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■『ブランカニエベス』■(映画) 







ブランカニエベス
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舞台は1920年代のスペイン。
アントニオ・ビヤルタ(ダニエル・ノメネス・カチョ)は大人気の天才闘牛士だったが、1頭の猛牛に突かれ重傷を負う。
そのショックで踊り子だった身重の妻カルメンは急に産気づき、女の子を産んで命を落とす。
アントニオの莫大な資産に目を付けた看護婦エンカルナ(マリベル・ベルドゥ)は、強引にアントニオと結婚する。
一方、アントニオの娘カルメンは祖母(アンヘラ・モリーナ)に引き取られ、すくすくと育つが祖母が急死したため、継母エンカルナに引き取られる。
サディスティックなエンカルナはカルメンをこき使い、アントニオは部屋に監禁し、贅沢三昧の日々を送る。
やがて、屋敷に幽閉されているアントニオと父娘の対面を果たすカルメン。
エンカルナの目を盗み、束の間の幸せな時間を過ごす父娘(その間、アントニオはカルメンに闘牛士の技を仕込む)だったがエンカルナに知れることになり、二人は引き離される。
数年後、美しい娘に成長したカルメン(カマレナ・ガルシア)の元に父の訃報が。
エンカルナはアントニオの財産をわがものにするため、彼を殺害したのだった。
そして、邪魔者となったカルメンをも手名付けていた男に殺害させようとする。
男に森の奥で首を絞められ仮死状態となったカルメンだったが、彼女をたまたま通りかかった地方巡業中の「こびと闘牛士団」が救う。
殺されそうになったショックでカルメンは記憶を無くしていたが、「こびと闘牛士団」の演技に触れるうちに、自分の身にも闘牛士としての実力があることに気づく。
やがて、女性の闘牛士として話題になっていくカルメン。
その人気はエンカルナの知ることとなり・・・。


『ブランカニエベス』は、かの「白雪姫」の物語を1920年のスペインに置き換えた物語で、これをモノクロ、サイレントで描く異色作だ。
スタイルとしては数年前に公開され話題となった『アーティスト』と通じるものがある。
先に書いたストーリーのように、シチュエーションは違えども、かなり「白雪姫」に準じたストーリーになっており、ここにスペインの伝統芸術である闘牛士のエピソードを盛り込んで独創性を出している。

モノクロ、サイレントであってもオーバーラップであったり、派手ではないがSFXも駆使したファンタジックな映像が展開され、さらに流れるスコアもステレオ・サウンドで臨場感がある。
こういったところも『アーティスト』に通じるものがあるが、監督したパブロ・ベルヘルは彼自身がかつて観たシュトロハイムの『グリード』(24)のオーケストラ演奏付き上映を観て感激し、自分もそんな映画を撮りたいと常々思っていたそうだ。
すでに数作品映画を撮っているベルヘル監督だが、日本において一般の劇場で作品が公開されるのは今回が初となる。
が、すでに独自の映像美学を持った監督であり、彼が『グリード』の上映で得ただろう興奮と感銘を、僕自身もこの『ブランカニエベス』で体験した。

思えば現在公開されている『ゼロ・グラビティ』が最新の映像技術によるエキサイティングな作品とするならば、この『ブランカニエベス』はクラシックな映像手法によるエキサイティングな映画。
つまり両極端に位置する作品だが、共にそこから得るものは共通する。
だから映画は面白い。

さて、物語のクライマックスだが、「白雪姫」同様、重要なアイテムとして毒リンゴも登場するし、姫に口づけする「王子」にあたる人物も登場する。
が、詳しくは触れないが原典とはかなり違ったエンディングを迎えるとだけ書いておこう。

それによって映画に対する評価は大きく変わってくることだろう(このラストシークェンスは僕自身かなり興味のある世界観で、まさかそのようなシチュエーションが登場するとは思わなかった)。
このエンディングには、それまでのファンタスティックな物語を一気に現実に引き戻すかのようで、最初は違和感を抱いた。
が、観終ってよくよく考えてみればこの映画、最初から一切ファンタスティックな要素は皆無なのだ。
モノクロ、サイレントという映像手法によって、「おとぎ話」のように見えていたこの物語だが、じつはかなりリアルなのであって、ここに映画の持つ映像のマジックに驚愕した。

あのラスト・シーンは観る人それぞれに感じることは違うだろう。
ただ、劇中で唯一「効果音」が流れる場面がある。
その場面から連想すると監督がこの映画に仕掛けたものがラストに活きてくるのではないか、と考えるのは僕だけだろうか。
パブロ・ベルヘル監督、おそるべし!



ブランカニエベス
モノクロ、サイレントいというこの映画で、映像とともに重要になってくるのはスコアだ。
担当したのはアルフォンゾ・デ・ヴィラロンガ。

当初、聞き慣れない名前だな、と思っていたがちゃんと我が家に彼の作品があった。
2003年の『死ぬまでにしたい10のこと』のサントラだ。
あの作品でも派手ではなかったが、けっこう琴線に触れるスコアを書いていた。
それをすっかり忘れていたなんて・・・。

スペインでは作曲家として活躍する一方、シンガーとしてもアルバムをリリースするというマルチな活躍をされている。

本作では闘牛士の場面を盛り上げる勇壮なスコアや、アントニオとカルメン父娘を表現する詩情豊かなスコア、「こびと闘牛士団」の巡業場面に流れるエキゾティックなスコアなどなど、聴きどころの多い作品となっている。

サントラには彼のオリジナル・スコアとともに、既成のフラメンコ・ナンバーなども収録されている。

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