■『アナザー Another』■(映画) 






アナザー
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綾辻行人氏の原作は、アニメになったりコミックになったり、そういったジャンルのファンにはお馴染みだったようですが、個人的には主演の橋本愛が眼帯をしているというそのポスターデザインがツボ。
なぜか、眼帯をしている少女の図というのは、昔から僕の興味をくすぐるものがあって、しかもそれを演じるのがいまをときめく橋本愛となると、そりゃあ観る前からストライク・ゾーンってなもんです。

ま、結論からいえば、橋本愛は橋本愛で、彼女自身のイメージはまったく崩れることのない映画だったなぁということ。

思えば彼女が注目されることになった作品である『告白』(10)での演技において、早々に橋本愛=陰のある少女という強烈なイメージを観客に植え付けたわけです。
僕自身、彼女の他の出演作でいえば今年NHKで放映されたドラマ『はつ恋』での、ヒロイン(木村佳乃)の少女時代役しか観ていないけれど、そこでもやっぱり、陰のあるキャラだったので彼女に対するイメージはなおさら固まってしまったように思います。

いわゆる明朗快活なキャラというイメージじゃない。

今回はその陰のあるキャラに加え、謎を秘めたヒロインということでミステリアスな部分も強調されていて、それがまた不思議な魅力を放っている。
最近の若手女優でこれだけ雰囲気があるのも珍しいんじゃないでしょうかね。
でも、演技を初めて数年のうちでこれだけイメージが固まってしまうと、そこからなかなか脱却できないんじゃないのかな、と老婆心ながら思ってしまうのですが、それはそれでイメージ・チェンジをすればしたで、また彼女の違った魅力が引き出されるのかもしれないな、と思うと今後の活躍が楽しみな女優ではあります・・・。

とにかく、今回の映画はそんな彼女のイメージを生かした映画ということではいいのでしょうけど、正直なところそれだけでもっているような仕上がり。
だから、彼女のファンは大いに堪能できることでしょう。

・・・でも、それでいいのか?

この映画、いったいホラーなのかミステリーなのか、はたまた青春ものなのか、そのあたりの方向性がもうバラバラで、どれひとつとして成就していない散漫な印象を受けましたねぇ(演出した古沢健監督の作品では、以前に『オトシモノ』(06)がありましたが、そういやぁあの映画もとても散漫な映画だったなぁ・・・)。

もっとも、僕自身、原作は未読だし(というか、綾辻行人の作品ってまったく読んだことないので、その作風もよくわからないんですけど)、おそらくは原作に書かれているであろう多くの部分を削り取った脚本になっているのも想像に難くない。
登場人物それぞれのバックボーンも、映画ではさほど深く触れられていないので、たとえばヒロインの片方の目が義眼であることとか、つみきみほ(久しぶりに姿を拝見したなぁ)演じるヒロインの母が人形作家だということなどなど、雰囲気的には面白い要素もいっぱいあることはあるのだですが、はたしてそれが映画にプラスになっていたか、いや、それを映画は上手く活かせていたか、というと残念ながら否といわざるをえない。
ちなみに、映画に登場する人形は、球体関節人形というそうで、原作を書いた綾辻氏は執筆にあたりこの球体関節人形人形にインスパイアされたとのこと。
う~~~ん、これを映画に活かせられなかったというのは、とても勿体ないことです。

この映画を観に来るのは、原作ファンかアニメファンかコミックのファンで、物語もキャラクターも周知のうえだろうから、別に詳しく描かなくたっていいだろう、そして雰囲気づくりで球体関節人形を出しておけばいいだろう、なんて、おそらく製作スタッフは思ってはいないだろうけど、どうもねぇ、一見さんお断り、みたいなものが漂っているような気がしてならなかったんですよねぇ。

