ビンさんの銀幕音楽堂・第691回(2015年5月2日放送分) 



【放送日:2015年5月2日 PM9:00オンエア】

・ニューシネマ・サウンド

『シンデレラ』ostより「パンプキン・パーシュート」(co:パトリック・ドイル)
『シンデレラ』ostより「カレッジ・アンド・カインドネス」(co:パトリック・ドイル)
『シンデレラ』ostより「ストロング」(vo:ソーナ・リーレ)
『シンデレラ』ostより「夢はひそかに」(vo:リリー・ジェームズ)
『シンデレラ』ostより「ビビディ・バビディ・ブー」(vo:ヘレナ・ボナム・カーター)

『海にかかる霧』ostより「出港」(co:チョン・ジェイル)
『海にかかる霧』ostより「AM 7:37」(co:チョン・ジェイル)


・銀幕音楽堂メールボックス

番組にいただいた、メール・FAXを紹介。


以上のラインナップでお送りいたします。



奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再送です)

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。



《裏ばなし》

いよいよ、2015年のGWが始まりました。
今年もこの時期、話題作が公開されておりますが、今回はその中でも特にお薦めの2作品を取り上げてみました。

片や、ファミリー向け、片やマニア向け(笑)

『シンデレラ』はディズニーの最新作であるとか、併映で『アナ雪』の新作短編がついているとか、そういう話題ばかりがクローズアップされがちですが、映画ファンとしては俊英ケネス・ブラナーがあのおとぎ話をどのように料理したか、断然そこを興味深く観た作品でした。

そういう意味ではちょっと期待外れだったかな・・・。

ただ、ファミリー・ピクチャーとしてはご家族そろって十分楽しめる作品ですので、シェイクスピア作品で培ったブラナーの演出ぶりをとくとご覧いただきたいです。

一方、『海にかかる霧』は、韓国映画の底力を見せつけるような、パワーあふれる仕上がりで、大満足な1本でした。
あまり多くには触れませんが(正直、触れられない・・・)、このGW時期の作品では最もお薦めの逸品かと。
とはいえ、他の作品すべてを観たわけじゃないですけどね・・・(笑)

番組ではそんな話をスコアを交えてお送りしております。

ご用とお急ぎでない方は、ぜひチューニング合わせてみてくださいまし。



シンデレラ
『シンデレラ』のサントラ。
スコア担当はパトリック・ドイル。

ケネス・ブラナー監督による、あまりにも有名な童話の映画化。
ブラナー自身は原典「サンドリヨン」の忠実な映画化を希望していたようだが、結局は50年に作られたディズニー長編アニメの実写化という形となった。
そこにはディズニーからの強力な圧力があったんじゃないか、と勘繰ってしまうのは僕だけじゃないだろう。

スコアはブラナーの盟友、パトリック・ドイル。
ここ最近のブラナー作品は、文芸ものから大きく外れて、アメコミの映画化やアクション映画のプリクウェルという、それはそれで新境地を開拓しているんだろうけれど、それに伴ってドイルのスコアも打ち込み系であったり、それなりに音楽的に新たな試みを聴かせてくれるのは、作曲家としての「音」への飽くなき探求と捉えることができる。

ただ、ブラナーもそうだが、ドイルのスコアにおいても、クラシカルな響きが大きな魅力(無論、そこにコンテンポラリーな味付けをすることも忘れていないのだが)だと思う。

今回の作品は、そんなクラシカルなドイルのスコアを聴きたい向きにはピッタリな作品であり、豊かなメロディの応酬には久々に「ああ、ドイルを聴いた」という気分にさせてくれる。

まさか、あの場面を凄まじいアクション・シーンとして演出(それは何処かは実際に映画をご覧いただきたい)するブラナーと、それに応えるドイルのスペクタキュラーなスコアが素晴らしい「パンプキン・パーシュート」や、舞踏会の場面におけるダンス・ミュージックはドイルの真骨頂。

そして、ヒロイン、シンデレラの信条である「勇気と優しさ」にあふれたスコアの数々。
ドイルはまだまだ健在である。

エンドクレジットではドイル作曲、ブラナー作詩による、ソーナ・リーレが歌う「ストロング」が聴かせる。
続いて、50年のアニメから「夢はひそかに」をシンデレラ役のリリー・ジェームズが歌い、「ビビデ・バビデ・ブー」を魔女役のヘレナ・ボナム・カーターが歌うという、最後の最後まで楽しい構成となっている。

オリジナルはここまででCD1枚組。

国内盤はエンドクレジットのソング・ナンバーからディスクを分け、そこに吹替え版担当である高畑充希と城田優が「夢はひそかに」をデュエットしたバージョンが追加。
さらに、同ナンバーを高畑充希のパートのみ、城田優のパートのみの各バージョンを収録。
カラオケのデュエットネタ用とのこと。
さらに(笑)、これらのナンバーのヴォーカルなしバージョン(つまりカラオケだな)まで収録して、単独のディスクとしている。
つまり2枚組仕様となっているわけだ(そこにガラスの靴のステッカーもオマケでついているし、プラケースを収めるスリーブもPP貼り加工が施されている)。

そういったナンバーがオマケとしてついているのは「お得感」もあるというものだが、『アナ雪』のヒット以降、どうも柳の下のなんとか狙いのような気がしてならないし、これだけのバージョン違いを収録するというのも、多少過剰気味なんじゃないか、という思いもしないではない。

とにかく、お好きなほうをチョイスして楽しんでいただきたい。



【amazon】※国内盤
【amazon】※輸入盤
【amazon MP-3】

【タワーレコード】※国内盤
【タワーレコード】※輸入盤





ウミニカカルキリ
『海にかかる霧』のサントラ。
スコア担当はチョン・ジェイル。

韓国で実際にあった事件をもとに、奇才ポン・ジュノがプロデュース、初監督となるシム・ソンボが演出を担当。

6人の乗組員から構成される漁船が、不況脱却のためにとある仕事をしたからさぁ大変!
そこから始まる、まるでドミノ倒しのような負の連鎖には、不謹慎ながら爽快感を抱いてしまったほど。

決して内容は爽快とは程遠い、ドロドログチャグチャな世界が展開するわけだが・・・。

新進気鋭のチョン・ジェイルのスコアは、漁船の面々の海の上での生活を描写する、冒頭の部分に流れるスコアがとにかく絶品!!
この映画に、こんな美しいスコアを流していいんだろうか・・・というくらいの名曲である。
が物語が進むにつれ、スコアも重厚かつ無機的なものに変貌していく。

演奏プラハ・シティ・フィルが担当。
これが日本だったら、主演のひとりであるパク・ユチョンが歌うイメージ・ソング的なものを無理矢理盛り込むんだろうが、このサントラに関してはスコアで徹底しているところが好感度高し。

残念ながら、サントラはダウンロードのみの販売となっている。