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■『トロン:レガシー』■(映画) 


トロンレガシー
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『トロン』(82)は、公開当時いろいろと印象深かった作品でした。

当時ツルモトルームから出版されていた「日本版スターログ」での特集号を読んで興味津々だった僕は、早速劇場へ行って前売り券(ポスターがついてました。映画の広告用ポスターではなく、ブルース・ボクスライトナーが仁王立ちしてるバージョン。長い間、部屋の襖に画鋲で貼り付けてました)も買って公開日を待つばかり。

実際、映画を観ることはできたけど、当初観る予定だった難波(南街スカラ座だったと思う)の劇場にどういう理由だったか行けなくて、東大阪の布施にあった昭栄シネマ(前売り券は使えた)で観たのでした。
おそらく、父親同伴だったのでその父の都合もあったんだと思います。

映画館の規模の問題でちょっと不満もあった(と書くと昭栄シネマさんには悪いですね。ここでは『サスペリア』とか『サンゲリア』とか『アメリカン・バイオレンス』とかいろいろ観てるので許してね)ものの、とにかく映画の内容にはただただ圧倒されたものでした。
描かれていることの半分くらいは理解できなかったけど・・・。


なんせ、今みたいに家庭に一台はパソコンがある時代じゃなく、映画のなかでゾロゾロ出てくるコンピューター用語なんてちんぷんかんぷん。
入場時に劇場から小さなガイドブックをもらいまして(無料配布だった)、そこには映画に登場するコンピューター用語の解説なんてのも書かれてありましてね。
当時、ここまで観客に気を遣っていた映画も珍しいといやぁ珍しい(笑)

簡単にいえば、主人公はコンピューターの世界に入って行って、その中の悪(悪のボスであるMCPは「じゃんりん子チエ」に出てくるヒラメちゃんそっくりだった)を倒すというストーリー。
そういう捉え方だけでも映画を追うことはできました。
でも、同伴の父親には難しかったのか、上映中ぐっすり寝てましたけどね(笑)

トロンレガシー1
CGが当り前になった現在じゃなく、当時としては本格的にCGを使った映画というフレコミで、実際にはCGは数分間のみで後は手描きのアニメーションだったというのを知ったのは、ずっと後になってからでしたが、とにかく独創的な映像には先にも書いたように圧倒されました。

ウェンディ・カーロスのシンセとオケが融合したスコアもとっても印象深くって、当時はサントラも聴きまくっていたものです。

ただ、映画自体は本国でもやっぱり内容が難解ということでヒットには至らなかったようですが、それでも公開後数年経って続編が作られるとか作られないとか、映画関係の雑誌にはちょくちょく話題に挙がっていたものでした。

半ば、映画ファンの間での都市伝説みたいな感じになってたんじゃないでしょうかね、『トロン』の続編って。
それが、こうして実際に続編が出来上がってみると、なんというかなぁ感無量というよりも、

「え? ほんまにできたんですか?」

というちょっと醒めたような気持ちになってしまうのはなんなのでしょうね。
あまりに待たされすぎたからかなぁ。

しかも、タイトルは『~2』じゃなく、『~レガシー』って。
キャサリン・ロスでも出るのかい? ってなタイトルですけど、そりゃあ前作から30年近くも経ってりゃ「~2」なんてタイトルよりも、これはまったくの別物でっせ、というようなタイトルのほうが、製作したディズニーも現代の観客には受け入れられやすいんじゃないかって考えたのかもしれませんね。


トロンレガシー3
さて、その『トロン:レガシー』ですけど、前作と同じくジェフ・ブリッジス、ブルース・ボクスライトナーも再び出演している(しかも、同じ役で)というのは嬉しかったです。
前者はともかく、後者はここ数年出演作はとんと見受けられなかったものですから。
それだけでも、微かではあるけれどノスタルジーを感じつつ、そこにプラスアルファな要素のある映画なんじゃないかと期待はしたんですけどねぇ・・・。

肝心の物語がまんま、前作の二番煎じってのはどういうこった?

主人公はブリッジスの息子で、失踪した親父さんを探すためにコンピューターの世界に入って行く。
そこには親父さんとソックリな男がいて、こいつが今回の悪の親玉。で、主人公は悪を倒して親父さんとともに元の世界に戻ってこれるでしょうか? ってのが大まかなお話。

たとえば、前作の悪役だったデイヴィッド・ワーナーの息子(ちゃんと登場します。演じるのはなんと、キリアン・マーフィ。カメオ出演?)との確執をメインとした物語なのか、と思ったらそうじゃないんですよね。
つまりは、前作から30年とはあまりにも時間がかかり過ぎた。だから単純に続編として作ってもいまの観客には受け入れられないだろう。じゃあ、前作の物語をなぞってリニューアルという形でいきましょうよ、という製作サイドの方針が見えてくるようでした。


