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■『プロメテウス』■(映画) 






プロメテウスポスター1
【公式サイトはコチラ!!】

とにかく、本作の予告編には大いにそそられた。
あの馬蹄型の宇宙船がド~~~ン! と登場したり、スペースジョッキーがバ~~~ン!! と登場するだけでなくなにやら動いてたりするのだから。

リドリー・スコット『エイリアン』(79)の前日譚を監督するという話は以前から漏れ伝わっていて、当初はカール・リンシュが監督してリドリー・スコットはプロデュースにまわるなんて話もあったのが、結局のところ監督してるじゃないか、ってことになったのは周知のとおり。

これはこれで、嬉しいことだが穿った見方をすれば、

「もともとオイラの出世作。他の奴に任せられるかっ!」

ってなことでカール・リンシュから監督の座を横取りしたのか、はたまたカール・リンシュはSFホラーなんて手垢のついた企画よりも、

「日本人のきれいどころ(柴崎コウ&菊池凜子)と仕事するほうがいいっ!」

ってなことで企画を蹴ったのか(予定を大幅に過ぎて、いまだに完成しない『47RONIN』。いったいいつになったらできるんだ?)、その詳細は不明ではあるけれど、SF映画の金字塔を2本もモノにしているリドリー・スコットだから、こりゃ期待しないほうが無理ってなもんで。

ただ、当初の『エイリアン』の前日譚という内容から、いろいろと変遷があったようで、まったくの別物というわけではないが「同じ遺伝子を持つ」映画で、これはこれで独立した物語である、なんてことをリドリー・スコットが言うもんだから、こちらとしてはなにかと複雑な思いにはなっていた。
そんなことを踏まえて、実際のところこの映画については、あれこれ書くと即ネタバレになってしまう危険が大いにあるので(というか、もうネットの世界じゃネタバレし放題なんだが)、極力当たり障りのないところで感想を書いてみる。


プロメテウスポスター2
結論からいえば、本作は当初の企画のとおり、『エイリアン』の前日譚になっている。

これまでのシリーズ4作品(ただし、プレデターとどうこうする映画は除外)をご覧になっていれば、共通するキーワードもあちこちに登場するので、シリーズのファンは大いに溜飲の下がる思いがすることだろう。
ただし、過去の4作品と決定的に違うのは、あの「エイリアン」の扱い方。
過去の4作品は「エイリアン」を兵器として軍事利用しようとする大きな組織の姿が見え隠れしていた。

しかし、本作の場合テーマはもっと別のところにある。で、「エイリアン」はその過程での副産物的な存在でしかないのだ。
じゃあ、その本作のテーマは何なの? ということになるが、それは実際に本編を観ていただきたいとしか書けない。
ただし、そのテーマ自体はなんら難解なものではなく、人間誰しも老いを重ねると生じてくる願望、とだけ書いておこう。本作ではそれを象徴するキャラクターが登場して、より理解しやすく作られている。

が、問題は映画すべてを包み込むもうひとつのテーマだ。
いみじくも、本作のポスターなどにも「人類の起源云々」なんてデカデカと書かれている。
あれ? この映画ってSFパニックホラーじゃないの? それよりも宗教的ななんだかよくわかんない、メンタルチックな映画なの?
という、こちとら素直に娯楽映画として楽しもうという思いに、いささかの歯止めをかけるような要素が全体を包んでいる。しかも、その要素は「負」のイメージが大きく、観ていると多少なりとも座り心地が悪くなってくる。

