ビンさんの銀幕音楽堂・第622回(2013年12月28日放送分) 







【放送日:2013年12月28日 PM9:00オンエア】

・銀幕アラカルト:ビンさんが選ぶ、2013年度映画ベスト10!!(後編)


【第5位】 『レ・ミゼラブル』(イギリス)   2012年12月21日公開
レミゼラブル
今年の前半は、この作品の話題で持ちきりだった。
元々、ミュージカル映画は好きだけど、あらためて「いいなぁ・・・」と実感させてくれた映画で、観終った後は感動でしばらく席を立てなかったことをおぼえている。

ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ(見事、オスカー受賞!)、アマンダ・セイフリッドといった、個人的にもお気に入りの俳優たちの競演に加え、コメディ・リリーフとしてのサッシャ・バロン・コーエン、ヘレナ・ボナム・カーターの怪演も光った。

舞台版には舞台版のライブ感というプラス要素もあるだろうが、映画ならではの映像表現、音響効果、スペクタクル感などなど、劇場で観ることの醍醐味を堪能した忘れ得ぬ一本。



レミゼラブルデラックスエディション
♪ 「夢やぶれて」 vo:アン・ハサウェイ ♪

アラン・ブーブリル、クロード・ミシェル・シェーンベルグのコンビが生み出した、素晴らしき楽曲の数々。
映画のヒットと共に、サントラ盤もヒット。

さらに初回リリースはダイジェスト盤だったのが、映画が世界的にヒットしたのをうけて、劇中で流れたすべての楽曲を網羅したデラックス・エディション(2枚組)もリリースされた。

リリースされたはいいのだが・・・この映画版『レ・ミゼラブル』で唯一個人的に欠点を挙げるなら、このデラックス・エディションによるサントラCDだ。
というのも、映画のエンドクレジットに流れたスコアが収録されていないのだ。

映画版のアレンジ、そしてスコアを担当したのは、アート・オブ・ノイズの、というか、『クライング・ゲーム』などで映画音楽ファンにもおなじみのアン・ダドリーが担当。
彼女が劇中の数々のナンバーをオーケストラ・アレンジしたスコアがエンドクレジットに流れるのだが、これがなぜかサントラに収録されていない。

初回のダイジェスト盤に収録されてなかったのは理解できるが、デラックス・エディションと銘打ちながら、なぜここにも収録されていないのか。
感動の中エンディングを迎え、エンドクレジットのスコアに余韻に浸った、その感動を再び得ようと思った向きには、至極残念なサントラCDだったのではないだろうか。


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【第4位】 『凶悪』(日本)   9月21日公開
キョウアク
本当は感動を呼ぶものや涙を誘うものをベスト上位にもってきたかったが、それらを凌駕するくらいこの映画の持つパワーは凄まじかった。

人間の持つ「悪」、「欲」、「業」をこれでもかというくらいに抉り出し、その矛先はなにも映画の中の登場人物だけでなく、それを観るわれわれ観客にまで向けてくる。
こんなスリリングな映画はそうそうお目にかかれない。

『あまちゃん』で朝の顔になった感のあるピエール瀧、『そして父になる』の気のいい電気屋のオヤジが好印象だったリリー・フランキーの、こちらのほうが「本当の顔」なんじゃないのかと思わせる凶悪演技の自然なこと(笑)。
さらには出番は少ないながらも、これまた強烈な印象を残す池脇千鶴と吉村実子。
それらに翻弄される山田孝之は、われわれ観客の代弁者だ。

2013年、もっとも醜悪かつ秀逸な一本として、忘れられない映画だった。





【第3位】 『インポッシブル』(スペイン)   6月14日公開
インポッシブル
2004年に起きたスマトラ島沖大地震で発生した、大津波に遭遇した家族の困難と再生を描いた人間ドラマ。

そもそもナオミ・ワッツのファンでもある僕は、この映画の存在も知っていたし、彼女がアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたこともしっていた。
が、おそらく日本での公開は叶わないだろうと諦めていた。

