FC2ブログ

■『ホビット 思いがけない冒険』■(映画) 







ホビットオモイガケナイボウケン
【公式サイトはコチラ!!】

開巻早々、ハワード・ショアによる耳馴染みの旋律が流れた途端、10年近くのブランクが一気に縮まり、思わず涙ぐんでしまった。

いろんな事情(その大半は大人の事情だが)で、「ホンマに完成するの・・・?」と一時は危ぶんだ「ホビットの冒険」。
ギレルモ・デル・トロが監督するとか2部作になるとか、まぁとにかくやきもきさせられた結果、『ロード・オブ・ザ・リング(以下LOTR)』シリーズ同様、ピーター・ジャクソンの手によって映画化されたというのはまずは喜ぶべきところ。
冒頭のホビット庄のシーンで、「お帰り! ピージャク!」と心の中で叫んでしまったほどだ。

若き日のビルボを中心に、奪われた祖国を奪回すべく冒険の旅に出るドワーフ達の活躍が描かれていく。
「LOTR」に比べると物語はかなり甘くなってるよ、と原作を読んだ知人からは聞かされていた(すんません、「LOTR」も「ホビット~」も原作は未読なもので)が、それも杞憂に終わった。

たとえば、オークであったり、そのオークのボスでドワーフの若き王トーリン・オーケンシールドの宿敵であるアゾグ(その最初の戦闘シーンなどは、まさに「LOTR」の再現というべき重厚さ)や、トロル、ゴブリンといったキャラクターのデザインは相当に醜悪。
特にトロル、ゴブリンなんてコミカルなキャラなのに、ホラー映画を思わせるほど。
これこそピージャクの『ミート・ザ・フィーブルス』(89)や『ブレインデッド』(92)から連綿として受け継いでいる作風だ。
子供に媚びず、容赦のないところが潔い。ゆえに、監督はピージャクでほんとによかったと思った。

また、クライマックスで展開される「走りのアクション」は、『~旅の仲間』(01)での「カザド=ドゥムの橋」でのシーンをボリューム・アップさせた感じで、この「走りのアクション」は「LOTR」を観るうえでの魅力のひとつだったものだから、これには相当に興奮させられた。

そして、「LOTR」につながる大きな場面であるビルボとゴラムのなぞなぞ問答の場面。
モーション・キャプチャーの進化だろうか、より表情豊かになったように思うゴラムの「演技」。
これだけでも本作は一見の価値がある(撮影技術の進歩でいえば、「LOTR」で多くみられたロケを多用した絵作りよりも、多少作りこみ過ぎの印象もあるが、それでも全体のトーンは同じ監督ならではのもの)。

三バカ大将(勝手に命名)に喰われそうになったり、岩田さん(仮名)と岩本さん(仮名)の壮絶な喧嘩に巻き込まれそうになったり、いろんな冒険を経て、さらに互いの信頼と絆を強めつつビルボとドワーフ一行はさらに目的地を目指すところで一巻の終わり、という描き方もじつに爽やか。2時間50分があっという間に終わったという感じ。

細かいところではいろいろと気になる部分もなきにしもあらず(その最たるものがラスト・シークエンス。ピージャクは第二部へのブリッジとして「あのシーン」を用意したのだろうが、はっきりいって蛇足だと思う)だが、第二部、第三部への期待は高まる一方だ。


さて、本作は現在のところもっとも最新式の映像方式での上映となった。
それが「ハイ・フレーム・レート(HFR)」というもの。通常映画は1秒間に24コマのところを、本作では倍の48コマとしている。
これにはどういう利点があるのかっていうと、つまりはコマ数が多い分映像がより鮮明になるということ。

昔、ダグラス・トランブルが「ショースキャン」という1秒間に60コマという方式で撮影した作品を、85年の「つくば科学万博」での「東芝館」で上映した(当時の「月刊スターログ」読者には懐かしい響きだ)。
通常、一つの映像を24コマに分割して見せていた映像をコマ数を増やすことで、より動きが滑らかかつ鮮明になるというのはよくわかるが、逆にコマ数を増やすと人間の中枢神経にある刺激を与えてしまうそうで、それによって「ショースキャン」を体験した方の中には気分が悪くなってしまった方もいたそうな。
それ以前に、装置に費用がかかるので現在はラスベガスの一部での上映以外は使用されていないのが現状だが、そんな「ショースキャン」なんて言葉を忘れかけていた頃に出てきたのが今回の「HFR」。

