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■『最後の忠臣蔵』■(映画) 


サイゴノチュウシングラ
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一時期にくらべ、年末になってもTVや映画で「忠臣蔵」を取り上げることが少なくなってきたように思います。
どのような形であれ、やり尽くした感があるからなんでしょうけど、それでも映像化されると観たくなるのは僕だけではありますまい。

故・深作欣二監督は、「仮名手本忠臣蔵」の完全映画化を企画していたそうです。
スピンオフ的な作品である「東海道四谷怪談」もミックスさせるという壮大なもので、実際に映画化されるとなると何時間もの超大作になったことでしょう。
結局その企画は『忠臣蔵外伝四谷怪談』(94)として完成したわけですが、当初の企画からはかなり規模は小さくなったのは周知のとおり。しかし、個人的には満足度の高い映画でありました(高岡早紀のすっぽんぽんなシーンもあったしね)。

という前置きはさておき、久しぶりの「忠臣蔵」映画である本作は、池宮彰一郎の原作を映画化したもの。
池宮彰一郎といえば、先に書いた『忠臣蔵外伝四谷怪談』と時を同じくして公開された『四十七人の刺客』(94)の原作者でもあるのはご存知のとおり。
僕も当時は両作品とも観ましたが、やっぱりケレン味のある(そのうえ高岡早紀のすっぽんぽんもある)『~四谷怪談』のほうが好きでしたね。
『~刺客』のほうも斬新な映画ではありましたが、高倉健と宮沢りえとの恋愛関係ってのが、ちょっと無理があり過ぎじゃないですかぃ、と思いましてね、そこがちょっと・・・ね。

でも、その高倉健演じる大石内蔵助と宮沢りえ演じる、かるとの物語が、今回の『最後の忠臣蔵』にも大きく関わってくる、つまりは『~刺客』の続編的な作品がこの『最後の忠臣蔵』なんですね。

でも、原作は未読なので詳細はわかりませんが、映画は『~刺客』を観ておかなきゃいけない、とか、原作を読んでおかなきゃいけない、ということはありません。
完全に独立した作品になってますのでご安心を。


サイゴノチュウシングラ2
正直なところ、本作を観るまで内容はほとんど知らなかったんです。
具体的な情報といっても、映画館での予告編くらいなものでした。

四十七士の中で、脱盟した二人の人物、瀬尾孫左衛門(役所広司)と寺坂吉衛門(佐藤浩市)が主役。
しかし、彼らが脱盟したのには深い理由があって、そこには内蔵助の隠し子である可音(桜庭ななみ)の姿があった、とそれだけの知識しかなかったのです。

てっきり、その可音が脱盟した二人はもとより、散らばった赤穂の浪人たちを集めて、再度討ち入りを画策しよう(でも、誰に? 柳沢吉保とか?)という、いわば攻撃的な映画かな、と思っていたんですが・・・違いました(笑)


ひとことで言えば沁みる映画でしたねぇ。

脱盟の汚名を背負った二人の武士、それぞれに同じ境遇でありながらまた違う生き方をしている、というか生き方をせざるをえなくなった武士の宿命がまず沁みます。
吉衛門は赤穂浪士たちの物語を後世に伝えなければならない。
孫左衛門は主君の実子を守らなければならない。
立場は違えども、彼らの運命は武士道の上に成り立っているのです。


特に映画は孫左衛門と可音との物語を中心に描かれていくのですが、肉親の愛情を知らない可音にとって、唯一の近親者である孫左衛門に愛情を抱くのは自然なことながら、孫左衛門にとって彼女はあくまで主君の娘。
武士の娘ということで、幼い頃からお茶、お花、といった礼儀作法を叩き込む孫左衛門の姿は、さながら父親のようでございます。
しかし、長年女性を断っているという設定の孫左衛門、もとい、『失楽園』な役所広司にとって、可音、もとい桜庭ななみと二人きりで暮らしているとなると、こりゃあもうねぇ、相当に悶々としたものが渦巻くのは必至。