とはいえ、おおまかなストーリー自体は、特別に難解なものでもなく、キャラクターのバックボーンがわからなくても映画を追うことはできます。
特に橋本愛演じるヒロインが、彼女のクラスメートから「いない者」として扱われているという設定は、昨今のいじめ問題を描いているのか・・・、と思いきやそうではなく、このあたりのからくりは斬新で面白い。
それを発端にクラスに怪現象が続発するのですが、これを山崎賢人演じる主役の男子がどう解決していくのか、というお話。

原作は叙述ミステリーという形式をとっているそうで、なるほどそういう部分での面白さもあるのでしょうが、それを映像でやってしまうと即ネタバレになってしまう。
そこはスタッフも映画化するにあたって相当悩んだことでしょう。

それを考えると、映画は映画で「あっと驚く」結末を用意してくれていて、おそらく原作を初めて読んだ方と同じ衝撃を、映画で初めてこの作品に触れるものにも与えてくれてはいます。
ただ、最初にも書いたように、この映画をホラー映画にするか、サスペンス映画にするか、はたまた学園ものにするかの方向性が定まっていないために、その「あっと驚く」衝撃もとってつけたような印象がなきにしもあらず。

考えてみれば、夏にホラー映画というのはひとつの風物詩だと思うのですが、近年はそれも消えつつあるようで。

そこには、よく取りざたされるように、社会的な問題が介在しているのだろうけれど、そんななかでこれから注目の若手女優を起用するとなると、どうしてもゴアゴアなホラー映画(本作でもそれなりに残酷描写もあるのだけど・・・。あ、そうそう、劇中でえらい目に遭う看護師を演じているのが、個人的には橋本愛よりもご贔屓にしている佐藤寛子。彼女が出てる~~~! と喜んだのも束の間、ああいうことになってしまって・・・)、というよりも、今回のような学園ドラマ、あるいはそこからの延長での青春ものになってしまうのは致し方ないことなのかもしれません。

たとえばそこには、演じる女優が所属する事務所サイドからのブレーキもあるんだろうなぁ、と穿った見方をしてしまうのは、あながち突拍子もないことでもないと思うのですが、いかが?

なお、ロケは当初、東北を予定していたようですが、震災の影響でロケ地を変えざるをえなくなった。
そこで、三重県の伊賀上野近辺がロケ地に選ばれたというのは、近畿圏に暮らす僕としては親近感がわくというもの。
劇中に登場する街や学校はフィクションながら、とある地方都市という雰囲気は十分出ており(一部、街の看板に上野市の文字が映り込んでいたのはご愛嬌)、ロケーションがもたらす雰囲気づくりという意味ではじつに効果的でした。



アナザー
スコアを書いたのは安川午朗。

本作では、コーラスをフィーチャーしたミステリアスなスコアが印象的でしたが、いかんせんこの方の作品はなかなかサントラ化されませんよね。
そういった作品を集めて、作品集としていつか発表していただきたいもの。

なお、エンドクレジットに流れるのは、加藤ミリヤによる本作のために書き下ろしたという主題歌。
古沢監督とは『オトシモノ』でも彼女のナンバーが主題歌だったので、そのつながりなのでしょう。

今回の「楽園」というナンバー、映画音楽としては特にどうのこうのというほどでもない1曲でございました。






※ヒロインの橋本愛をはじめ、本作に出演した4人の少女の写真集。

ってことは、ピタゴラ装置みたいな死に方をするあの子も、この写真集に載っているのかな?










※いや、他の子はともかく、橋本愛だけを見たいのだ、という向きにはこちらをオススメ。

かくいう僕は、いまは橋本愛よりも武井咲にぞっこんなのでありますが・・・。










※極々個人的な趣味で・・・。

そうか・・・この写真集ももう10年近く前になるのか・・・(しみじみ)












※加藤ミリヤが唄う主題歌「楽園」が収録されたマキシ・シングル。

初回特典はDVD付きなんだそうですよ。












※こちらは通常盤。

しかしなんですねぇ、このジャケットをみれば、よもやホラー映画の主題歌になっているとは、なかなか思えないですよねぇ。












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