さらにそれを3D上映するということで、もともと3D上映については諸手を挙げて賛成という立場じゃない僕としては、通常の上映方式で十分、とは思いつつも、これは本当に言い訳がましいのだが、本作の初日(実際に観たのは翌日の12月15日なんだけど)に観たい! という思いと、夕方から会社の忘年会に間に合うためには、どうしても地元の奈良ではなく、忘年会会場に近い大阪でないとダメだ、ということで、それならば、どうせならば「HFR」で3Dを体験しようじゃないかということになった(相当に言い訳がましいが)。

で、大阪で「HFR」で3D上映している映画館は・・・と探してみると、突き当たったのが「なんばパークスシネマ」だった。

さすが、本作は松竹の配給だし、松竹が資本元の「なんばパークスシネマ」だけに力が入っているなぁ、と思ったが、待てよ、ここの3Dって、たしかXpanD方式だったはず・・・。
3D上映を体験した方ならばお分かりかと思うが、このXpanDという方式、専用メガネが相当に重いうえに画面が暗く視野が狭い。

この方式以外にはマスターイメージ、IMAXと体験しているが、普段メガネをかけている僕にすれば3DはIMAXに限る。
メガネ全体を覆う形で装着できる専用メガネは大型でありながら軽量だし、映像も明るい。
その次にマスターイメージのクリップオンタイプ(通常のメガネにレンズ部分だけを装着するので重さはほとんど感じない)が楽だが、画面の暗さと視野の狭さはいかんともしがたい。

つまり、あえて書くがXpanD方式は3Dを観るには一番悪い環境だということ(あくまで個人的な見解だが)。
しかしなぁ・・・せっかくの「HFR・3D」だしなぁ・・・ということで結局、「なんばパークスシネマ」で観ることに決めた(因みにIMAXで「HFR・3D」方式で上映してくれるのが一番理想的なのだが、自宅から一番近いIMAXシアターであるシネマサンシャイン大和郡山では、「HFR」ではなく、従来の3Dでの上映なのが残念)。


で、実際に観た感想だが・・・。

本編が始まる前にバズ・ラーマンの『華麗なるギャツビー』の3D予告編が流れており、こちらの3D効果はけっこう出ていた感じ。でも、画面の暗さ、視野の狭さは従来通りだった。

そして、待望の本編。オープニングのワーナー、ニューラインシネマのロゴで相当な違和感が・・・。
いや、映像はかなり鮮明だ。
が、あまりに鮮明すぎて映画というよりも大型のプロジェクターでDVDあるいはブルーレイでも観ているようなそんな映像なのだ。
そして色がなんというかまるでクリス・ラッセンの絵画のように・・・鮮やかすぎる。

続く冒頭のホビット庄の映像の色。これも・・・う~~~~ん、「LOTR」ってこんな色だったかなぁ・・・という色に対する違和感はかつての「LOTR」三部作にくらべると相当に大きい。
映像は鮮明だが、なんというかTVシリーズでVTR撮影されたものを観ているようなそんな感じ。

で、3D効果は・・・正直いってほとんど感じられなかった。
毎回、3D映画を観て感じる「別に3Dでなくても・・・」という感想は今回も同じであり(まぁ、これも3Dを観たからこそ言えることなのだが)、この最新の上映方式については一言「色が変」という印象しか残らなかったというのが事実。

後にわかったことだが、大阪では「なんばパークスシネマ」の他に「TOHOシネマズなんば」でも「HFR・3D」方式で上映されているとのこと。
こちらは先述のようにマスターイメージでの上映なので、クリップオンが使えるのでわかっていればこちらの劇場をセレクトしたのものを・・・。
ま、それでも「色が変」なことは同じだと思う。

もちろん、内容に関しては先述のとおり十分楽しめた作品でもあり、今度は煩わしい思いをせずに、2Dで楽しもうということで、一週間後に地元のMOVIX橿原で2D上映で「観直した」。

