ビンさんの銀幕音楽堂・第699回(2015年6月27日放送分) 



【放送日:2015年6月27日 PM9:00オンエア】

・銀幕アラカルト:公開記念!マッドマックス特集!

『マッドマックス』ostより「Main Title」(co:ブライアン・メイ)
『マッドマックス2』ostより「Main Title」(co:ブライアン・メイ)
『マッドマックス/サンダードーム』ostより「The Big Chase!」(co:モーリス・ジャール)

・ニューシネマ・サウンド

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ostより「ブラザーズ・イン・アームズ」(co:トム・ホーケンバーグakaジャンキーXL)

・銀幕音楽堂メールボックス

番組にいただいた、メール・FAXを紹介。

放送700回記念クイズのお知らせ

以上のラインナップでお送りいたします。



奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再送です)

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。



《裏ばなし》

あいかわらず、体の不調は続いたままですが、そんなことは言ってられない!
来週は放送700回だし、ここは踏ん張らなきゃ! と思ったのもつかの間、また大打撃なニュースが飛び込んでまいりました。

すでにニュース等でお聞き及びかと思いますが、ジェームズ・ホーナーが亡くなりました。
自身の操縦する飛行機が墜落しての事故死とのことです。

次回の番組は、放送700回ということで、いろいろ「お気楽」な企画をか考えていましたが、すべて取りやめ。
1時間、ホーナーの追悼番組にする予定です。

さて、今週の放送内容ですが、先週末から公開が始まった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に因んで、『マッドマックス』の特集をお送りします。
考えてみれば、当番組で『マッドマックス』って一度も取り上げてなかったなぁ(串田アキラが歌う、日本公開版主題歌は随分前にお送りしたことはありましたけどね)と、自分自身でも驚いていますが、そういう意味では今回の特集はいい機会ですね。

そして、最新作のトム・ホーケンバーグことジャンキーXLによるスコアも取り上げます。

とにかく、理屈抜きに面白く楽しめた『~怒りのデス・ロード』は、いまイチオシの映画ですので、ぜひ劇場の大スクリーンでその興奮と衝撃を堪能していただきたい作品です。

ホーナーの訃報がなければ、もっと気持ちが晴れるのに・・・。



マッドマックス
『マッドマックス』(79)のサントラ。
スコア担当はブライアン・メイ。

それまであまり日本では公開されなかったと思うオーストラリア映画。
しかも、壮絶なカー・アクションとそのバイオレンスな内容に、日本を含め世界中の映画ファンの度肝を抜いたのがこの映画。
オーストラリアにジョージ・ミラーあり、そして、メル・ギブソンあり、と知らしめた記念碑的作品でもある。

スコアを担当したブライアン・メイは、イギリスのロック・バンド、クイーンのギタリストとは同姓同名のまったくの別人。
あのブライアン・メイが『マッドマックス』の音楽を? なんて、いまだにヤ○ー知恵袋あたりで質問をされているのを見かけるが、クイーンも『フラッシュ・ゴードン』(80)の音楽を手掛けたこともあるので、混同してしまうのも無理もない(笑)

作曲家のブライアン・メイはオーストラリアの映画・TV界で活躍していた方。
イタリア公開時にゴブリンの音楽に差し替えられてしまったホラー映画の『パトリック』(77)あたりから、彼の名前を見知っていたけれど、個人的には『マッドマックス』と『エルム街の悪夢/ザ・ファイナルナイトメア』(91)のスコアくらいしか印象がない。
『マッドマックス』シリーズでは続く2作目も、パイロン・ケネディPとジョージ・ミラーが彼のスコアを気に入っていたので続投しているが、3作目では製作体制自体が大きく替わったので、残念ながらスコア担当から外されてしまった。

自身は97年に心臓発作により急死されている。
そういうことからも、全世界に知れ渡った作品に関わった作曲家だったとはいえ、結果的にはあまりいい仕事に恵まれなかった印象がある。

『マッドマックス』のスコアは、近未来の世界(とはいえ、本編を観れば公開当時と大きく変わらないけれど)が舞台とはいえ、いわゆるシンセサイザーのような機械的な音は一切排し、あくまでアコースティックなサウンドでスコアを構築しているところがまず印象深い。

