■『シュアリー・サムデイ』■(映画) 


シュアリーサムデイ
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蒸し返すようで悪いけど、北乃きいのスキャンダル報道のこと。

個人的に残念だったのは、清純派の彼女のじつに生々しい私生活が暴露されたことへの落胆じゃなく、スキャンダルの相手がどこの馬の骨だかわからん男(あ、僕が知らないだけかも)だったということ。

この相手がせめて勝地涼だったならば、ホテルから一緒に出てこようと、路チューしようと、どこで何をしようと、諸手を挙げて二人の交際を応援したのだけれど・・・。

もちろん、これは北乃きい、勝地涼が共演した秀作、『幸福な食卓』(07)における二人のあまりも瑞々しく、そして切なく哀しい境遇と、それを打ち消すかのように再共演を果たした「キットカット」のCMに、思わず熱い涙を流したからで。
映画にしろCMにしろ、それが芝居上のこととはいえ、実生活でもこの二人がいい関係だったらなぁ、という願望があった。
まぁ、いうなればこの二人は、かつての百恵&友和を髣髴させるお似合いのカップルだと思っていたわけだ。


さて、件の作品と、同じ年の『東京タワー』(07)、その2年前に出演した『亡国のイージス』(05)などの好演で、勝地涼という俳優のファンになってしまった(別にヘンな意味じゃなくって、純粋にええ俳優やなぁ、って意味だよ。ほんと、ほんと)僕としては、今回の『シュアリー・サムデイ』は思いがけないプレゼントだった。

いや、プレゼントになるはずだった・・・、ってな詳しいことは後述する。


本作は、俳優である小栗旬が何年も前から温めていた物語を、彼自らの手で演出した初監督作品。

もう随分前になるけど、異業種監督の映画が相次いで公開された時期があった。
有名作家やら有名ミュージシャンやら、とにかく

「え? この人まで監督ですか?」

ってな具合で、映画ファンとしては複雑な心境だったが、結局そのなかで生き残ったのは北野武くらいなもので。

それを考えると、あのへんてこりんなブームは、低迷していた邦画のテコ入れをしようとした各映画会社の苦肉の策であったんだろうけど、それに担ぎ出された臨時監督諸氏には、ほんとにほんとにほんとにほんとにご苦労様としか言い様がない。

いや、今回の小栗旬が、当時のように映画会社から担ぎ出されて監督やらせてもらいました~~~、というのかどうかは定かじゃないが(後に、山本又一郎Pによるバックアップが大きかったことが判ったけれど)、若手俳優の第一線で活躍している彼だし、それが映画を撮るとなるとこれはでっかい宣伝効果になるのは火を見るよりも明らか。

いや、明らかになるはずだった・・・、ってな詳しいことは後述する。

映画は小出恵介、勝地涼を中心とする5人の高校生グループが、ひょんなことから校舎を爆破するハメになり、それによってそれぞれが苦渋をなめつつ、しかしダラダラと怠惰な日々を過ごしている。
3年後、グループの一人がヤクザの道に進み、組の大金を持ちだしたばかりに組長らに追いかけられるハメになる。
かつての仲間に協力しようと(そこにはなんやかんやと理由があるんだけれど)一念発起した彼らは、それによって3年前に中途半端に終ってしまった青春のたぎりを、ここで再燃すべく立ち上がるのだった、という、いわゆる青春グラフィティ。

正直なところこの映画は、小栗旬が監督ということだけで、いったいどんな映画を彼は見せてくれるんだろう? という未知数ゆえの期待と不安あい半ばな感覚のみで、ほとんど予備知識もなしに「飛び込み」で劇場へ行った。
イメージとしては、『69』(04)『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(07)のような、痛快青春ムービーを期待していたのだけれど・・・。


おそらく、監督できたらこれもやってみよう、あれもやってみよう、と相当ワクワクしていたんだろうなぁ。
本作における、凝った編集の数々を観てりゃ、小栗監督の映画にかける想いというのはよ~~~く判る。
でも、その情熱とそれをお客さんに見せるという目的がかち合わないと、こんな悲惨なことはない。
そういう例もいっぱい観てきているし、こんなこと僕が書かなくなって、小栗監督も映画好きならよく判ってると思うんだけど、なんだろうなぁ、映画を撮ることができるという喜びが勝ってしまって、何も見えなくなったのかなぁ・・・。