劇中、桜庭ななみの足を丁寧に洗ってやる役所広司というシチュエーションがあるんですけど、この場面は相当にエロティックでございまして(そういう視線で観てるからかもしれませんけど)、こりゃあもう速攻で心の箍(たが)が外れるってなものでしょうが、そうならない。
なんでも原作では可音に対して邪な思いを抱くことで自分を責める孫左衛門、というシチュエーションがあるそうですが、映画での彼はあくまでストイックを貫き通すのです(彼のストイックさはまた別の形で映画で描かれますが、ま、そこは実際にご覧あれ)


たしかに孫左衛門って見ようによっちゃ武士道の美学を貫いた男なんでしょうが、普通に考えればそれって異常な世界じゃあ~~~りませんか。
でも、この映画の素晴らしいところは、孫左衛門の抑制されて悶々としたリビドーをもキチンと映像化しているということ。
それが人形浄瑠璃なんです。それも心中もの。
開巻早々から幾度となく挿入される人形浄瑠璃の映像は原作にあるものではなく、脚本を担当した田中陽三氏の創作なんだそうで、最初はこれはいったいなんの意味があるんだろう? と不思議に思っていたんですけど、表面では武士道でもって自分の欲望を封印している孫左衛門の、しかし、たぎる想いがそこに集結していると考えると、ナルホドね! と納得したのでありました。


ま、そういった部分もさることながら、映画のクライマックスでは赤穂事件後、討ち入りに参加できなかった赤穂浪士たちの心が一つに収束していくというある出来事が起こります。
このあたりもけっこう沁みるシチュエーションのてんこ盛りでありまして、観る前は地味な映画かな、と思っていたんですけど、かなり魂を揺さぶられる熱い映画に仕上がっていました。
「忠臣蔵」のその後を描いた物語というのは具体的にあまり思い浮かばなかったので、この作品はとても興味深く観ることができましたし、結末にも納得いくものでありました。


サイゴノチュウシングラ3
監督した杉田成道という方の作品はTVドラマの『北の国から』が有名ですが、僕はあのドラマはほとんど観てなかったので、その作風はいまいちよくわからなかったんです。
でも、今回の映画での「静」に秘めたる「動」を描くその演出は、味わい深いものがあります。『北の国から』が多くの人に愛されたのもよくわかるような気がしました。


ところで、本作で重要な人物として登場する京都の豪商、茶屋四郎次郎。
その茶屋四郎次郎を演じるのが笈田ヨシとは、けっこう凝ったキャスティングだなぁ、と思いました。
イギリスの奇才、ピーター・グリーナウェイの『ピーター・グリーナウェイの枕草子』(96)では、緒方拳のおカマを掘る役を、『あつもの』(99)でも緒方拳と菊を育てる技比べをする援交大好きジジイを好演。

と、やたら緒方拳に縁のある俳優(笑)ですが、本作では援交も、当然のことながら緒方拳も出演していません(当り前だ!)。


サイゴノチュウシングラ
音楽を担当したのは加古隆。

その経歴から考えると、映画音楽の担当数は決して多くはありませんが、ほんとに毎回素晴らしいスコアで魅了されます。
今回も、監督の演出同様、スコアにおいても「静」に秘めたる「動」を見事に音楽で表現。
特にメインテーマの旋律の美しさには沁みること請け合い。

エンドクレジットのあの映像にメインテーマが流れるのを目の当たりにして、思わず熱いものがこみ上げてきました。
以後、このスコアを聴くと条件反射のように目が潤んできます。
この季節、ドライアイ気味の方にはお薦めでございますよ(そんな薦め方でよいのか?)

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中75点】


※『最後の忠臣蔵』のサントラ。スコアは加古隆。
哀愁漂う叙情的なスコアの数々が映像を盛り上げてくれます。



最後の忠臣蔵 オリジナル・サウンドトラック - 加古 隆

※一年中、桜庭ななみがあなたの部屋に!
・・・というか、これくらいの歳の娘がいてもおかしくないんですけど(泣)



※この映画での桜庭ななみも光ってましたたなぁ・・・。



※高岡早紀のすっぽんぽん(もういいって!)以外にも、みどころ満載のエンターテインメント巨編!



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