ブラスとパーカッションを中心としたバーバリズムあふれるスコアは、一部大袈裟じゃないか(単に警察署が映し出される場面でも、こういうスコアが鳴り響く)と思えるぐらい徹底していて、それがかえって心地よい。
そして、それが主人公マックスとトッカッター一味との壮絶なカー・アクションを盛り上げる盛り上げる。

それでいて、マックスと愛妻との幸せな日々を描く場面では、逆にストリングスを中心とした実に美しいクラシカルな旋律を聴かせてくれる。

ブライアン・メイという作曲家の魅力を味わうテキストとしては、これほど適したものはないのではないだろうか。

サントラCDは93年に米VARESE SARABANDEよりリリースされたが、現在は廃盤。
よって、amazonではかなり高額で取引されている。


【amazon】



マッドマックス2
『マッドマックス2』(81)のサントラ。
スコア担当はブライアン・メイ。

前作のヒットを受け、10倍もの費用をかけて作られた第2弾。
パイロン・ケネディP、監督ジョージ・ミラー、主演メル・ギブソンもそのまま。

さらに舞台は時代が進み、愛車インターセブターを駆って荒野を彷徨うマックス。
その前に立ちはだかる、凶悪な暴走族集団。

ここで描かれる、文明が滅んだデストピアの姿と、マックス、そして暴走族集団のビジュアルは、その後の他の作品にも多大な影響を与え、一番有名なところでは日本の『北斗の拳』がそれ。
この『マッドマックス2』がなければ、『北斗の拳』も生まれなかったことだろう。

世界へのセールスは続編という売りよりも、「THE ROAD WARRIOR」という新作扱いでもあったので、ビデオやサントラにもこちらのタイトルが掲げられることとなった。

さて、前作からの連続登板のブライアン・メイのスコアだが、予算がアップされた影響なのか、音楽のほうもどこかスケール・アップした感がある。
ブラスとパーカッションによるクラシカルなスタイルはそのままに、よりバーバリズムも強くなっており、前作で聴かれたようなリリカルな旋律はかなり省かれたものになっている。

無論、それが劇中で展開される壮絶なカー・アクションに、視覚・聴覚の両面から多大な効果を与えているのはいうまでもない。

サントラは日本公開当時、日本版LPレコードもリリースされていた。
CDとしては88年に米VARESE SARABANDEよりリリースされたが、現在は廃盤。
amazonでも扱っているがやはり値段は高め。
ただし、1作目よりも安くなっているのはなぜなんだろう?(笑)


【amazon】



マッドマックスサンダードーム
『マッドマックス/サンダードーム』(85)のサントラ。
スコア担当はモーリス・ジャール。

前2作のヒットに続き、さらに予算アップで製作された第3弾。
しかし、撮影途中にパイロン・ケネディPが事故死し、それにショックを受けたジョージ・ミラーが演出に身が入らないため数名の人物が共同監督として名前を連ねている。
それまでオーストラリア資本だった製作体制も、ワーナーブラザーズ製作ということでかなり前2作とは様相の変わった内容となり、それまでのファンには大きな動揺を与えた珍作。

そもそも、前2作にあったバイオレンス度は、かなり薄めらており、物語に子供を絡めるあたり(2作目にも子供が登場していたが、扱いがまったく違う)、観客の年齢層をかなり下げたものにしたのは、これもワーナーの方針だったのだろう。

さらに輪をかけて、ティナ・ターナーを起用したところが大問題だったのではないだろうか。
それまでケン・ラッセルの『トミー』に出演した程度だった彼女を、そのネームバリューをセールスに結びつけたことで、『マッドマックス』が『マッドマックス』でなくなったといえる。

なんせ、トッカッターやヒューマンガスといった凶悪なキャラが壮絶な最期を迎えることで観客の溜飲を下げた前2作に対し、ティナ・ターナーの場合は、敵役なのに最後は「マックス、あんたええ男やねぇ」と言って去っていくところに、スタッフがいかに彼女を腫れ物に触るような扱いをしていたかが伺い知れる(笑)
カー・アクションなんて最後の十数分しかないのも、なおさら違和感を強めるものだった。

