ビンさんの銀幕音楽堂・第703回(2015年7月25日放送分) 



【放送日:2015年7月25日 PM9:00オンエア】

・ニューシネマ・サウンド

『インサインド・ヘッド』ostより「ザ・ジョイ・オブ・クレジッツ」(co:マイケル・ジアッキーノ)


・シネマニアック・アワー:『タイタニック』

『タイタニック』ostより「ネヴァー・アン・アブソルーション」(co:ジェームズ・ホーナー)
『タイタニック』ostより「出港」(co:ジェームズ・ホーナー)
『タイタニック』ostより「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン ~タイタニック・愛のテーマ~」(vo:セリーヌ・ディオン)


・銀幕音楽堂メールボックス

番組にいただいた、メール、FAXを紹介。

以上のラインナップでお送りいたします。



奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再放送です)

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。



《裏ばなし》

あいかわらず、放送終了後のアップで、どうも申し訳ありません。
可聴地域が限定されているとはいえ、奈良の田舎でこういう番組もやってますよ・・・という情報発信のためにも、番組アップは欠かしちゃならない! とは思いつつ・・・。

本業で疲れて帰宅すると、なかなかPCに向かえないなぁ・・・というのが現状でありまして。
もっとスタミナつけなきゃいけませんね。

さて、夏休みに突入し、映画館は親子連れでごった返しております。

今年のサマーシーズンは、例年以上に話題作が目白押し!
特に親子で観てほしいなぁ…と思うのが、王道、ディズニーの最新作『インサイド・ヘッド』。
これを観ることで、親子の絆が深まること請け合いです。
ほんと、ディズニーは上手いよなぁ・・・と今回も思わずうなってしまいました。

まぁ、個人的には併映の『南の島のラブソング』の方に、心を鷲掴みにされてしまったのですけれど・・・。
それはなぜかは、実際に劇場でご覧ください(笑)

さて、先月急逝したジェームズ・ホーナーの追悼特集も、今回またやります。
で、彼のもっともポピュラーな作品であろう、『タイタニック』を、「シネマニアック・アワー」のコーナーで。

とはいえ、映画の裏側をマニアックに話そうとか、そういうのではなくて、公開当時、僕が劇場に行って感じたことなど、そのあたりのことを中心に喋っております。

思い起こせばあの日、朝から今は無き梅田東映パラスで『メン・イン・ブラック』を観て、続いて北野劇場(現:TOHOシネマズ梅田)で『タイタニック』を観、さらに今は無きシネ・ヌーヴォ梅田で開催された、セルジオ・スティバレッティ監督による『肉の蝋人形』を含む、ホラー映画オールナイト上映を観たという、一日で計5本鑑賞の荒業をやってのけたものでありました。

いまじゃ、一日3本鑑賞が限度。
まして、オールナイトなんてとてもとても・・・。

それを考えると、僕も若かったんだなぁ・・・なんて思います。
今でも若いんですけどね(笑)


あ、そうそう、番組では放送700回を迎えての、「恒例!700回記念クイズ」を展開中!

僕が所有している、日本で公開された洋画のサントラCDの700枚目は、何でしょう? というのが問題。

1.『史上最大の作戦』
2.『侍女の物語』
3.『7月4日に生まれて』
4.『十戒』

さて、上の4つのうちどれ?

ってなことをやってます。
もし、これをお読みの方で、参加してやろうという方は、上のFMハイホーのHPから、番組宛へ回答を添えたメッセージをお送りください。

正解者の中から抽選で、「なにか」差し上げます(笑)

ちなみに、600回の時は僕のサイン入りポートレイトでございました(笑)×2!!



インサイドヘッド
『インサイド・ヘッド』のサントラ。
スコア担当はマイケル・ジアッキーノ。

ティーンエイジャーのヒロインの頭の中をつかさどる、5つの感情をそれぞれ擬人化して描く、異色ファンタジー。
先に日本でも『脳内ポイズンベリー』という、ネタがかぶった作品が公開され、あの作品もけっこう楽しんだわけたが、こちらのほうがかなり練られた内容になっているし、決定的に違う部分もあるわけで。
詳しくは未見の方の興味を削ぐので触れないが、個人的にはそこんところに大きな魅力を感じた。

とにかく、ともすれば哲学的な仕上がりになろうところを、辛うじてファンタジーの世界でくくっているところはさすがディズニーである。

無論、ファンタジーという意味では、ハートウォーミングなスコアを書いた、売れっ子ジアッキーノの功績も大きい。
とにかく、ヒロイン、ライリーのために描かれたメロディは、思わず口笛で吹いてしまいそうなほどキャッチーだ。
かねてからジアッキーノはいいスコアを書く作曲家だが、本作でさらに円熟味が増したように感じる。

さらに、8分を超えるエンドクレジットでは主旋律もさることながら、途中でジャズ風なアレンジも施され、長時間演奏を一気に聴かせてくれる。
先の『トゥモロー・ランド』といい、ディスニー作品が続くジアッキーノだが、彼の作風が発揮できる場をいうことを考えれば、これもアリなのかもしれない。

