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■『スプライス』■(映画) 


スプライス1
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『CUBE』(97)ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作。

TVでもスポットが流れてましたが、年明けにあっという間に公開され、あっという間に上映が終っちゃいましたね。


クライブ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)夫妻は製薬会社に務める科学者。
今日も今日とて、いろんな生物の遺伝子をいろいろいじくっているうちに、新しい生命体が完成します。

最初はまるでウジ虫を巨大化したような、きっ色悪いクリーチャーだったのですが、やがてその中から出てきたのがウサギの毛をむしって、耳の替わりに触覚が生えているような、なんとも奇妙な生物(両足は逆関節)。
これがやがて成長すると、人間の少女のような姿になってきます。でも、瞳は十字型だったり、目と目の間が妙に離れすぎていたり、やっぱり奇妙な印象は拭えません。

クライブとエルサはこの生物を「ドレン」と名づけ、会社には内緒で自宅の納屋で育てます。
ドレンは急速に成長し、少女から色っぺぇ女性へと変貌(でも、目と目の間は異様に離れている)。
で、当然のことながら性欲も出てきて(クライブとエルサの夜の営みを覗き見たりしている)クライブを誘惑してくるのでした。


さぁ、ここからラストまで、怒涛の如く物語が展開していって、驚愕の結末が待っているんですけど、ほんとに面白かったですよ、これ。

スプライス2
まず、ドレンを中心にクライブとエルサの心の揺れが詳細に描かれているのが興味深い。

ドレンが幼い頃は母性本能をくすぐられるのか、エルサはかいがいしく彼女を育てます。しかし、クライブのほうはとんでもない生命体を作ってしまった、えらいこっちゃ、会社にバレへんかいな、と気が気でない。

やがてドレンが成長してクライブを誘惑するような素振りを見せると、あろうことかクライブはそれに負けて一線を越えてしまう。で、それに嫉妬したエルサはそれまでの態度から一転してドレンをサディスティックに責めるのです。


物語は広げようと思えばいくらでも広げることが出来ます。
たとえば、同じようなテーマを扱った作品では過去に『スピーシーズ 種の起源』(95)がありますが、本作ではクライブとエルサ夫妻の物語の域から逸脱しない。
そこが映画としてのまとまりの良さをもたらしているんじゃないかと思いました。

スプライス3
さらに、特筆すべきはドレンというクリーチャー。
劇中では何度か変貌を遂げ、最初はウジ虫みたいな姿からウサギの出来そこないみたいな姿へ。
さらに成長して少女期の頃はキモカワイイ様相で、おそらく演じている子役の顔の部分だけをCG合成しているんでしょうが、とてもこれがリアルなんですよ。

で、次に成長した色っぺぇドレン。これがいい。
スキンヘッドでプロポーションも抜群。でも尻尾が生えていてその先には毒針が付いている。
キレイな花にはトゲがあるってのを体現しているかのようです。

演じているのはフランスの女優、デルフィーヌ・シャネアック。
目と目が離れていたり、足が逆関節だったり、そういうところはCG合成なんでしょうけど、もともと美人女優が演じているのでとても魅力的なんです(彼女の名前で検索すれば、いくらでも素顔の彼女の写真がアップされているので、興味のある方はご覧あれ)。

また、出演するジャンルに拘らないというその姿勢はとてもいいんですけど、最近はそんな映画ばっかりなんじゃないか、って印象もあったりなかったりするエイドリアン・ブロディとサラ・ポリー、今回もいい演技で魅了してくれます。
この二人と、デルフィーヌ・シャネアックの起用によって、単なるモンスター・パニック映画ではなく、深い人間ドラマに仕上がっているのは、まさにキャスティングの妙だなぁと思いましたね。

全体的なイメージとしては、デイヴィッド・クローネンバーグ『ザ・フライ』(86)に通じるもの(ストーリーだったり、生理的嫌悪感満載なプロダクション・デザインだったり)もあり、それでいてオリジナリティもキチンと持っている。
「フランケンシュタイン」に端を発するこの手のジャンル・ムービーの新たな傑作の誕生を目の当りにしたような満足感がありました。

※なお、本作のパンフレットは製作されていないということで、劇場での販売はありませんでした。


スプライス
音楽を担当したのはフランス人作曲家シリル・オフォー(ちなみにドレンを演じたデルフィーヌ・シャネアックといい、フランス人の起用が多いのは、本作がカナダ、フランスの合作なため)。

アレクサンドル・デスプラのスタッフという経歴を持っているオフォーのスコアは、映画もそうでしたが『ザ・フライ』のハワード・ショアを思わせるような仕上がり(平たくいえば地味な仕上がりというところか)。
生物の内臓に浮き上がる血管が、そのままクレジットになるメイン・タイトル・シークエンスから、基本的にオケによるアコースティックなスコアで映像を盛り上げてくれます。

ただ、もうちょっと明確なメロディでもって要所要所をおさえるようなスコアも聴かせてほしかったなぁ、というのが本音。いずれにせよ、今後の作品に大いに期待の持てる作曲家ではあります

サントラにはオフォーのスコアの他に1曲、アメリカのTV番組などで活躍しているリチャード・ペルが作曲したスコアを収録。
劇中、クライブとドレンがダンスを踊る場面に流れるダンス・ミュージックで、「ムーンライト・セレナーデ」を思わせるようなジャズ・ナンバーで、エンドクレジットでも再度流れていました。

(梅田ブルグ7にて鑑賞)

【採点:100点中80点】


※本作のサントラ。


Splice - Cyrille Aufort

※早くもDVDが出ます。
これだけ早いと、劇場公開ってDVDのプロモーションみたいだなぁ・・・。
4月20日リリース。





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