はなっから、別物として観れば、デストピアに生き抜こうとする子供たちと、それを手助けするヒーローを描いた冒険譚としてそこそこ楽しめるんだろうが、『マッドマックス』の看板を背負っている限りは、そういうわけにはいかない。

ただ、この3作目で唯一評価すべき点といえば、モーリス・ジャールのスコアだろう。
製作体制が替わり、スコアもネーム・バリューのある人物を、ということで、あっさりブライアン・メイは降板させられてしまった。
あれだけ、『マッドマックス』の世界観を構築した縁の下の力持ちであったのにかかわらずだ。

そこで起用されたのは、当時、今でいうところのハンス・ヅィマーのように映画音楽界でブイブイ言わせていたジョルジオ・モロダーだった。
おそらくは、ティナ・ターナーのナンバーをプロデュースしたこともあったので、2人合せての起用だったのだろう。
だが、明らかにモロダーの音楽は、それまでの『マッドマックス』のスコアにはそぐわない。
結果、モロダーのスケジュールの都合がつかなくなって、彼の起用は白紙となった。

その代わりに起用されたのが、大御所モーリス・ジャールだった。

本作の前にデイヴィッド・リーン監督とのコラボ4作目にして3度目のオスカー受賞となった『インドへの道』(84)を手掛けており、さらには本作を含め『第5惑星』(85)のようなSF活劇のスコアを担当するなど精力的な活動をしていたが、息子のジャン・ミシェル・ジャールの影響もあってか、『刑事ジョン・ブック 目撃者』(85)あたりからシンセサイザーを多用しての曲作りが目立っていた時期でもある。

そのちょうど過渡期にあたる頃で、ひょっとしたら『~サンダードーム』のスコアも、シンセサイザーによるものになっていた可能性もある(その前にモロダーが起用されていたとあっては、なおさらのことだろう)。
しかし、本作では見事にジャールお得意のパーカションが炸裂する豪快なスコアになっていたのは嬉しかった。

おそらくはジャール自身、ブライアン・メイが書いたスコアも参考にはしていたと思う。
しかし、そこは大御所のジャールである。
彼なりのプライドもあったことだろう。

結果、『~サンダードーム』のスコアはジャールらしさが全体に感じられる好スコアになっていたのである。
ファンファーレを伴うマックスのテーマや、一節を聴くだけでジャールのスコアだと判る、子供たちにつけられたテーマ曲、パーカションが鳴り響くバータータウンのテーマなど、ジャール指揮、ロイヤル・フィルの演奏で映画を盛り立てていく。
特に圧巻なのは、クライマックス、11分におよびカー・アクション・シーンに流れる「The Big Chase」というスコアだ。
『アラビアのロレンス』(62)や『砂漠のライオン』(81)を想起させるパーカッシヴなこのスコアは、これぞモーリス・ジャール! ともいうべき彼の真骨頂を堪能できる。

公開当時は、ティナ・ターナーが歌う主題歌や挿入歌と、ジャールのスコアは3曲程度が収録されたサントラがリリースされ、スコア・ファン、ジャール・ファンには不満の残るものだった。
その後、ジャールの作品を再演奏盤を含め積極的にリリースしている、英Tadlow Musicより、2010年にスコア完全盤CDが2枚組3000枚限定でリリースされたのはファンにとってビッグ・ニュースだった。
(ダウンロードでもリリース中)

逆にレーベルの関係からか、ティナ・ターナーのソングナンバーは一切収録していない、ということがなんだか可笑しかったけれど。


【amazon】
【amazon MP-3】

【タワーレコード】





マッドマックスイカリノデスロード
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のサントラ。
スコア担当はトム・ホーケンバーグ、またの名をジャンキーXL。

『~サンダードーム』より30年ぶりの第4弾。
監督はまったくその演出に衰えが見えないばかりか、さらにパワーアップしてるんじゃないか、と思うジョージ・ミラー。
主演のマックス役はメル・ギブソンからトム・ハーディーにバトンタッチ。

当初はメル・ギブソン起用の話もあったようだが、彼自身いろいろ問題を起こして(無免許運転やら恋人へのDVやら、なんやらかんやら)しまったこともあって、トム・ハーディーとなった。
それはそれで正解だったと思う。

