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■『ココ・アヴァン・シャネル』■(映画) 


ココアヴァンシャネル
ブランドものといえば、「ユニクロ」とか「しまむら」(←ブランドかよ?)くらいしか縁のない僕としては、シャネルといったってとんと馴染みがないわけで、それでも幼い頃から漫画などで「シャネルの5番」といえば、高級品の代名詞みたいな印象がありましたので、かねてよりシャネル=高級品という条件反射は刷り込まれていたわけであります。

さて、今年はココ・シャネルを主役とした映画が相次いで公開されまして、そもそもシャネルに馴染みがない僕としては、映画のほうもさりとて興味はなかったのですが、『アメリ』(01)で一世風靡したオドレイ・トトゥがシャネルを演じるとあって本作には少なからず注目しておりました。
まぁ、あまりにもファミリー向けな映画が多かった今年のサマー・シーズンの反動からか、大人向けの映画を欲していたことも多分にあったのかもしれませんが。

本作はココ・シャネルがいかに稀代のデザイナーになったのか、という、いわゆる伝記映画ではありません。
僕自身、てっきり伝記映画だと思って観たのですが、観終わって正直なところ、「なんじゃこりゃ?」って思いましたもの。なんせ、2時間近い物語のなかで、デザイナーとして活躍する場面はクライマックスの数分のみ。
あとはワガママでタカビーな、なんの可愛げもない女性の恋愛話が延々と描かれるのです。

そこでふと本作のタイトルを見れば、ココとシャネルの間にアヴァンという文字が入っているじゃないですか。
シャネルになる前のココという意味で、つまりはココ・シャネルの前日譚的な映画というわけ。
なんだか、ブルース・リーかと思ったら、ブルース・リャンだった、みたいな、パチモンとは言いませんが、こりゃ一本とられましたな、ははは・・・的な軽い敗北感を味わったような感じでございます。


両親に捨てられ、姉とともに孤児院で暮らすことになるガブリエル(後のココ・シャネル)。
他の孤児が肉親と面会する日曜日、いくら待っても自分たちを孤児院へ連れてきた父親はやってこない。
そこにガブリエルのモノローグが流れます。

「日曜日はきらい・・・」

なるほど、ココ・シャネルが自分のこれまでの出来事を、自らのモノローグを交えて描く構成か、と思ったら後は一切モノローグは出てきません(は?)
やがて、ガブリエルとお姉ちゃんは成長いたしまして、お昼はお針子、夜は場末のバーで歌と踊りを披露するというお仕事で生計を立てる二人。とりわけガブリエルの歌うレパートリーが「ココを見かけたのはどなた?」というナンバーだったので、いつしか彼女自身ココと呼ばれるようになります。
そんな彼女をみそめたのがお金持ちの軍人エティエンヌ(中年)。

「わしの愛人になりなはれ。お金も屋敷もおまっせぇ~~~」

という、魅力的な申し出を最初は断るココでしたが、姉が金持ちの愛人になったのに習って、自分もエティエンヌの屋敷に押しかけ女房のごとき転がり込みます。
貧しい生活の中で食っていくためゆえの選択だったのでしょうが、それにしては屋敷のベッドにもぐりこんで一日中出ないなど、いったいアンタは何様のつもりやねん? ってな奇異な行動のココに、エティエンヌも渋々承知します(渋々とはいえ、夜になるとココとイチャイチャしたりしてますよ)。
そんなある日、ココはティエンヌの友人でボーイというイケメン(ちょっと前髪が後退気味)と出会います。彼はエティエンヌのようなデリカシーのないおっちゃんではなく粋なジェントルメン。ココが彼の虜になるのもあっという間でありました。
そのくせ、エティエンヌと二足のわらじを続けるココはまったくもってしたたかなんですな、これが。
二人の男性の間でアヴァンチュール(いうなれば、ココ・アヴァンチュール・シャネル)を楽しんでいたココでしたが、そんな幸せは突然終わりを告げるのでした・・・。

いうお話が映画の5分の4くらいまで描かれまして、あとは傷心のココがそこで心機一転、デザイナーの道に進み、世界に名をとどろかせるようになりますよ~~~、という至極急ぎ足な展開。
呆気にとられているこちらを無視して、あっさり映画は終ります。


なんでも本作はシャネル社全面協力の映画なんだそうで、シャネルのデザイナーまでの物語も研究家によって信憑性のあるものだとか。
でも、この映画からヒロインがなぜ世界的なデザイナーとして成功するようになったのか、という部分はまったく伝わってこない(一部、姉の衣装をちょこっと手直ししたりするところに、彼女の才能の片鱗を伺わせる描写もありますが)んですよ。
となると、この映画に全面協力するシャネル社は、本作でどのような「利」を得ることになるのか、ということを考えれば、ますます疑問が募るばかり。
先にも書いた、今年相次いで公開されたシャネル映画では、そのデザイナーとしての部分が描かれていたのかもしれないし、そういった作品との差別化を図ったというのならば、なるほどと納得しないわけではありません。

しかし、曲がりなりにもタイトルにヒロインの名前を掲げれば、誰だってその伝記物語の部分に興味がそそられるというのは至極当り前のことであり、それを考えるとどうしても本作のパチモン臭さのようなものが、そこはかとなく漂っているように思えるは、はたして僕だけでありましょうや。
冒頭に書いたシャネル=高級品というイメージも、この作品の前ではなんら意味を持たないんですよ。

部分部分では、思わず目を見張るような素晴らしい「絵」を見せてくれるアンヌ・フォンテーヌ監督の手腕もけっして見逃すものではないのですが、演じるオドレイ・トトゥともどもその魅力を十分に発揮できていないように見えましたねぇ。
なお、相変わらず素晴らしいスコアを聴かせてくれるアレクサンドル・デプラは、今回も見事な手腕を発揮。
敢えていうなれば本作には勿体ないくらいの出来栄え、なんてことを書くと多方面から叱られるかもしれませんが・・・本当なんだから仕方がない!

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中30点】


※本作はこの本を元に製作されているそうな。


※こちらは「下巻」です。


※おぉ、これが「シャネルの5番」か。
どんな香りがするのやら。




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