映画はその「負」のイメージでコーティングされた、人間のあくなき欲望が描かれるのだが、数々の悲劇を巻き起こすのは驚くことに欲望ではなく「無垢な心」を持つキャラというところが興味深い。
ご存じのとおり過去の作品にはなんらかの形でアンドロイドが物語に関わっていた。本作でもデイヴィッドというアンドロイドが登場する。
人間の英知を結集し、そして人間の持つ何倍もの知識を「搭載」しているデイヴィッド。
しかし、彼にはいわゆる感情がない。彼を作った者が、そんなものは必要ないと判断したのだろうか?
だが、デイヴィッドは人と関わっていく中で、ささいな好奇心を抱く。つまり、彼自身が進化するのだが、それが登場人物を次々にとんでもない災難へと引きずり込んでいくことになる。
【本作に登場する「某企業」の公式サイト。デイヴィッドのプロモーション映像もあったり、けっこう手の込んだ内容になっている。】


と、ここまで書けば、映画をご覧になった方はお気づきだろうが、この物語はいわば「入れ子構造」になっているということ。
無垢なれど災難を起こすデイヴィッドはいったいなにを比喩しているのか。
それ以上は書けない、というか、書かない。
ただ、そのあたりのことを考えながら、本作を観ればいろいろと見えてくるものも多いとは思うが、かといって本作はそれによって爽快感やある種の興奮をもたらすかというとそうではない。


プロメテウスポスター3
先にも書いたように「負」のイメージが濃すぎるし、後味もけっして良くはない。
その後味の悪さというのは、やはり観る前のあまりの期待の大きさに対する、実際の内容とのギャップからくるものなんだろうが、しかし、それより他に理由があると思う。
リドリー・スコットの映画は、たしかに純粋にホラーだったりアクションだったりする内容というよりは、哲学的な要素も盛り込まれていることで作品に深みを増す。それが彼の映画の魅力でもある。
本作においても、その要素はなくはない。
さすがに、ビジュアル面では大いに楽しませてもらったし、3Dで観たが今度は2Dでディティールをじっくり観たいとも思う。

ただ、『エイリアン』とは違う色合いの作品を、という方向性を強調したかったのだろうが、相当にカルトがかった、というか、かつての「学研ジュニア・チャンピオンコース」みたいな内容が冒頭からラストまで貫かれているのはどうなんだろう?
いわば、ハードSFエンターテインメントを期待していたら、縁日の「見世物小屋」的な胡散臭さがぷんぷん漂っている・・・ま、それ以上ツッコむと、いろいろネタバレになってしまうので、このあたりでおいておく。

ただ、確かにいえるのは、観終わった後で、観終わった者同士があれこれ話会いたくなる映画であることには間違いないということ。
他にも書きたいことはいっぱいあるが、なんだか季節柄、観終わった時点での気分は「祭りの後」の喪失感に似たようなものがあった。


あと、観る前から気になったのはやはり『エイリアン』で独創的なデザインを提供したH.R.ギーガーのこと。
プロメテウスギーガー4
そりゃぁ、あの馬蹄型宇宙船も出てくるし、スペース・ジョッキーも出てくる、となると彼の本作への参加は間違いないだろう、とは思っていた。
なにしろ、『エイリアン』のデザインばかりか、アレハンドロ・ホドロフスキーが監督する予定だったが頓挫した、『デューン』に対して描いたデザインが、なんと本作では馬蹄型宇宙船が内蔵されている巨大ピラミッド(?)として使用(というか流用か?)されている(ピラミッド上部にドクロをかたどったオブジェ(?)が乗っかっているので間違いないだろう)し。
プロメテウスギーガー5
詳細はわからないが、本作ではギーガーがスタッフに関わったというわけではなく、彼の作品を使わせてもらいました、というような扱いのようだ。
実際に、エンドクレジットが始まってたしか最初のほうに、ギーガーの名前がクレジットされていたので、そこんところはスタッフ側も「筋を通した」ということなのだろう。








プロメテウス
スコアを書いたのはマルク・ストライテンフェルト。
リドリー・スコットとは『プロヴァンスの贈り物』(06)からコラボレーションを組んでいる。
ドイツ出身の作曲家で、ハンス・ヅィマー率いる作曲家集団RC(リモート・コントロール)の一員。