とはいえ、1作目の宿敵トッカッターを演じたヒュー・キース・バーンを今回の宿敵イモータン・ジョーに起用する(まぁ、ほとんど素顔は見えないけどね)ところなどは、ミラーからのこれまでのファンへのサービス精神の表れのように思う。

さて肝心のスコアだが、最近の流れからハンス・ヅィマー一派の誰かになるんだろうなぁ、でも、過去のシリーズのようにクラシカルな味わいを持つ、それでいてバーバリズムあふれるスコアを書ける人物となれば、ブライアン・タイラーあたりになるのかなぁ、いやいや、原点に立ち返ってオーストラリア出身の作曲家、デヴィッド・ハーシュフェルダーあたりかなぁ、とか、いろいろと予想はしていたが、結局、トム・ホーケンバーグになったというの聴いて、ああ、なるほどね、と。

ハンス・ヅィマーと何度か仕事はしているが、彼はいわゆるリモート・コントロール(ヅィマーの弟子たちの集合体)のメンバーではなく、どちらかとえばアウトロー的な活動をしている。
クラシカル音楽の出身ではなく、インドストリアル・ロック出身のミュージシャンなので、いわゆる「今の音」を作るアーティスト。
それを考えると時代の流れには抗えなかったんだなぁ・・・という思いは残る。

ただ、ジョージ・ミラーにしてみれば、本作にはエンジンの音以外は音楽は要らない、なんて言ってたそうだ。
じゃあ、スコア担当の立場がないじゃないか、ってなものだが、たとえばホーケンバーグの『300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜』(14)のスコアを聴いていると、音楽的な主張よりも映画のリズム、テンポを促進させる仕上がりになっている。

考えてみれば、かつてのブライアン・メイのスコアだって、音楽の役割としては相通じるものがあるではないか。
よって、今回のトム・ホーケンバーグの起用は理に叶っているといえる。

ホーケンバーグのスコアは、あの壮絶な120分ほぼノンストップの本編を観ていると、いったい何処で流れていたんだろう? と思うくらい、映像に溶け込んでいる。
よくよく聴けば、ストリングスも使っているし、コーラスもフィーチャーしてスケールの大きなスコアになっている。
音楽的な主張をするのも映画音楽の役割だが、映像に溶け込んで本編を盛り上げるのもまた映画音楽の役目。

そういう意味では、たとえクラシカルな音楽畑出身の作曲家でなくとも、映像と音楽の関係について彼なりのアプローチと実力が十二分に発揮された本作は、まぎれもなく彼の代表作でもあり、エポック・メーキングになると思う。
最近の彼の活躍をみるに、今回のスコアで彼へのオファーはさらに増えるんじゃないだろうか。

面白いのは、劇中に巨大なスピーカーと、いくつものパーカッションを搭載し、盲目のギタリストがエレキギターを演奏しながら爆走するという、とんでもなく奇抜な(素敵な)改造車が登場する。
これがマックスとフェリオサを追うイモータン・ジョーの一団の中で、景気付けとばかりに轟音を立てて音楽を演奏するのだ。

無論、この音楽もホーケンバーグが作曲(サントラにも「ブラザーズ・イン・アームズ」というタイトルで収録されている)しているのだが、なんだ、ジョージ・ミラーも音楽は要らないなんて言っておきながら、こうして作曲家に華をもたせるような演出をしてるじゃないか(笑)
本編は文句なしに面白い出来に仕上がっているが、音楽の扱い方という面でも粋な扱いをしているところに、とても好感をもったのである。

サントラはCDとダウンロード、そして最近の流行なのかアナログ盤(LPレコード)でもリリースされている。
通常は17曲収録となっているが、ダウンロードでは26曲収録のデラックス・エディションとなっている。

個人的にはCDを買って、未収録のスコアをダウンロードで入手するという方法を取ったが、これも最近の流れとはいえどうもスッキリしないリリースの形式だ。


【amazon】※国内盤
【amazon】※輸入盤
【amazon】※輸入盤(LPレコード)

【amazon MP-3】※通常版
【amazon MP-3】※26曲収録デラックス・バージョン

【タワーレコード】※国内盤
【タワーレコード】※輸入盤

※通常版
※26曲収録デラックス・バージョン