ビンさんの銀幕音楽堂・第673回(2014年12月27日放送分) 







【放送日:2014年12月27日 PM9:00オンエア】

奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。

・2014年度、ビンさんが選ぶ映画ベスト10(後編)

先週は第10位~第8位までを紹介。

エスケイプフロムトゥモロー
【第7位】 『エスケイプ・フロム・トゥモロー』

7月19日公開  鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば


レビューはコチラを参照。

まず、これが日本でも劇場公開された(できた)というだけでも快挙。
なんせ、同じシネコンではロングラン・ヒット中の『アナ雪』が上映されていたのだから。

いつ、圧力がかかって上映中止になるやもしれぬ、と思い公開初日に早々に観に行ったが、なんのトラブルもなく(水面下ではあったかどうかは知らないけど)、普通に上映されて、ちょっぴり肩透かしな気分にもなったものだ(笑)

とにかく、一つの物事を、違った角度から覗いてみるという姿勢は、僕が敬愛するデイヴィッド・リンチの作風にも通じるものがあるというのは上のレビューでも書いた。
そういう映画がたまらなく好きなもので、監督したランディ・ムーアの今後の活躍に期待する意味も込めてのランク・イン。

さらに、映画の内容とはまったくかけ離れた(それがまた絶大な効果を生んでいる)、アベル・コルゼニオフスキーの大仰なスコアがたまらなかった。

♪番組内オンエア楽曲 『エスケイプ・フロム・トゥモロー』ostより「Gates of tommorow」、「Imaginate!」(co:アベル・コルゼニオフスキー)♪



セカイノハテノツウガクロ
【第6位】 『世界の果ての通学路』

4月12日公開  鑑賞映画館:MOVIX橿原 


レビューはコチラを参照。

長年当番組にチケット提供という形でバックアップしていただいた、奈良のシネマコンプレックス、MOVIX橿原さんが今年の8月末をもって閉館してしまった。

ミニ・シアター系の作品が上映される機会の少ない奈良で、積極的に良質な(中にはなんじゃこりゃ? ってなものもなくはなかったけど)作品をチョイスして上映してくださった。
そのおかげで、かつては梅田や十三あたりまで遠征しなければならなかったのを、地元で鑑賞できるという稀有な経験を幾度となくさせてもらったものだ。

本作もそう。
関西では4月にシネ・リーブル梅田で公開されていたそうだが、まったく知らなかった。
MOVIX橿原さんでは、閉館する直前、8月30日、31日の2日間だけのラスト上映として、『ラスト・ベガス』と共に公開されたのだが、この上映がなかったら見逃していただろう。

世界の4つの地域から、過酷な条件の中を長時間、毎日学校に通う子供たちの姿を捉えたドキュメンタリー映画。
しかし、まったく重く暗い作品ではなく、ここで登場する子供たちの表情は皆明るい。

それは、それぞれの子供たち自身が、勉強することでそれぞれに確固とした将来へのビジョンをしっかり持っているからだ。
その姿に感動するとともに、大人になった自分を顧みて、また明日へとつなげていくことのできる作品。

♪番組内オンエア楽曲 『世界の果ての通学路』ostより「Final」(co:ローラン・フェルレ)♪



イコライザー
【第5位】 『イコライザー』

10月25日公開  鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば


これはほんとにもう、楽しかった映画。
ほんとはクロエ・グレース・モレッツ目当てに観に行ったものだが、とんでもないお釣りをもらったような気分。

デンゼル・ワシントンが最初にアクションを起こすまで、貯めに貯め、貯めに貯め(30分くらいだったか)、ついに怒りを爆発させるという演出は、そのまま観客の苛立ちとリンクするもので、ほんとに小憎たらしい映画だぜ、まったく! と思ったものだ(笑)
適役のロシアン・マフィアの殺し屋を演じたマートン・ソーカスの存在感も絶大であった。




♪番組内オンエア楽曲 『イコライザー』ostより「孤高の男」(co:ハリー・グレッグソン=ウィリアムス)♪



ゼログラビティ
【第4位】 『ゼロ・グラビティ』

12月13日公開  鑑賞映画館:シネマサンシャイン大和郡山(IMAX 3D)


映画館で映画を観る、もとい、体験するという意味を実感した作品だった。

最新のSFXを駆使しながらも、描かれるのはパニック映画&ホラー映画(一部、それと同等を恐ろしい場面もある)の王道をいく内容であり、エンターテインメントとしての面白さにも満ち溢れた逸品だったと思う。

