FC2ブログ

■『ノルウェイの森』■(映画) 


ノルウェイノモリ1
【公式サイト】はコチラ!

僕は村上春樹と村上龍の区別がつかないような村上音痴でございます(村上ショージと村上佳菜子の違いはわかるけど)。

そんな僕でも、「ノルウェイの森」については名前くらいは知ってます。

あれは、ちょうどバブルの真っ只中の頃。
当時、僕は東京で仕事をしておりまして、職場の後輩でいつもどこかニヤけたような面構えの、いわゆるイケメン君がおりました。到底、本なんて読まないような彼(知らんけど)が、ある日なにやら熱心に小説を読んでるじゃありませんか。

それが村上春樹の「ノルウェイの森」だったんです。

「それってオモロいんか?」と彼に尋ねると、
「オモロいかどうかじゃなくて、いま、これを読んでなきゃ女の子と話ができないんですよ」と言うのです。

そんなことがあったものですから、女子の心を掴むテクニックの指南書のような、おっしゃれ~~~な恋愛小説かなんかだろうと思ってたんですよ。
ちなみに、毎週日曜日には神保町をうろつくほどの本好きでしたが、僕が当時夢中になって読んでいたのは荒俣宏の「帝都物語」。

ですから、そんなおっしゃれ~~~(そう)な恋愛小説など、たとえ書店の店頭でみかけても、一度たりとも手にしたことはありませんでした。

ノルウェイノモリ2
それから幾星霜・・・、その「ノルウェイの森」が映画化されるというじゃないですか。
そのニヤけたイケメン君の顔とともに、おっしゃれ~~~(そう)な印象を持っていたその原作を、読みはしなかったけれど映画になるなら一度観てみようじゃないか、と。

しかも、監督(だけでなく脚色も)するのは、なななんとトラン・アン・ユンと聞いて、「えっ!」ってなもんですよ。
ベトナム出身の映画監督トラン・アン・ユン。
たしか日本で最初に紹介されたのは、『青いパパイヤの香り』(93)でしたっけ。
僕もあの映画は公開当時、テアトル梅田で観たのですが、強烈な睡魔が襲ってきまして、ほとんどを「爆睡」してしまったという苦い思い出が・・・。

でも、前作の『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』(09)がとにかくトンデモない映画で、最初から最後まで画面に目が釘付け!
なんせ、キムタクの顔にウジ虫たからせるようなサディスティックな監督ですよ、今度は松山ケンイチの顔になにをたからせようとするのか(笑)、ということを考えると、、正直「大丈夫なの?」と思ってしまったのでした。

でも、再三書きますが、そもそも、原作をまったく読んだことがなかったので、ほんとにその物語がおっしゃれ~~~(そう)なのかどうか、という意味においては、以前よりもっと本作への興味が湧いてきたのでありました。
で、実際に映画を観たのですが・・・。

これって、エロ映画ですやん・・・。

話はいたってシンプル。

主人公のワタナベくん(松山ケンイチ)は、友人のキズキくん(高良健吾)とその恋人の直子さん(菊池凛子)といつも3人でつるんでおりましたが、ある日突然、キズキくんが自殺(その理由はまったく描かれない)してしまいます。
やがて、故郷を離れ東京で大学生になったワタナベくんの前に、突然直子さんが現れます。
二人は恋愛関係になっていくも、直子さんはキズキくんが亡くなったショックからまだ立ち直れず、精神的に不安定になってしまい京都の療養所に入院。
それでも、ワタナベくんは直子さんのことが忘れられず、何度か彼女のいる療養所を訪れます。
で、ここで最後の一線を越えよう、とすると直子さんはキズキくんのことを思い出してしまって、ワタナベくんを拒否してしまうのです。
ワタナベくん、まるで蛇の飼い殺し状態です。

一方、ワタナベくんの前に緑ちゃん(水原希子)という女の子が出現。ワタナベくんは緑ちゃんにぞっこんになりますが、この緑ちゃんってのがとにかく小悪魔を絵に書いたような女性。
どうやら本命の恋人がいるようなのにワタナベくんを誘惑したりします。
が、最後の一線だけは越えさせません。
ワタナベくん、まるで蛇の飼い殺し状態です。

かくして、ワタナベくんは直子さんと緑ちゃんの間で、悶々とした日々を送るのでありました。


ま、そんな話ですわ。
で、直子さんと緑ちゃん、この2人のヒロインが、口を開くと「強烈なシモネタ」のオンパレード!!
具体的なことはウブな僕にはとてもじゃないが書けません。
それにもまして、この映画を観た際、なぜか場内の99%が女性客でして、男は僕くらいなもので。

いやぁ、居心地悪かったですよ・・・(なんだか、それ目当てできてるような感じで)。

とにかく、直子さんの言う、相手に対する愛情のバロメーターが「●れるか●れないか」というのが、なんちゅうか、その、物理的にはそうなんだろうけど、そんなこと言われても・・・ねぇ・・・。

これ、原作もそういう内容なんですかね?
これのどこがおっしゃれ~~~なの?(というか、僕が勝手におっしゃれ~~~な内容と思ってただけなんですけど)


