■『SPACE BATTLESHIP ヤマト』■(映画) 


スペースバトルシップヤマト
【公式サイト】はコチラ!

世代的には「ヤマト世代」なんですけど、僕はもっぱら『猿の軍団』をキャッキャキャッキャ言いながら観てたんですよ。
だから『宇宙戦艦ヤマト』はリアルタイムじゃなく、その後、夕方に再放送やってたのを観てましたね。

ってなわけで、『~ヤマト』には正直なところ思い入れはないのですが、それでもなぜか『さらば宇宙戦艦ヤマト』のノベライズは買って読んだし、何を間違ったか『ヤマトよ永遠に』は映画館で観てたりします。
こういう、無意識「ヤマト世代」な人間って、けっこういるんじゃないでしょうかね。


そんな僕でも、『~ヤマト』が実写化されたよ、しかも監督は山崎貴だよ(脚本は奥さんの佐藤嗣麻子だよ)、となれば、少なからず興味を持ってしまうわけで、昨年の今頃にキムタク演じる古代進の姿とともに本作の第一弾特報が出た時はそれなりに興奮しましたねぇ。

で、あっという間に一年過ぎて、実際に上映されてしまった今となっては、なんともいえない虚無感みたいなものを抱いている次第。
この感情はなんなのでしょうねぇ。


とにかく、本作の脚本を担当した佐藤嗣麻子によれば、
「TV版を一度も見たことが無い人々にも単独の映画として楽しんでもらえるようにしたかった」(パンフより引用)
ということ。

いうなれば、J・J・エイブラハムズが監督した『スター・トレック』(09)のようなものか(「一緒にするな!」とお叱りの声が聴こえてきそうですけど)。

なんせ、開巻早々バトル・シーンから始まるというのも、妙に『スター・トレック』を意識しているように思えたものでね。

本作のストーリーはTV版の1作目を踏襲したものになっていて、いまさらここで書くまでもないですが、登場人物がいろいろ改変されているのはご存知のとおり。

たとえば、佐渡先生を高島礼子が演じると聞いて、そういえば佐藤嗣麻子が監督した『K-20 怪人二十面相・伝』(08)では、高島礼子を長屋のおばはん役(髪型は天パ)という、そうそう他ではお目にかかれないようなキャスティングが斬新だったので、本作でも高島礼子をハ●&デ●な容姿にするんだろうな、とウキウキしていたんですけど、まぁ、結果は実際に本編をご覧になられたし。

これを筆頭に、いろいろ驚かされる部分がたくさんありまして、それを逐一ここで挙げるとこれから本作をご覧になられる方の興味を削ぐことになるので割愛させていただきます。
同じく様々な憶測が飛び交っていた、デスラーは登場するのか? スターシアはどうなんだ? アナライザーは? という疑問についても同じく本編をご覧になられたし。

ここでは、クレジットに伊武雅刀、上田みゆき、緒方賢一の名前もちゃんとあるということだけに留めておきます。
あ、ささきいさおもね。


あとねぇ、個人的にオリジナルの『~ヤマト』で思い出深いのはワープのシーン。
ご存知の方も多いでしょうけど、ワープの途中で森雪がすっぽんぽんになるんですよ。
これには当時、TVを観ていた幼い僕にはとってもセンセーショナルでしたねぇ。

だから、本作でもそりゃあ期待しましたがなっ!!
黒木メイサも、マイコも、高島礼子も、み~~~んなすっぽんぽんになるわけでしょ。しかも大スクリーンで!!

