FC2ブログ

■『タイタンの戦い』■(映画) 


タイタンノタタカイ
81年の『タイタンの戦い』は、ジャンル・ファンにとっては忘れられない一作。
モデル・アニメーションの第一人者、レイ・ハリーハウゼンの引退作品ということで、彼の技術の集大成でもありました。82年の正月映画では『レイダース 失われた聖櫃』(81)とともに話題になったもので、僕も今は亡き大阪は道頓堀にあった、「浪花座」で観たのをおぼえています。

さて、アイデアに貧窮しているといわれるハリウッドにおいて、過去の作品のリメイク版が多いことに苦言を呈する方も多いにも関わらず、量産されてしまうのはなんとも歯痒く思うものでもありますが、その反面、どんな仕上がりになっているのだろうという素直な興味も個人的にはなくはない。
今回の『タイタンの戦い』のリメイク版についても、同じ思いであって、なおかつ、監督したルイ・レテリエ自身がオリジナル版のファン(オリジナル版に登場した「ブーボ」を意外な形で登場させています。今回は、それ以外での出番なし!)でもあるというのを知って、ある種の安心感と期待感を抱いたわけで・・・。


ギリシャ神話をベースに、勇者ペルセウスとアンドロメダ姫とのロマンスを主軸として、アンドロメダ姫が怪物クラーケンの餌食になるのを、それを見た者は石と化すという蛇女メデューサの首でもって倒そうとするペルセウス。
そして、それを求めて旅をする彼の冒険譚の末、見事クラーケンを倒してハッピーエンドという、ファンタジー・アドベンチャーの古典ともいうストーリー。

今回のリメイク版も、おおまかなストーリーはオリジナルとほぼ同じ。

それでも、初めて予告編を観た際の、丸刈り&Tシャツ(というんだろうか?)姿のペルセウスにはかなり違和感を抱いたもので、
「おいおい、大丈夫なのか・・・」
と一抹の不安も・・・。

ただ、今回の作品では、ゼウスとペルセウスとの親子関係であったり、ゼウスとハデスとの兄弟の確執といったドメスティックな部分が強調されているといころが、オリジナル版との大きな相違でありまして。
おそらくは、先ほど公開された『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』でも、同様のテーマが掲げられていたので、本作もそうすることによって観客へのアピールとしたんだろうとは思いますが、このあたり、オリジナル版ではほとんど描かれてなかったので、なんていうんでしょうか、重厚なイメージはこれはこれで有りだなぁと。

タイタンノタタカイ3
ただ、多少は重苦しい映画になるとはいえ、そのあたりのドラマ部分をもっと多く盛り込んでくれたほうが・・・という個人的な思いに反して、映画は最新のSFXでもってサクサクサクサクと進んで行って、あっというまにジ・エンド。

う~~~~~ん、せっかくいいものを持っているのに、勿体ないなぁ・・・。
というのが本作の素直な感想でありました。


SFXはかなり見せる仕上がりになっていて、オリジナルよりも美人のメデューサであったり、凶暴なクラーケン、大サソリといったスペクタル感はけっこうなもので、どちらに比重をかけるかでSFXのほうにしてしまいました、っていう作り手の考えも判らなくもないのですけど・・・。
おそらくは、最初はそのあたりも深く描かれていたものの、公開する際にカットされたのではないかと((はなっから、無かったりして・・・)。

タイタンノタタカイ2
ペルセウスを演じるサム・ワーシントンは、『アバター』に続いてのジャンル・ムービーの主役に抜擢ということで、昨年の『ターミネーター4』や近く撮影が始まるというアラン・クォーターメインのSF版(なんだそりゃ?)といった、この手の作品御用達の俳優になっちゃいました。
そのうち、イメージが固定されるのがイヤって言い出して方向転換するのは時間の問題でありましょう(笑)

あ、オリジナルとの相違でいえば、ヒロインの扱い方。
てっきりアンドロメダ姫(アレクサ・ダヴァロス)がヒロインかと思いきや完全に脇役(生贄役?)。
本作のヒロインはイオ(ジェマ・アタートン)なるキャラクターで、ギリシャ神話に詳しいうちの弟に言わせれば、