あ、そうか。
たとえば書店で「フ●ンス書院文庫」は堂々と買えないけど、「ノルウェイの森」だったらトレンディだし、買うのも抵抗が無い、ってなことでのベストセラーだったのか? と勘繰ってしまうほど、その内容にはいろんな意味でびっくりしましたですよ。
そんな下世話なことはともかく、実際に原作小説に感銘を受けた方には、この映画はどのように映ったのでしょう?
そのあたり、ぜひとも教えていただきたい。


さて、本作の舞台は60年代後半から70年代前半にかけて、いわゆる大学では学生運動が盛んな頃。
劇中でもそんな場面が何度か登場しますが、けっこう画作りはしっかりしていて、当時の様子を見事に再現しています。他にもタクシー初乗り料金が当時の値段(幾らだったか忘れちゃったけど)だったり、細かい部分もキチンと手が行き届いていたのには好感が持てました。
まるでATG映画を観ているような印象っていうんですか、これはこれで良かったなぁ。

また、主役3人を演じた松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子の3人もいいんですよ。
特に、本作で女優デビューしたという水原希子は、本業はモデルさんだということで演技初体験とはいえ、緑という掴みどころのない女性をじつに巧く演じていましたね。


でも、肝心のストーリーがあれではねぇ・・・。
2人の女性の間を行ったり来たりしつつ、なんと最後には人妻にまで言い寄られてしまうというモテ男な主人公の破廉恥物語でしかないし、そんな彼が映画のラストで観客に対して、ある問いかけをしてくるんですけど、

そんなこと言われても知らんがな・・・

と思わずツッコミを。

結局のところ、トラン・アン・ユンはこの物語の何に惹かれたんだろう。
女性のあられもない猥談にだろうか?(そのくせ、劇中のベッドシーン、いずれもトップは下着つけたままという、かなり不自然な演出だし)

とまあ、そんな印象だった本作でしたが、観終わってから原作の触りを知って納得しました。

映画は現在進行形(70年代が現在)の物語だったのに対し、原作は過去の物語なんですね。
つまり、原作では現代(80年代後半、あるいは21世紀でもよい)の主人公がビートルズの「ノルウェイの森」を聴いて、学生の頃の苦くて辛い出来事を回想するというスタイル。

それならば、よけいにトラン・アン・ユンがこの物語に惹かれたのは何処の部分なの? という疑問が。

精神的に若かった頃の自分の懺悔ともとれる物語、そこが本作のテーマだと思うのですが、懺悔の念とは現状の自分から距離をおいて己を振り返ってみて初めて生じるものだと思います。
しかし、映画はあくまで当事者としての主人公の姿が描かれるのであって、つまり懺悔の念もなにもはなっから無い状態。
結局、2人、いや最終的には3人の女性の間で煩悶するしかない主人公を描くことで、トラン・アン・ユンは前作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』のように、主人公に対して即物的にいたぶるのではなく、本作では精神的に主人公をいたぶるという、強烈なサディスティックな嗜好が露呈した映画だったのでした。

トラン・アン・ユン、おそるべし・・・。

ノルウェイノモリ
さて、音楽を担当したのは、レディオヘッドのメンバーであるジョニー・グリーンウッド。
映画音楽作曲家としては、ポール・トーマス・アンダーソンの『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)、以来2度目になります。

『ゼア・ウィル~』は、その作風が僕にはスタンリー・クーブリックの作品を思わせるものだったので、グリーンウッドのスコアも、クーブリック御用達のクシシュトフ・ベンデレツキやジョルジュ・リゲティといった現代音楽作曲家の作風を思わせるような仕上がりで、正直それが鼻についたりもしました。
今回のスコアもやはりベンデレツキ調といいますか、聴く者の耳を鋭く突き刺してくるかのような「痛みを伴ったサウンド」。

聴いていて、思わずほっこりするようなそんなサウンドは皆無です。

しかし、それが映画の内容とぴったりマッチしていて、その痛みさえも次第に快感に変わってくるような、不思議な魅力を持ったスコアになんですよ。
ベンデレツキ調というよりも、むしろジョニー・グリーンウッドの作曲家としてのスタイルが確立された、そんなサウンドトラックになっています。

なんでも、原作にはもちろんビートルズからローリング・ストーンズ、はたまたクラシックからバート・バカラックやヘンリー・マンシーニといった、それこそおっしゃれ~~~なサウンドが登場するそうで、そうなるとそのサントラもそんなナンバーを無造作に羅列したオムニバス・アルバムのようなものが作られがちですが、ほとんどをジョニー・グリーンウッドのスコアだけで統一したこのサウンドトラックは、それだけでも評価に値するものだと思います。

(TOHOシネマズ橿原にて鑑賞)

【採点:100点中50点】


※ま、映画も観たので、原作も読んでみようかなぁ~~~


※とは、思いませんでした・・・。


※ありゃ? 上下巻セットってのもあるんだ・・・。
それにしてもこの色選び、フレディ(葉っぱ、じゃなく、エルム街)のセーターですやん。



※キムタク・ファンにとっちゃ、「踏み絵」のような映画。
僕はとっても面白かったですけどね。



※ジョニー・グリーンウッドによる、本作のサントラ。




コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/142-1679cf04