今度は視野もワイドになって実に観やすく、2度目の鑑賞ながら1度目と同じところで感動して満足感もひとしお。
だが、「色が変」な印象はまたしても拭えなかった。

第2部、第3部も同じ「HFR」方式での撮影になるということなので、「色
が変」なことはこれで免れなくなったが、イヤなのはジェームズ・キャメロンを筆頭に、他の監督も同方式での撮影に積極的なのだという。
なんでこうも3Dにこだわる監督が多いのだろう。これについてはまた書くと長くなるので、別の機会に書いてみようと思う。



ホビットオモイガケナイボウケン
音楽は「LOTR」三部作と同じくハワード・ショアが担当。

冒頭にも書いたが、まず開巻早々に流れてくる「フロドのテーマ」というよりは、今回は「ホビットのテーマ」というべきか、このお馴染みの旋律がホビット庄の風景に流れてくるところで、思わず熱いものが込み上げてきた。

じつは本作のサントラは、事情があって(通販元の発送遅れで鑑賞日までに家に届かなかった)本編を観るまで聴くことができなかったのである。
だから、ショアは今回の作曲にあたって全編新しい旋律を書くのかと思っていたので、これは嬉しい誤算だった。
他にも、ゴラムが登場する場面では「LOTR」における「指輪のテーマ」もちゃんと流れてくるところがこれまた嬉しい。
そういうお馴染みの旋律を流しつつも、その他は全編描き下ろしのスコアであり、今回もロンドン・フィルの演奏とコーラスによる壮大な仕上がりを堪能できる。

ただ、予告編で流れていたドワーフ達によるコーラスとそのテーマ、なるほど、ショアは今度の三部作のテーマはこれでいくのだな、と思っていたのだが・・・これ、ショアの作曲ではなかった。

サントラでいうところの「霧ふり山脈」というナンバーで、トーリン演じるリチャード・アーミティッジ以下、ドワーフ達が唄い、以後、劇中でドワーフ達が活躍する場面ではこの旋律がフル・オーケストラで演奏されるのだが、デイヴィド・ドナルドソン、デイヴィッド・ロング、スティーヴ・ロシェ、ジャネット・ロディックという4人もの名前がクレジットされている(作詞は原作者のトールキン、というか原作に出てくる詩に曲をつけている)。

詳細はわからないが、どうも本編撮影前に作られたナンバーだったようで、ショアの作曲は撮影に間に合わなかったということなのだろうか。
それでも、ショアが作曲したといわれても違和感のないメロディ・ラインで、逆にこの4名の作曲家もイメージを損なわないように、ということで苦心したことは想像に難くない。
エンドクレジットでは、このナンバーをオーストラリアのアーティスト、ニール・フィンがポップス・アレンジして唄っているナンバーが流れている。


ホビットオモイガケナイボウケントクベツ
なお、本作のサントラは「LOTR」と同じく通常盤と特別盤の2種類がリリースされている。
通常盤でも2枚組というボリュームだが、特別盤はさらにいくつかのスコアの長尺バージョンにくわえ、ボーナス・トラックも収録されている。

国内盤は通常盤のみがリリースされており、お馴染み前島秀国氏によるライナーノートが添えられている。
ただ、今回は前島氏も本編未見の段階でのライナーノート執筆だったようで、どのシーンにどのスコアが使われているか、という詳細な部分までの言及がなされていないのが至極残念。
おそらく、前島氏も隔靴掻痒、切歯扼腕ななかでの執筆だったことだろう。



〖なんばパークスシネマにて「HFR・3D」で鑑賞〗
〖MOVIX橿原にて「2D」で鑑賞〗





※本作のサントラCD。
スコア担当はハワード・ショア。

内容については上記のとおり。

ダウンロード販売もあり。

The Hobbit: An Unexpected Journey (Original Motion Picture Soundtrack) - ハワード・ショア







※こちらは特別盤。

ダウンロード販売もあり。

The Hobbit: An Unexpected Journey Original Motion Picture Soundtrack (Deluxe Version) - ハワード・ショア











※映画の公開に合わせて販売されている「レゴ」の『ホビット』シリーズの一つ。

うわ、このゴラム、映画よりも邪悪な顔をしているぞ・・・(笑)













コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/290-e981a29b