これじゃ『~ヤマト』というよりも「金瓶梅」だよ。

・・・ま、それについても本編で確認されたし。
あ、先に書いたなんともいえない虚無感ってのは、このワープのシーンがあったからかもしれません。
もっとも、映画に映ってない部分ですっぽんぽんになっていた可能性あり。それはラストシーンを観ればわかります。


そのワープについていえば、映画はストーリーを追うことに重きが置かれていて、科学的な部分、たとえば波動砲とか波動エンジンとか、コスモクリーナーとか、そしてワープ航法などの理屈については一切触れられておらず、たとえばワープ航法なんかは、その科学的な理屈ってのはTVシリーズでも時間を割いて触れてられていたと記憶しています。
もっとも、そこまでやってると映画は2時間で収まらないんだろうけど。
また、何万光年も離れたイスカンダルへの旅が、本作ではちょっと近所へ買い物へ、くらいの距離にしか感じられないのはどうしたものか。
また、ヤマトという宇宙船そのもののスケール感もいまいち映像からは伝わってこなかったのは、なんなのだろうなぁ。


山崎監督は、日本でこういったSFX満載の映画が作られてなかったのはお金やスタッフの問題と言われてきたけど、そうではなくて「経験値」の問題だと、これまたパンフで語ってらっしゃいます。
なるほど、監督の過去の作品にはハリウッドの映画に匹敵するクオリティのSFXが堪能できましたから、その言葉も間違っちゃいない。
本作でも山崎監督の面目躍如ともいえるSFXてんこ盛りな絵作りは、日本映画でもここまでできるんだ、という点で素直に喜びたい部分ではあります。


しかし、技術面だけがいくら進んでいても肝心なドラマ部分はどうなの? となると、本作の場合は多少首を傾げざるをえない。

それが顕著なのが古代進と森雪のシチュエーション。
あの二人の恋愛感情はちょいと唐突過ぎやしなかったか?
それがために、映画のクライマックスがどうも付け焼刃のように見えてしまう。

そして、あのラストシーンはここ最近の日本映画によくあるパターンで、タイトルを挙げるわけにはいきませんが、少なくとも今年公開された作品でもいくつか同じような展開があって、正直「またかよ」と思ってしまいました。


かように、SFXを満足させるか、ドラマを満足させるか、はたまたその両方をクリアできるほど、監督のいう「経験値」は、山崎監督だけでなく日本映画ではまだ積まれてないんじゃないか、と思った次第。

ドラマもクリアできてこそ、SF映画としてのクオリティといえるんじゃないのかな。

なんだか欠点ばかりを挙げているようですけど、ハリウッドの力を借りずに日本映画でもここまでできるんだ! というひとつのレベルになった作品という意味では、大いに喜びたいし、これをきっかけとしてオリジナリティあふれる作品が今後登場することを願ってやみません。


スペースバトルシップヤマト
さて、本作の音楽は山崎監督作品ではおなじみの佐藤直紀。

とはいえ、劇中に流れるスコアのほとんどに、故・宮川泰が作曲したオリジナルのテーマ曲をふんだんに取り入れています。
たしかに知らない者はないだろう有名な旋律でもあり、これが高らかと流れるのを聴くとある種の高揚感も得られます。

ただ、あまりに使いすぎるのもどうなんだろ。
無論、本作にて佐藤直紀オリジナルのメロディも登場はするのですが、やはり耳に慣れた旋律の前では印象が薄いのは否めません。

またここで、J・J・エイブラハムズの『スター・トレック』を引き合いに出してしまうんですけど、あの映画におけるマイケル・ジアッキーノのスコアは、アレクサンダー・カレッジによるオリジナル・テーマの旋律を使いながらも、オリジナル・スコアで真っ向から勝負した好スコアになっていました。

あれを見習えなんて書くのは釈迦に説法でしょうが、佐藤直紀のオリジナルなメロディを期待していた僕としては、これはやっぱり残念と言わざるをえません。

大河ドラマ『龍馬伝』でスタミナとアイデアを出し尽くしてしまった、ということもあるのかもしれない。
しかし、ここは作曲家の意地ってものを見せて、もとい、聴かせて欲しかったというのが音楽に対する素直な感想です。

え? スティーヴン・タイラーの主題歌?

あんなもん、要らんよ。
邦画だろ! 邦画のプライドってものがないのかぃ!


(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中50点】


※本作のサントラ。
作曲は佐藤直紀。
詳細は上記レビューにて。



※スティーヴン・タイラーによる主題歌。
いや、ナンバー自体はいいんですよ。でも、あえてそれをこの映画で使うことが・・ねぇ。






コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/137-2031bb66