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■『しんぼる』■(映画) 


シンボル1
松本人志監督第一作である『大日本人』(07)は、その大半を占めるフェイクドキュメンタリーな手法(個人的にはけっこう好きなんです、こういうの)で存分に楽しませてくれたのですが、クライマックスのシークエンスでそんな気分を一気に奈落の底に突き落とされた、じつに後味の悪い映画でありました。
ま、そもそも松本人志というか、ダウンタウン自体でぇ~~~ッキライな僕ではありましたが、そういうことはとりあえず度外視して、異業種監督が繰り出す映像に対する興味ただそれのみで臨んだわけで、期待と不安が五分五分ななかでかような仕打ちをされたものですから、正直なところ『大日本人』という作品は唾棄すべき映画ってなことで記憶から抹消したいとまで思ったくらいでした。

さて、その松本人志監督二作目である本作。
前作がそんなだったので正直「もう観ますかいな」と思っていたものの、予告編におけるその不条理なテイストに、情けなくも興味がそそられてしまいまして・・・。
まぁ、おそらく本人も前作での反省(しているのかどうか知らんけど)を踏まえての二作目なのであろうし、前作のような轍を踏んだりしていないだろう、とこちらの勝手な想像でもって映画館へ行ったわけですが・・・。


映画は大きく分けて二つのストーリーから構成。
片やメキシコ人プロレスラーの日常が坦々と描かれるストーリー。片や松本人志演じる水玉模様のパジャマを着た男が真っ白な部屋のなかで繰り広げるドタバタコメディ。
とりわけ、後者はヴィンチェンゾ・ナタリ監督の傑作SFスリラー『CUBE』(97)を思わせるシチュエーションでありながら、描かれるのはチ●コ、オナラといった小学校低学年レベルのナンセンス・ギャグが延々展開されるんですけど、それがことごとくTVのバラエティにおけるギャグの領域を超えるものでなく、観ていて醒めること醒めること(苦笑)。いうなれば、前作のクライマックス・シチュエーションがさらに拡大されたような感じ。

それはともかくとして、この一見なんら関連性の無いようにみえる2つのエピソードが同時進行していくなかで、これがじつは影響を与えている(といっても一方的なものですが)というスタイルは、個人的に敬愛するデイヴィッド・リンチ監督が『ツイン・ピークス』(90)以降の自身の作品に好んで用いているもの。
ただ、そういった作風に免疫のない向きには、本作における楽しみや笑いをどこに求めたらよいのか、戸惑うこと必至でありましょう。個人的には本作の予告編を観た段階で不条理コメディという見方をしていたので、特に混乱することもありませんでした。
むしろ、落としどころを何処へ持って行くのだろう? という興味のほうが勝って、前作ほどの拒否反応もなく観ることはできました。(あ、唯一強烈な拒否反応を起こしたのは、食べ物を粗末にして笑いをとるところ。あれは最低!

シンボル2
ところで、僕が鑑賞した際、隣に小学校低学年のガキンチョ、もとい、お子様の一団が座っておりまして、パジャマの男の場面では手を叩いてドッ! とウケているんですけど、メキシコの場面になると一転して無反応(笑)
そのうち退屈なのでしょうか、前の椅子を蹴ったり(あれだけ本編上映前に、鑑賞のマナーを口酸っぱく流しているのを観ているはずなのに。まったく最近のガキンチョ、もとい、お子様ときたら!)、トイレに行ったり忙しいのなんの。
でも、本作における観客の反応ってのは、そのお子様連中が見事に体現していて、そっちのほうが映画よりも面白かったですねぇ。


結局のところ、パジャマの男はいったい何なのか、という答えは明確にはされていないものの、クライマックスにおけるその風貌(このベタベタな演出も意図したものでしょうが)でおぼろげながらも判るようになっています。
そしてそこから連想されるのは、某SF映画の古典(敢えてここでは書きませんが)であって、監督本人にその考えがあったかどうかは定かではありませんが、大なり小なり影響を受けているのは明らか。それを考えると「白い部屋」も「天使のチ●コ」も説明がつくってなもので。

でも、それがどうしたというのだ?

90分のこの映画で、監督はいったいなにを描きたかったのか?
別段メッセージ性もなく、ただ恵まれたことに予算とスタッフがいたので、なんとなく映画を作ったということなのか? 観終わって生じる数々の疑問と、このようなシロモノに予算が費やされるというシステム自体ナンセンスにしか思えず、これを観た他の芸人連中が「こんな感じの映画だったらオレにも作れるわ」ってなことで、そのネームバリューだけでやたら異業種監督がゾロゾロ湧いて出てくるような状況になるのではないか、という一抹の不安と恐怖を抱きつつ、劇場を後にした次第です。


退場する際、件のガキンチョ、もといお子様連中が、

「オモロかったな!」

と話していたのを聞いて、

「どこがどうオモロいねん! 言うてみぃっ!」

と、思わずその胸倉を掴んでやろうかぃと思った僕は、なんと大人気ないことであることだなぁ。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中15点】


※なんだかよくわかんないコラボですね。


※僕の知り合いにキティのストラップや根付を集めている人がいるのですが、そう人にはたまらないんだろうな。


※たしか本編にはキティのキの字も出てこなかったと思うんですけど。



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