「ぜんぜん違う(ギリシャ神話と)キャラクターになってる!」

とブツブツ言っておりましたですよ。

ギリシャ神話に詳しくない(笑)僕にしてみれば、永遠の命ゆえに愛する者を死を看取らねばならないというキャラクター設定は、これはこれでいいんじゃないですか、とは思ったものの、先にも書いたように本作には人間ドラマの要素が希薄なので、これも勿体ない設定でありました。
演じるジェマ・アタートンは、『007 慰めの報酬』(08)にも出ていたし、『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』でもヒロインを演じるということで、なんだかサム・ワーシントンと同じ路線を歩んでおりますなぁ。


タイタンノタタカイ1
キャスティングでいえば、ゼウスを演じるリーアム・ニーソンにハデスを演じるレイフ・ファインズも、なんだか最近同じような映画ばっかり出ているなぁという印象があって、名優を起用!! とコマーシャル的にはいいんだろうけど、なんだか安請け合い(ギャラがいいんだろうなぁ)みたいな感じがしましたねぇ・・・。


意外と良かったのは、メデューサ退治に出かけるペルセウスに同行する兵士ドラコを演じたマッツ・ミケルセン。
神の子であるペルセウスに対して、妬みと反発からなにかと衝突するドラコ。
しかし、物語が進むにつれて次第に協力しあっていくという設定はオーソドックスながら、清々しい印象があります。
ヒゲ面なものですから演じている俳優に気づかなかったんですが、クレジットを観て、

「あ、『007 カジノ・ロワイヤル』(06)で、ダニエル・クレイグのキ●玉を責めたあの人か!」

と(笑)

タイタンノタタカイ4
オリジナル版のホームメイド感をベストと考える方には、本作はダシの薄いうどんのような印象しかないでしょうが、意外と美味いインスタント・ラーメンを喰ったなぁ、というような映画といえば判りやすいでしょうかね。
あと、本作は最近の流れに則って、3D版での上映もあります。

ただ、今回は最初から3Dで撮影されたのではなく、2Dで撮影したものを後で3Dに変換したということで、立体感も違和感があるということ。

僕自身は2D版で観ましたが、あらためて3Dで見直す必要もないなぁ・・・と。


最後に、音楽について。

本作は、もともとはレテリエ監督の前作である『インクレディブル・ハルク』(08)クレイグ・アームストロングがスコアを担当する予定(実際に作曲は進められていた)だったのが、土壇場になってラミン・ジャワディに変更となった経緯があります。
公開された作品には一部、アームストロングが作曲したスコアも流れていたり(僕にはよくわからなかったけど)、アームストロングつながりでマッシヴ・アタックのメンバーであるニール・ダヴィッジが楽曲を提供していたり(たしか本編では流れてなかったと思う)と、紆余曲折の挙げ句、ジャワディに落ち着いたということ。

ジャワディのスコアは、それなりにスケール感もあって聴かせる仕上がりになってはいるものの、ハンス・ヅィマー率いる作曲家集団「リモート・コントロール」の一員でもありまして、いくら先入観抜きで聴こうとしてもどうしてもヅィマー節に聴こえてしまうのは正直なところ複雑ではあります。

(MOVIX橿原にて鑑賞)

【採点:100点中50点】


※81年版のDVD。
CGに慣れた向きには物足りないかもしれませんが、モデル・アニメーションの醍醐味をご賞味あれ。
それにしても、ハリー・ハムリンにジュディ・バウカーって、いまどうしてらっしゃるんでしょう?



※81年版のブルーレイですが、レビューを読むと、あまり評価よくない(作品自体じゃなく、ブルーレイ仕様が)みたいですね。


※ラミン・ジャワディによる本作のサントラ。
レビューに書いたように、紆余曲折を物語るという意味では興味深いんですけど、ジャワディとダヴィッジによる楽曲とか、「どこで流れたんですか?」みたいなナンバーも収録されているまとまりの悪い一枚。



※81年版のサントラCD。
作曲したのは、最近とんと新作の話を聞かないローレンス・ローゼンタール。
彼の集大成ともいえる、スケール感たっぷりの名盤。演奏はローゼンタール指揮によるロンドン交響楽団。
随分前にインディーズ・レーベルからリリースされたものですが、まだ、ネットで買えるんですね(けっこう高価になってますけど)。






コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://binsan67.jp/tb.php/108-ddb73de0