■『シャッター アイランド』■(映画) 


シャッターアイランド
四方を海に囲まれた絶海の孤島。
ゆえに「シャッター アイランド」と呼ばれているその島には、精神障害犯罪者を収容する施設がありまして、ある日、そこから一人の女性患者が忽然と姿を消してしまいます。
やってきました、連邦捜査官テディ(レオナルド・ディカプリオ)。
彼は失踪した女性患者を見つけることができるのでしょうか?

簡単にいやぁそういうお話。
とにかく煽ってくれますねぇこの映画。

本編が始まる前には、有名な目の錯覚を起こすクイズみたいなのが提示されまして、
「騙される楽しみを味わってください」
みたいなコメントとともに、
「この映画の結末は誰にも言わないでください」
と、お決まりの注意書きが・・・。

でも、そんなことなどお構いなしに、早速ネットではネタバレの嵐(あ、ここではネタバレしてませんので)でございますので、ネットをくりくりクリックされている方は厳重に注意されたし。

とはいえ、映画のほうもご親切にも出演者の言動や行動、視線などに注意を、という本作の楽しみ方をわざわざ教えてくださってますし、「超日本語吹替版」なる上映方式も導入(これについては後述)するなど、いたれりつくせりでございますよ。


僕自身、こういった作品は『パーフェクト・ゲッタウェイ』の際にも書いたように、できるならば気持ちよく騙してほしいというスタンスなので、映画を発信するほうもあ~だ、こ~だと言わなくたって、あ、これって凄い映画かも・・・ってのは本編が始まって数分すりゃわかろうってもの。

実際、現代音楽の巨匠クシシュトフ・ペンデレッキによる、既成曲とは思えないくらい本作にピッタリ過ぎる「交響曲第3番 パサカリア アレグロ・モデラート」が重厚に鳴り響く冒頭のシークエンスで、

「おぉぉぉ、これってスゴいんじゃないの~~~~!!」

と、ある種の期待感を抱いてしまったのですが・・・。

シャッターアイランド3
デニス・ルヘインによる原作を、マーティン・スコシーシがここんとこずっとコラボを組んでいるディカプーを主役に据えてお送りするミステリー大作。

なにがミステリーって、本来は昨年10月に公開されるはずだったのが、半年も延期になってしまったことのほうがずっとミステリーですがな(笑)

昨年の10月といえば、ディカプーがプロデュースした、これまたミステリー映画『エスター』が公開されたので、それとかぶるのを避けたのかなぁ、なんて思っておりましたら、単にディカプーのスケジュールの都合で本作のプロモーションが出来ない(そのスケジュールの都合ってのが、本作の日本公開時に予告編が流れ、いみじくも「よぅ似た映画で、どっちがどっちやわからんなぁ~~~」と隣に座っていた河内のおっちゃんが言い放った、クリストファー・ノーランの新作『インセプション』の撮影だったというのがなんとも・・・)というのがその理由だったそうな。

で、ようやくスケジュールも整って、ディカプー、日本にもやってきてせっせとプロモーションやってらっしゃいましたよね。


その半年の公開の遅れが、配給会社にもかなりの余裕を持たせることになったのは想像に難くなく、先にも書いた「超日本語吹替版」だの、目の錯覚クイズだの、宣伝に力を入れることができまして、先にも書いたように、ちょっとやりすぎじゃございませんか、ってなプロモーション展開は正直騒がしい。

ま、そのかいあってか、興行成績もいい結果がでているようで、ま、なんというんでしょうか、謎を解いてやろうじゃないの、映画の挑戦受けて立とうじゃないの、というある種のアトラクション的な楽しみを本作に求める観客が多いということなんでしょうね。


と、取り留めのないことをダラダラと書いておりますが、先にも書いたように僕も気持ちよく騙してね、と思ってたんですが、いけないのは本作のテーマ。

●●●●が舞台という時点で、結末はなんでもありなんですよ。
●●オチだったとか、●●だったとか、●●●●だったとか、おおよそどんでん返しと呼ばれるもののほとんどが起きてもまったく不思議じゃない。

だから、それを超越するような結末を投げかけてくれるんじゃないか、●●●●が舞台というのもひっかけなんじゃないか、とウキウキしながら観ていたんですけど・・・。


・・・それ以上は言いますまい。

ま、ここで書けるのは、ペンデレッキの音楽がガ~~~~~ン!! と流れている際の、登場人物の行動に注目してくださいな(開巻後、ほんの数分経った時点でのシーンですけど)。


シャッターアイランド2
ただね、それじゃつまらなかったか、というと、決してそうではなく、スコシーシの演出とディカプーの演技は、ケレン味たっぷりで見応えありますし、ベン・キングズレーマックス・フォン・シドーといった名優の演技もありますので、2時間強の間あれこれ考えずに(ってのも無理な話ですが)映画に身を委ねていただきとうございます。


さて、先ほど書いた「超日本語吹替版」。
本作は、登場人物の一挙手一投足に注意して観ていただきたい、ってなことで、配給会社も吹替版を推奨してらっしゃる。
しかも普通の吹替版じゃなく「超」がついてますよ、「超」が。

なんだよ、「超」って・・・。


公式HPによりますと、

「俳優と声優の声のイメージが違いすぎる」
「オリジナル言語の意味が伝わっていない気がする」
「違和感のある翻訳」
「不自然な日本語」


というオーディエンスの意見を取り入れて、それらを解消し、じっくり画面を観ていただきましょうというのがその「超日本語吹替版」なんだそうな。

おいおいおいおい、そんな不満を生み出したのは他でもない、日本の配給会社でしょ?
今回のパラマウント映画さんも、心当たりあるでしょ?

いまさら何言うとんねん!
ミステリー映画やなくても、吹替版っちゅうのは、そういうもんやないのかいっ!!

プロの声優の存在を無視して、話題づくりのためだけに、わけのわからんタレントを担ぎ出してきておきながら、なにが「超」やねん!!
と、映画そのもの以外のところで、無性に腹が立ちましたですよ。

あ、この映画、別に「超日本語吹替版」じゃなくたって、十分謎は解けますので。
なんてことを書くと、せっかくプロの声優を起用しての吹替版自体を否定することになるので、要はお好きなのをチョイスしてくだされ。

でも、「超」の冠は要らん。「日本語吹替版」だけでよろしい。

(MOVIX八尾にて鑑賞)

【採点:100点中60点】


※本作のサントラ。
スコシーシ作品の音楽って、オリジナル・スコアを起用する場合と既成曲を使用する2パターンがあります。
今回は後者。レビューで書いた現代音楽やヒーリング・ミュージックを中心の構成された2枚組(1曲の演奏時間が長いものが多いので)仕様。
やっぱり、本作ではペンデレッキにとどめを刺す!!



※デニス・ルヘインによる原作本。
デニス・ルヘインって、イーストウッドの『ミスティック・リバー』を書いた方ですよね。






コメント

あのね・・・。

>なんとかプリンターさん
書き込んでいただくのは嬉しいんですけど、こちらのレビューに対するものじゃなく、単におたくの宣伝のためにコメント残すのはちょっと・・・。

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