くで一体の変死体が発見されることで帰国を断念せざるをえなくなります。
遺体の主は地質学者のワイス。
彼は南極に落ちた隕石の調査をしていたのですが、その遺体は全身骨折の上に急いで縫合されたような手術痕もあるという異様なものでした。
かくして南極初の殺人事件を捜査することになったキャリーは、はたして事件の真相を解明することができるのでしょうか? というお話。
ここにフード姿の殺人鬼が登場し、物語は連続殺人事件に発展していくのですが、国連から派遣された調査員ロバート(ガブリエル・マクト)も加わって事件は混迷を極めるなか、物語が進んでいくにつれ、どうやら南極の地に「ある物」が隠されていることがわかってきます。
その「ある物」が事件のカギであり、それが何なのかという部分で最後まで引っ張っていくというスタイル。

ホワイトアウト1
先にも書いたようにスーパー・ナチュラルな要素は皆無であり、僕は当初、ワイスの遺体が全身骨折という状況から、いわゆるモンスター映画なのかな? なんて想像したのですが、違いました(笑)

結果的には極めてオーソドックスなサスペンス・スリラーだったなぁ、というのが正直な感想です。
たとえば韓国映画の『南極日誌』(05)のような、もっと精神的なスリラー(タイトルの「ホワイトアウト」は雪で視界が見えなくなるという意味で、とっても意味深なんですけどねぇ)かと思ってたのが、そういう意味では少し肩透かしだったかなぁ。
それでありながら、物語の後半では巨大な嵐が基地を襲うというスペクタクル映画の要素も加わって、そういうところはプロデューサーのジョエル・シルバーの本領発揮というところなのでしょうが、それとていわゆるとってつけた感というものでもなくサスペンスを盛り上げるには効果的であり、エンターテインメントとしても面白く観ることができる作品でありました。


肝心のフーダニットの部分は、閉鎖された舞台設定だし登場人物も少ないわけで、それほど難しい映画ではありませんし、明らかに観客にミス・リードさせるために登場させたと思しきキャラであったり、ヒロインが抱えているトラウマを丁寧に描くことで観客の注意を逸らせるような、作り手もいろいろ工夫しているようですが、正直なところそれらは上手く機能していたとはいえません。
ただ、本作のキモである南極に隠された「ある物」の正体についても、フタを開けてみれば「なぁ~~~んだ」というようなシロモノなんですが、それを最後まで引っ張るところが本作の真骨頂だったのかな、といったところ。
これについてもアヴァン・タイトルで40年前のエピソードが描かれまして、いろんなヒントは本編にも散りばめられており、それと真犯人とどうつながってくるのかという部分に対して、いかに観客を引き込むかという点では監督したドミニク・セナの演出もあいまって、傑作とはいかないまでもサスペンス映画の佳作といってもいい仕上がりになっていました。

ホワイトアウト3
ヒロインを演じたケイト・ベッキンセイルもここ数年はなんだかジャンル映画専門女優のような感がありますが(本人が望む、望まないに関わらず)、本作でもトラウマを抱えながらも職務をまっとうしようとする心の強いキャラを好演。
とりわけ、殺人犯に襲撃された折、素手で凍った金属を掴んだばかりに凍傷になってしまい、指を二本欠損せざるを得なくなるという、視覚的にけっこうキツい場面もこなしていますし、ちょっとしたファンへのサービス・ショットもあるのは嬉しいところ(ただ、本作ではラブ・シーンは皆無ですけど)。

他にどんな映画だったかすっかり内容を忘れてしまった『ザ・スピリット』(08)でタイトルロールを演じたガブリエル・マクトが国連捜査官役で登場。
いわゆるヒロインに対するヒーロー的な存在なんですが、とにかく本作での木偶の坊ぶりには観ていてやきもきさせられます(笑)

また、南極基地の医師役にトム・スケリット。本作が閉鎖された空間で展開されるサスペンス・スリラー、しかも女性が主役ということで、どこか『エイリアン』(79)を想起させる点も多々あるのですが、考えてみればトム・スケリットはノストロモ号(『エイリアン』に登場する宇宙船)の船長だったことを考えれば、やっぱり『エイリアン』に対するリスペクトがスタッフの脳裏にあったんじゃないかなって思いますねぇ。

ホワイトアウト2
南極を表現するために主にロケはカナダで行い、南極なみの極寒での撮影は過酷だったとのこと。
また、スタジオでの撮影では塩とでんぷん(片栗粉かな?)で雪を再現、嵐を表現する場面ではこれを出演者に強風で吹き付けたそうな。
考えてみれば極寒での撮影もさることながら、塩と片栗粉責めというのも相当に過酷なんじゃないかと思います。出演者は鼻と耳に詰め物をしながら撮影したそうですが、役者も大変なことでございますなぁ。
巨大嵐やオーロラなどはCGで再現。その神秘的な映像表現は実際の南極にいるかのような気分にさせてくれて映画を観る楽しみを全うさせてくれました。

また、『エスター』でのブラックライト塗りたくりロゴと同じく、本作では冒頭のワーナーブラザース、そしてダーク・キャッスルのロゴがオーロラに包まれるというお遊びも、見ていて楽しかったですよ。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中60点】

※ヒロインを演じたケイト・ベッキンセイルが無名の頃に出演した、ゴシック・ホラー。
映画自体はたいして面白いとは思いませんでしたが、じつはうちの番組『ビンさんの銀幕音楽堂』のエンディング・テーマは、本作のメインテーマを使っているのです。
DVDは廃盤になって、けっこう高値がついていますね。




※同じく、ケイト・ベッキインセイル主演の『モーテル』(07)。
これは面白かったなぁ。特にオープニング・タイトルは絶品でした!(彼女の演技も絶品ですよ・笑)






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