とにかく、イタ映画のいい例。あ、イタリア映画じゃなく、痛い映画。

まず、開巻早々の「あれ」
「あれ」には、思わず後頭部を殴られたような衝撃を受けた。
なんていうんだろう、普段ギャグなんかやんないような人が、ここぞとばかりにやっちゃってダダスベリしてしまうような感覚みたいな。
監督は「あれ」で観客の心を鷲掴みにしようとしたんだろうなぁ。
とにかく僕が観た際の場内はシ~~~ンと静まり返っててねぇ、息苦しいったらありゃしない。
それがラストまでの2時間弱、ずっと続くってことを考えてみてくださいな、これは相当なもんだよ。

ほんとに、はたしてこの映画、最後まで見届けることができるか、って、観ている間中とっても心配だった。
自分の肌に合わない映画、ってのは年末に10本挙げるくらいに出会うものだけど、最後まで観ることができるか心配になったなんて、生理的嫌悪感だらけの凶悪でゴアゴアなホラー映画じゃあるまいし、これはそうそうお目にかかれるものではない。
それを考えれば、本作はとっても貴重な映画ともいえなくもないんだけど・・・。


で、肝心の勝地涼。
終始オーバー・アクトなうえに、相当数なギャグをかましてくれる。
彼のコメディアンぶりは先述の『東京タワー~』で証明済みで、小栗監督もそんな彼の特性に気づいてたんだろうな。
でも、そのオーバーアクトぶりが、肝心のストーリーに影響を及ぼすほどで、正直鬱陶しいったらありゃしない。

冒頭に書いたように、彼は好きな俳優でもあったのだが、本作ではマイナスな印象しか残らず、

「おまえ、もうちょっと静かにせぇよ!」

と、スクリーンに向かって怒鳴りたいくらいだった。
そのおかげで、本来主役であるはずの小出恵介の存在がかすむかすむ(苦笑)


もちろん、初監督ゆえに演出に稚拙な部分があるのは否めない。
タイトルの「シュアリー・サムデイ」=「いつか、きっと」ってのは、「いつかきっと、恥ずかしくない映画を作ります」、という意味が込められているんじゃないか、って思ったほど。

昔、アマチュア映像コンテスト番組が、バンド・ブームの次はこれだ! みたいな感じでオンエアされていたのを観てたけど、素人ながらどこかに光るセンスを持っている者もいれば、単に撮影機材をおもちゃがわりに、身内だけで盛り上がってますぅ、みたいな目も当てられないシロモノを作る者もいた。
本作はまさしく後者。
ただ、件の番組の投稿者と違うのは、小栗監督はすでに芸能界にてすでにある程度のステータスがあるってこと。
演出の稚拙さを補おうとしたんだろうか、いったい幾らのギャラが動いたのかは定かではないが、あの多彩な「友情出演」を見るに、芸能人のエゴにしか見えなかったよ。
「友情出演」の力でそれなりの体裁を繕うことができると思ったんだろうか?
でも、それってわざわざスケジュールをこの映画のためにあててくれた「友情出演」の皆々様には、とっても失礼だと思う(その多くが単に顔見せ程度の出演で、物語に大きく関わることもなかったし)。

これによって小栗旬の俳優としての今後の仕事に、悪い影響を与えやしないかって老婆心も湧いてくるってなもので。
小栗監督にそんな意識はなかったと思うが、やっぱり出来上がったのがこれでは、そう感じざるをえない。
もう少しどうにかならなかったのか、と、ほんとに残念でならない。


小栗旬、決して嫌いな俳優ではないし、できれば監督よりも演技者としての道を突き進んでほしいものだ。
というか、映画会社ももうちょっと冷静な判断が必要だったんじゃないか?

あ、それと勝地涼、今度はシリアスな映画にでておくれよ。頼むよ。

(MOVIX八尾にて鑑賞)

【採点:100点中10点】


※いわゆるメーキングもの。
「マジに面白いもの」・・・。う~~~ん・・・。



※いわゆるサントラ。
本編の「友情出演」同様、音楽面も「友情出演」。



※こういう映画にまた出会いたいものです。




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