トロンレガシー5
さらにいけないのが、3Dでの上映ということ。
昨今のブーム(このブーム自体が僕にはとっても胡散臭いものに思えるんですけど)に乗って、さらに最新のCG技術を駆使した映像ということで、前作と較べると一見クオリティが高いように見えます。

いや、予告編を観た時はとっても興奮したんですけど、やっぱり3Dってのがどうも僕の体に合わないんですよ。
たとえば、前作でのコンピューターの世界の映像って基調はモノクロなんですけど、そこに極彩色のカラーリングが施されていて、とっても華やかなイメージがあったんです。
が、今回は全体が暗い色調(まぁ、これがスタイリッシュといえなくもないのですけど)の上に、普通でも映像が暗いわ視野が狭くなるわという3Dでの上映ということで、これがとにかく苦痛でたまらなかったんですよ。
観ている途中、何度か眼鏡を外して裸眼で映像を観たい衝動にかられてしまいましたが、ピンボケの映像が広がっているばかり(当り前だ)。

しかも、本作においては3Dの上映館はあっても2Dの上映館がないという、いわば強制的3D映画。
今回のようなプロダクション・デザインが奇抜な作品において、画面の隅々まで凝視しづらい3D上映となると、これって映画を楽しむ観客の権利を奪っていることになるんじゃないでしょうか。

もっとも以上はXpanD方式で観た際の感想であり、これが他の方式、たとえばIMAX方式などで観れば印象も変わってくるのかもしれません。
しかし、肝心の物語があれではねぇ、わざわざ他の方式で見直すほどのものでもないな・・・というのが素直な感想です。

本国のみならず日本でもヒットしている本作、ディズニーにしてみれば30年前の映画でも、こうやって「改造」すれば収益をあげられるということを考えると、なるほど、タイトルの「レガシー」=「遺産」ってのは、そういう意味だったんですねぇ・・・。


トロンレガシー
さて、音楽を担当したのはフランスのエレクトロ・ユニット、ダフトパンク。
どうせならまだ存命のウェンディ・カーロスに再登板していただきたかったなぁ。

ダフトパンクのトーマ・バンガルテルはフランスの奇才ギャスパー・ノエが監督した『アレックス』(02)と『エンター・ザ・ボイド』(09)(昨年、日本公開。観たかったけどタイミングを外して観に行けなかった)ですでに映画のスコアを担当しており、本作が3作目の映画音楽作曲作品。
彼ら本来のスタイルであるエレクトリック・ミュージックもさることながら、オーケストラによるアコースティックな音色との融合というのは、前作でのウェンディ・カーロスと同じ方向性。

ただ、やっぱりなぁ・・・というか、スコアの多くがミニマル・ミュージックが基本形になっているというのは、今回に限らずロック系、テクノ系の作曲家がスコアを書く際によくあるパターン。
それを思えば、ジョニー・グリーンウッドの『ノルウェイの森』のスコアは個人的に評価が高くなってくるというものです、というのは余計な話ですな。

ちなみに、サントラのスタッフにはハンス・ヅィマー率いる(どこでも出てくるなぁ)RCのアラン・メイヤーソンや、作曲家ブルース・ブロートンのクレジットもあって、ダフトパンク(というより、トーマス・バンガルデルでしょうね)がスコアを書くにあたってなんらかの協力体制が敷かれていた模様。
音的には映像ともどもスタイリッシュな仕上がりになっています。これで、もうちょっと本編がよかったら・・・。

サントラは最近のディズニー作品ではそのほとんどがダウンロードによる販売をしている(昨年、アカデミー賞作曲賞を受賞した『カールじいさんの空飛ぶ家』でさえ、ダウンロードのみの販売だった)中で、本作は従来のCDでもリリースされています。
ただ、CDよりもダウンロードのほうが収録曲が多かったりします。
ディズニーもよくわからんことをしますね。

(TOHOシネマズ橿原にて鑑賞)

【採点:100点中35点】


※前作にあたる『トロン』(82)です。
『~レガシー』をご覧になって、まだ前作をご覧になっていない向きにお薦め。
30年前の映像ですが、十分楽しめると思いますよ。



※『トロン』(82)のサントラ。
スコアはウェンディ・カーロス。
シンセサイザーとオーケストラの融合には、公開当時少なからずセンセーショナルだったなぁ。
てっきり今回もウェンディ・カーロス再登板を期待していたのですが・・・。



※『トロン:レガシー』のサントラ。
スコアはダフト・パンク。
彼らが映画音楽を手がけるのは初めてではありませんが、これまでの作品に比べ、今回はスケール感が格段に違います。


TRON: Legacy - Daft Punk
  ↑
じつは、iTuneでダウンロードするほうが2曲多かったりする。


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