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■『犬とあなたの物語 いぬのえいが』■(映画) 


イヌトアナタノモノガタリイヌノエイガ
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本作は公開された1月に観ましたが、覚え書きのつもりで。

人と犬との関わりを複数の短編で描いたオムニバス映画、『いぬのえいが』(04)の第二弾。
前作が公開された際に、すぐに続編の話も出ていたと思うのですが、結局7年かかっちゃいました。

今回も前作同様、笑いあり涙あり、基本となる構成は同じですけど、違うところといえば前作にあったアニメ・パートが無くなったのと、全体の上映時間が1時間半を切って短くなったということ。
それ以外は、全体の印象も前作と何ら変わるところはありませんでした。

とにかく、泣く子(子役)と犬には弱い僕ですし、犬好きにはたまらないエピソードがてんこ盛り。

前作ではペーソスあふれるエピソード(特に宮崎あおい主演の「ねぇマリモ」が出色の出来)には、いい大人が号泣してしまった経験もありますから、おそらく今回もそうなんだろうな、でも、年に一度くらいは映画館の暗闇の中で涙したいものよ(これが自分にとってのリフレッシュだったりする)、と思っていたので、いわば格好の題材だったわけです。

いやぁ~~~今回もやられてしまいましたですよ!!

前半はベタベタなギャグ満載のお笑いエピソードが続き、理屈抜きで楽しめるのですが、後半に描かれるエピソードになるとガラリと変わって、シリアスかつドラマティックなものになっていきます。

そのギャップがかなり激しくて、全体からみればけっしてバランスが良いとはいえないのも前作と同様。
今回のほうがそのギャップはきつかったように思いますねぇ。



なかでも、大森南朋松嶋菜々子主演の「犬の名前」というエピソードがたまりませんでした。

子供の頃に柴犬を買ってもらった主人公。
しかし、その犬は事故で突然亡くなってしまう。
失意の中、もう二度と犬は飼わないと誓う主人公(ここで最初の涙腺攻撃)。

その少年が大人になって大森南朋になる。
ある日、奥さん(松嶋菜々子)が知人が飼っているレトリーバー、ラッキーを預かってくる。
頭のいいラッキーは、自分の名前を呼ばれないと反応しない。
少年の頃の思い出がトラウマとなり、どうしてもラッキーを受け入れることができない主人公。
ある日、主人公は若年性アルツハイマーになってしまう。
献身的に彼を介護する妻。しかし、主人公の病状は進んでしまう。

そんな彼にまったく変わりない態度を取るラッキー。
我を忘れ、近所を彷徨する主人公にもぴったりとラッキーは寄り添う。
いつしか、主人公はラッキーに対して、少年の頃に飼っていた柴犬の名前を呼ぶようになる。
あらゆる記憶が消えていく中で、少年の頃の柴犬との思い出は、彼の心の奥底に消えずに残っているのだった。

さぁ、そこで自分以外の名前を呼ばれないと反応しないラッキーはどういう態度をとるか。
もうね、クライマックスには涙やら鼻水やら、顔中の水分が流れ出してカラカラ状態でございましたよ。



これに続く最後のエピソード「バニラのかけら」もシンプルかつ深い。

ペットロス症候群のヒロイン(北乃きい)は、ことあるごとに飼っていた犬バニラのことを思い出しては泣き崩れるという毎日を送っている。
ある日、バニラとそっくりな犬を連れた少女(芦田愛菜)を見かけるヒロイン。
彼女は、犬に引きずられているように散歩をしている少女を追いかける。
それに気づいた少女とヒロインとの交流が綴られていく・・・。


この二つのあまりにシリアスな内容に、それまでのベタベタでバカバカしいお笑いエピソードにほぐれていたこちらの気持ちはどうなるんだ! と多少腹立たしくもありました。
でも、先にも書いた、前作における「ねぇマリモ」のように、映像と音楽(セリフはまったくなし)だけで綴っていくような斬新な手法のエピソードはなくとも、やっぱり一度でも犬を飼ったことがある者ならば、心揺さぶられるというか、ツボを突いてくるというか、やっぱりいいんですよねぇ・・・。

そういう映画の作り方があざとい、と思う向きもあるでしょう。
犬好きの琴線に触れるエピソードを作り手が捻出するという構図も、それが商業主義な映画製作の現状であるというのも見えてこないわけではありません。

しかし、観る方としてはそれを承知で観るわけですし、描かれるエピソードは作っているほうも犬好きじゃないと語れない部分も多々あるわけで、そういう意味ではこのシリーズは、今後たとえば劇場公開されなくとも、どんどん作ってほしいとさえ思う次第です。


各エピソードを監督したのは、主にTV-CFで活躍する方々で、それぞれに手堅い演出をみせてくれます。
なかでも最長のエピソードである「犬の名前」を監督したのは『西の魔女が死んだ』(08)長崎俊一というように、今後の日本映画界を背負っていくような才能が結集しています。

いずれのエピソードも、犬の愛くるしさ、りりしさ、は十分過ぎるくらいに描かれており、そしてそれに相対する人間たちも多彩であり、ベテラン俳優から、いまをときめく芦田愛菜まで登場しての豪華さという点でも満足のいくものでした。


惜しむらくは、先にも書いたように上映時間があまりに短すぎること。
最初からいずれTVで放映されることを想定している、とは考えたくはありませんが、88分という上映時間は2時間枠のTV放映にはぴったりサイズというのが、どうも・・・ね。



オムニバス映画で演出する監督も多数にわたることから、音楽担当も複数の人物が担当しています。これも前作と同じ。
河瀬直美作品でもお馴染みの茂野雅道や、横山克、REMEDIOSといった作曲家による書下ろしをはじめ、「バニラのかけら」では西村由紀江が書いたTVドラマのスコア『グッドモーニング』(94)から「みのりのテーマ」を引用するなど、音楽面も多彩。

今回はサントラCDはリリースされず、JuJuによる主題歌のみリリース、と思いきや、劇場公開から数ヵ月後、突然iTunesにてスコア盤がダウンロード発売されました。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中70点】


※レビューでも触れた、本作のサントラ。
CDでのリリースはなく、iTunesによるダウンロード販売のみ。
なんでCDは出ないの? という思いもあるし、数秒で終るジングル曲もあったりで、それを考えるとダウンロード販売は、それはそれでアリなのかな、と思ったりします。



映画「犬とあなたの物語 いぬのえいが」配信限定 劇中BGM - Various Artists

※JUJUが唄う、本作の主題歌「願い」。


※本作のブルーレイ、DVDは8月リリース。
1月に公開された作品は、そろそろリリースされる時期ですが、本作についてはまだもうちょっと先のようです。







※前作もお忘れなく!






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