オスカーを手にしたスティーヴン・プライスのスコアも、この映画の世界観を表現するにあまりあるもので、サントラだけを聴いていても宇宙空間に放り出されたような気分になれる。
公開中の『フューリー』でも見事なスコアを披露しており、今後の活躍が楽しみな作曲家だ。



♪番組内オンエア楽曲 『ゼロ・グラビティ』ostより「グラビティ」(co:スティーヴン・プライス)♪



アナタヲダキシメルヒマデ
【第3位】 『あなたを抱きしめる日まで』

3月15日公開  鑑賞映画館:MOVIX橿原


今年のアカデミー賞候補作品も、何かと話題になったものだ。
その中で、個人的には『それでも夜は明ける』と本作が、その2大巨頭だったと思う。
『それでも~』も力強い作品だったが、個人的にはこちらを推す。

重いテーマを孕んだヒューマン・ドラマだが、スティーヴン・フリアーズの演出は、ジュディ・デンチとスティーブ・クーガンの好演も相まって、時に軽妙で笑いをも誘うものがあって飽きさせない。

いや、飽きさせないどころか、物語はミステリーの要素も濃厚であり、「謎解き」の面白をも持ったエンターテインメントとしても良質の一本だった。

『GODZILLA ゴジラ』のスコアも良かったが、元々はこういった作品を多く手掛けてきたアレクサンドル・デスプラのスコアも、まさに独壇場ともいえる仕上がりで魅了してくれる。

♪番組内オンエア楽曲 『あなたを抱きしめる日まで』ostより「Airport」(co:アレクサンドル・デスプラ)♪


リアリティノダンス
【第2位】 『リアリティのダンス』

7月12日公開  鑑賞映画館:シネ・リーブル梅田


アレハンドロ・ホドロフスキー、実に23年ぶりの新作。
いやぁ、彼の新作を観ることができるとは・・・。それだけで感慨深い。

いまから20年ほど前、東京で暮らしていた頃に渋谷のPARCO劇場で観た『エル・トポ』で衝撃を受け、続くユーロスペースで観た『ホーリー・マウンテン』、シネマライズ渋谷で観た『サンタ・サングレ 聖なる血』と、いずれも東京で暮らしていた頃に強烈な印象を持ったホドロフスキーの作品群。
それはそのまま、文化の発信地である渋谷という街の印象と強烈に結びついたものだ。

そんな頃に思いをはせながら、23年ぶりの新作は、やはりホドロフスキーにしか作れない独自の美学に包まれたエキセントリック、かつ、ファンタスティックなものだった。

ホドロフスキー御大にはこれを機に、また映画製作を続けて行ってほしいと切に願うものある。

♪番組内オンエア楽曲 『リアリティのダンス』ostより「Los Mineros」(co:アダン・ホドロフスキー)♪



テンサイスピヴェット
【第1位】 『天才スピヴェット』

11月15日公開  鑑賞映画館:TOHOシネマズなんば


ジャン=ピエール・ジュネの最新作にて最高傑作。

この監督も独自の美学を持っており、『デリテッセン』以降、ほとんど彼の作品は好きで観ている。
いずれも甲乙つけがたい作品ばかりだが、笑って、そして泣けたのは本作だけ。

ジュネ監督の作品というだけでなく、2014年度に観たすべての作品のなかでも同じことであり、笑って、泣けて、ビジュアルに目を見張り、流麗なスコアに魅了されるという、あらゆる要素において満点だったので、ダントツの1位とした。

とにかく、主演のスピヴェットを演じるカイル・キャトレット君の演技と、彼の母を演じるヘレナ・ボナム・カーターが素晴らしい!!
もちろん、ファンタスティックな演出もある上に、ジュネ監督初の3D映画ということもあって、その熱の入れようが伺い知れるというものだ。
ただ、僕が観たのは2D版だったので、観ることのできるうちに3D版もぜひ体験したいものだ。

スコアは本作が映画音楽初担当という、カナダのミュージシャン、ドゥニ・サナコル。
カントリー調の音楽世界が本編同様軽妙かつドラマティックに映像を彩っている好スコアだった。

♪番組内オンエア楽曲 『天才スピヴェット』ostより「End credits」(co:ドゥニ・サナコル)♪


なお、次回のオンエアは1月3日(土)ということで、2015年最初の放送。

某国営放送の歌番組に負けないような内容になっておりますので、お楽しみに~~~♪