■『ミッション:8ミニッツ』■(映画) 


ミッション8ミニッツ
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イギリスの映画監督ダンカン・ジョーンズの長編デビュー作『月に囚われた男』(09)は、その斬新な内容にただただ圧倒させられたSF映画の佳作でした。

月面基地でたった一人で仕事をこなす主人公に巻き起こる奇妙な出来事・・・。

低予算でもアイデアひとつで面白い映画が作れるということを実証したわけで、すごい監督が出てきたなぁと思ったものです。

続く本作『ミッション8ミニッツ』でも彼の実力はいかんなく発揮されており、映像作家としての才能というかセンスをまたもや堪能させていただくことになりました。
デイヴィッド・ボウイ・ジュニアという経歴は、彼にとってプラスでもあるだろうし、逆に足枷にもなるでしょうけれど、その才能を目の当たりにするや父親が誰であろうと関係ないよなぁ、でも、その才能はアーティストとしての父親のDNAを引き継いだ結果なのかなぁ、などと本作を観終わってそんな下世話なことも思ったりしたわけですけれど。


とある組織によって、列車爆破事故が発生する8分前にその乗客の一人の意識の中に入り込み、爆破テロリスト犯を割り出す使命を帯びた主人公コルター(ジェイク・ギレンホール)。
あと一歩のところで犯人が割り出せそうになるところで、あえなく列車は大爆発してしまいます。

その度に、コルターは狭い施設の操作室のなかで目覚めるのです。
映画の最初の方では状況が理解できないコルターですが、彼に指令を出す女性担当官グッドウィン(ヴェラ・ファーミガ)とのやりとりのなかで、次第に自分の立場を理解していくのですが、

「犯人はわかったぁ?」
「わっかりません」
「ほな、もういっぺん行ってきなはれっ!」

ってなことで、コルターは何度も同じ8分間を繰り返すことになります。

そんな中で、列車に同席した女性(ミシェル・モナハン)に好意を抱きつつ、コルターは任務を遂行するでありました。

パラレルワールド物のジャンルに入るのでしょうが、とにかく今回も独創性の高い映画。

コルターが爆破テロリスト犯を見つけ出すサスペンスの部分と、彼がなぜそのような任務をさせられているのか、というミステリーの部分が同時進行していくという凝った構成になっていて、クライマックスにいたっては多少混乱をきたす部分もありますが、観ている側としてはとてもいい頭の体操をさせてもらったような気分になります。

そして、詳しくは書けないけれど、観終わった後のなんともいえない幸福感というのでしょうか、そういうものもあって、監督のダンカン・ジョーンズ、確実に作品ごとに作品が洗練されているように思いました。

ぜひ、パズルを解いて得られる、知的なエクスタシーに酔いしれていただきたい一本です。


ところで、映画自体は満足度の高いものだったのですけど、疑問に思ったのは本作の宣伝文句。

「このラスト、映画通ほど騙される」というもの。

これ、日本の配給会社が考えたんでしょうけど、たしかにクライマックスにはそれなりのサプライズもあるし、なるほど、そういうことだったのか、という謎解きの部分もあります。
が、別に「騙された」なんて思わなかったし、そもそもこの映画、そんな物語じゃない。
いったい、配給会社のいう「騙す」ってのは、何のことを指しているのかさっぱり・・・です。

たとえば、エンドクレジットの一番最後に、

「コルターを演じていたのは、ジェイク・ギレンホールかとお思いでしょうが、じつはやつれたトビー・マグワイアでした(映画通ならわかるネタですよね?)」

とか、

「ヴェラ・ファーミガは、けっこうイイおね~~さんに見えて、じつは小学生なんです(クドいようですが、映画通ならわかるネタですよね?)」

みたいなメッセージが出るわけでもない。

あの宣伝文句はいったい何なんだ?
映画そのものの結末は、多少混乱はしたものの十分納得させられるものでしたが、あの宣伝文句だけはいまだに「謎」が残るばかりです。
あおりすぎて、逆に外してしまったというところでしょうか・・・。

ちなみに『ミッション:8ミニッツ』っていうのも日本の映画会社がつけた邦題。
原題は『SOURCE CODE』といって、劇中に登場するあるキーワードがタイトルになっています。
こちらは、どっちがいいとは言いかねますが・・・。



ミッション8ミニッツ
スコア担当はクリス・ベーコン。

これまで、ジェームズ・ニュートン・ハワードのスタッフとして活躍していて、『キング・コング』(05)、『アイ・アム・レジェンド』(07)といった作品のオーケストレーションや指揮、追加音楽の作曲などの仕事をしてきて、オリジナルではTVムービーを中心に担当していたようです。

新進気鋭ではあるけれど、いうなれば下地がしっかりしている作曲家といえるでしょう。
その手腕のほどは、監督同様本作でいかんなく発揮されていまして、たとえば開巻早々、疾走する列車を空撮で追っていく場面に、ブラスとパーカッションを生かしたスリリングなスコアで、一気に観客を物語へ引きずりこんでいくという、掴みの上手さが際立つメイン・タイトル曲が秀逸。

また、クライマックスでのエモーショナルな展開を盛り上げるスコアでも、この作曲家のセンスの良さが際立っている、見事な出来栄えでした。

当初は、『月に囚われた男』のクリント・マンセルが本作のスコアを担当する予定だったのが、スケジュールが合わずに、結果、クリス・ベーコンに決まったという経歴がありますが、いまとなってはそれで正解だったと思いますよ。


(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中90点】



※本作のサントラ。
スコア担当はクリス・ベーコン。

内容については上記レビューに書いたとおり。

ダウンロード販売もあり。








Source Code (Original Motion Picture Score) - Chris Bacon








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