さて、本作で最も懸念していたのが、ドリカムによる「日本公開版主題歌」。
おそらくは、ジアッキーノのスコアが流れるエンドクレジットあたりに無理矢理おっかぶせてくるんだろう・・・と懸念していた。
そうなると、文句の一つでも吠えなければならないな・・・と思っていたが杞憂に終わってほっとした。

エンドクレジットにかからない、というか、映画本編にもかからない(笑)
いったいどういうことなのかは、実際に本編を観て確認していただきたい。

日本公開版主題歌という企画自体はプロモーションのひとつして、どうこう言わないけれど(かつても、「タイタニック・フォーエバー」や「ミステリー・ナイル」、「サンセット・キッス」なんて名曲あったし)、オリジナル作品を邪魔する(さらにいえば穢す)ような使い方は止めてもらいたい。
そういう意味では今回のディズニーの采配には、大いに評価すべきところである。
なので、シネマ・スコアファンは心置きなくジアッキーノのスコアを堪能できるので、ご安心あれ。

国内盤サントラCDにはジアッキーノのスコアとともに、そのドリカムの日本公開版主題歌も収録((もちろん本国盤には未収録)。
さらに、併映の『南の島のラブソング』のソング・ナンバーも、英語版、日本語版、ともに収録されているお徳用な一枚となっている。
ダウンロード版はなぜかジアッキーノのスコアは配信されておらず、ドリカムの主題歌、『南の島のラブソング』のソングナンバーのみ配信されている。


【amazon】※国内盤
【amazon】※輸入盤

【amazon MP-3】※ドリカムが唄う主題歌
【amazon MP-3】※『南の島のラブソング』英語版
【amazon MP-3】『南の島のラブソング』日本語版

【タワーレコード】※国内盤
【タワーレコード】※輸入盤

【iTunes】※ドリカムが唄う主題歌
【iTunes】※『南の島のラブソング』英語版
【iTunes】※『南の島のラブソング』日本語版




タイタニック
『タイタニック』(97)のサントラ。
スコア担当はジェームズ・ホーナー。

豪華客船タイタニック号の悲劇を、史実とフィクションを織り交ぜて描いた、いまさ説明するまでもない大ヒット映画。
監督はジェームズ・キャメロン。

アカデミー賞において、作曲賞・主題歌賞とダブルでオスカーを獲得。
件のホーナーの訃報記事でも、『タイタニック』の名前を挙げていない記事はなかったくらい、ホーナーの紛れもない代表作である。

スコアの隠し味として、ケルト音楽を忍ばせているところがスコアに厚みと奥行を持たせている。
映画をご覧になればお判りのように、タイタニック号には上流階級の乗客もいれば、イギリス、アイルランドから新天地アメリカを夢見て乗船している貧しい人々も多かったのである。

ケルト音楽を忍ばせた意図ととして、ホーナーがどのように考えていたのか資料がないのでわからないし、悲劇に遭ったのは貧しい人々だけではなかったわけで、そうなれば追悼という意味でのケルト音楽、と考えると少なからず違和感を抱いてしまう。

考えるに、処女航海に出発したタイタニック号は、まぎれもなくイギリスで製造された船であり、そこに乗船する人々は貧富の差を超えて、新時代へ向けて華々しく出港したのだった。
が、不慮の事故で多くの希望が儚くも海の藻屑と消えてしまったのである。
しかし、映画で描かれるヒロイン、ローズのように事故からの生還者もいたわけで、映画をご覧になればお判りのように、彼女はいわゆる古風な女性ではない。
つまり、タイタニックは沈没したが、そこに乗船していた魂は、新時代を築く礎となったのである。
その象徴がヒロイン、ローズなのだ。

ここでいう新時代とは世界で最も先進国であるアメリカである。
そのアメリカを作った礎とは・・・それを考えると、本作のスコアの根底にケルト音楽が流れている意味も見えてくるのではないだろうか。

話は逸れたが、ホーナーの書くスコアは、ノルウェーのシンガー、シセルのクリスタル・ボイスを伴って、じつにドラマティックである。
タイタニック号遭難の場面では、パーカッシヴなスコアを炸裂して、ホーナーの集大成ともいえる仕上がりになっている。

ただ、ホーナーの悪い癖も露呈しているのも否めない。
判りやすいところでは、「出港」と名付けられた、タイタニック号が海原を進む疾走感あふれる、本作を代表するスコアの一つだが、エンヤの「ブック・オブ・デイズ」に酷似しているのは多くが指摘するところだ。
おそらくは、キャメロン監督がテンプ・トラックとして提示していたのだろうが、あまりにもあからさま過ぎて、思わず笑ってしまう。
まぁ、そこがホーナーの人間臭いところだったのかもしれない。

いずれにせよ、セリーヌ・ディオンが唄う、「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」の一節を聴くだけで、これが『タイタニック』の主題歌だ、と判るくらいの旋律を書いたということひとつとっても、ホーナーの功績は大きいと思う。

近年、シネマ・スコア・ファン以外で、音楽を聴くだけでそれが何の映画なのか言い当てるくらい、メロディの立つスコアがあっただろうか。
おそらく、『タイタニック』以降、出現していないのではないだろうか。


【amazon】※国内盤
【amazon MP-3】※完全版

【タワーレコード】