かねてからリドリー・スコットはハンス・ヅィマーを筆頭に、RCの作曲家と仕事をしていたが、ここ近年はマルク・ストライテンフェルトが連続で起用している。
総じて、RCの作曲家は親方のヅィマーの作風に酷似したスコアを書いたり、アクション・シーンにおけるリズム重視のスコアになったりと、極々個人的ではあるが「面白くない」印象が強い。

このマルク・ストライテンフェルトにも、その要素はあるものの多少ではあるが彼は他の作曲家とはちょっと違った色合いのドラマティックなスコアを書いているように思う。
ただ、スコアについていえば、肝心のリドリー・スコット自身、過去の作品における諸問題を鑑みるに、あまり音楽に重きをおいていないふしがある。

いまさら蒸し返すのもなんだが、『エイリアン』や『レジェンド光と闇の伝説』(85)におけるジェリー・ゴールドスミスとの確執であったり、『ブレードランナー』(82)におけるヴァンゲリスとのそれであったり。
せっかく作曲家がスコアを書いても、本編で使わなかったり既成の曲と差し替えたりと、この映像派監督の所業はビジュアル面は優れてはいても、音楽はあくまで添え物としか扱っていないというところが、クリエイターとして、いやそれ以前に、人間としてどうなんだろう? と常々思う。

今回のスコアにおいても、全編マルクのスコアかと思いきや、これまたRCの一員であるハリー・グレッグソン=ウィリアムズが数曲スコアを書いているという、いわば共作になっているのも正直腑に落ちない。
とりあえず、つながりのあるRCの作曲家何人かにスコアを書いてもらって、気に入ったのを使ってやろうということだったのだろうか?

ただ、マルクのスコアはダークな印象=本作のイメージを見事にスコアとして表現しているし、ハリーのスコアはライトモティーフの荘厳なイメージを表現しており、この組み合わせは結果的には効果的であったと思う。


さらにどうしても触れておきたいのは、本編にジェリー・ゴールドスミスの『エイリアン』のテーマ曲を使用しているところ。
これは、既成の音源ではなく、本作用にあらたに演奏、収録し直されたもの。
僕は本編を観る前にサントラを聴いて、たいそう驚いたのだが、考えてみれば本作は『エイリアン』の前日譚であるわけだし、そのメロディが流れるのも不思議ではない。
むしろ、映像だけでなく音楽面でもつながりをもたせようというリドリー・スコットなりの「演出」だと考えると、いまや故人となった映画音楽作曲家に対する(かつてはごたごたあったけれども)、敬意のあらわれと捉えることもできよう。
ただし、使っているシーンというのが・・・それは、実際に本編を観て(そして聴いて)いただきたいのだが、僕としては、

「え? そんなところで流すかぁ・・・?」

という、ちょっと納得いかなかった部分もなきにしもあらず。
できることなら、鬼籍に入ったジェリー・ゴールドスミスに感想を伺ってみたいものだ。


〖TOHOシネマズ橿原にて8月4日特別先行3D上映を鑑賞〗




※やっと発売になったノベライズ本。

早速買って読んでみたら、いろいろビックリすること請け合い。
詳しくは書けないが、オープニング・シーンからして映画とまったく違う。

ぜひ、映画をご覧になった後でお読みいただきたい。

発行元のリンダ・パブリッシャーズは創設間もない出版社。
とにかく、ノベライズの権利を取得してくれたことに感謝!






※こちらはけっこう早く出版されていたメイキング本。
映画鑑賞前に観るのは注意が必要かと。

この手の本はけっこうな値段がするので、興味のある方向けのコレクターズ・アイテム。

劇場販売のパンフレットでもメイキングのページがあり、一般の方にはそれで十分かと思う。








※本作のサウンドトラック。

上でも触れたように、結局3人のスコアが混在するスコアになった。
が、なぜか統一感があるのが面白い。

ダウンロード販売もあり。

Prometheus (Original Motion Picture Soundtrack) - Marc Streitenfeld








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