無論、東日本大震災を慮ってのことである。

実際に、東日本大震災直前まで公開される予定だった中国映画『唐山大地震』は、いまだに劇場公開されない現状だし、たとえばDVDリリースもかなわないのではないか、とも思っていた(『唐山~』はいまだに日本でのDVDリリースはない)。

僕自身も、たとえエンターテインメントとして地震を取り上げるのではないとしても、まだ現実に被災された方もおられるこの日本での上映は、やっぱり望むべくもないだろうと諦めていたのだった。

結果として、本作を日本で公開することに踏み切った配給会社は英断だったと思う。
もちろん、公開に対して反発する意見もあって当然だろう。
が、困難な状況に置かれた主人公一家が、自分たちの身の上だけでも困難極まりない状況なのに、それでもなお他人を思いやる心を捨てない姿には素直に感動したし、件の東日本大震災の際にもこの一家のような人々もいたことだろう。

人間の持つ素晴らしさを高らかに謳いあげた本作は、だからこそ日本において公開されるべき作品だったと確信した。

インポッシブル
♪ 「The Impossible Main Titles」 co:フェルナンド・ベラスケス ♪

スコアを担当したのはスペインの作曲家、フェルナンド・ベラスケス。
監督したJ・A・バヨナとは『永遠のこどもたち』(07)でコラボレーションしており、その際のスコアの素晴らしさは映画音楽ファンの間でも話題になっていた。
残念ながら、僕自身は『永遠の~』は未見だし、どのようなスコアを書く方なのかもしらなかった。

しかし、本作でたびたび流れるメインテーマの旋律には、鑑賞中には震えが起こるくらいに感動したし、観終ったその足で、絵劇場から最寄りの輸入盤を扱うCDショップにこのサントラを探しに行ったくらい、とにかく惚れ込んだスコアだった。

これほど明確なメインテーマの旋律を持つ、まさに映画音楽の王道ともいうべきスタイルの作品は、近年稀に見る(聴く)もので、一気にフェルナンド・ベラスケスという作曲家の虜になってしまった。

サントラはスペインのサントラ・レーベルとして近年目覚ましい活躍をしているQuartet Recordsよりリリースされている。
ユニークなのはタイトル表記がスペイン語と英語の2種類があるし、ジャケ・デザインそのものも2種類ある。
いずれも収録内容は同じなので、お気に入りのものをチョイスされたし。


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【amazon】※ジャケ・デザイン違い
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【第2位】 『セデック・バレ』(台湾)   4月20日公開
セデックバレ
日本軍が台湾を統治していた1930年10月、台湾の山奥にある集落「霧社」で起こった「霧社事件」を取り上げた歴史大作で、監督は『海角七号 君想う、国境の南』(08)のウェイ・ダーション。

台湾の先住民族の一つである「セデック族」の頭目、モーナ・ルダオを筆頭に先住民たちが決起。
日本人を老若男女問わず虐殺するという暴挙に出たことに対し、日本軍はセデック族を掃討、事件は終結を迎えた、というのが「霧社事件」のあらまし。

映画は事件がなぜ起こったのか、その時セデック族の人々は、日本人はどう行動したのかを克明に、かつテンポよく描き(2部構成で全上映時間は4時間半にも関わらず、時間の長さを感じさせない)、プロデュースにはジョン・ウーも名前を連ねているからか、アクション・シーンの切れの良さ&派手さに、確かに全世界普遍のテーマである「異文化間の衝突」が生んだ悲劇を描いているものの、第一級のエンターテインメントとしても楽しめる作品に仕上がっていた。

なにより日本=悪という図式ではなく、互いに互いの民族性を認め合う描き方もされているところが、ゆえに我々日本人がこの映画を観ても感銘を受ける理由だと思う。

モーナ・ルダオを好演したるリン・チンタイは本業は俳優ではなく教会の神父なのだという。
ここに安藤政信、河原さぶといった日本人俳優も加わり、さらにはかのビビアン・スーも可憐な姿を見せるという、キャスティングの妙も光っていた。

セデックバレ
♪ 「血&花 Bloodshed & Blossom This Bright Flash」 co:リッキー・ホー ♪
♪ 「巴莱之看見彩虹:The Rainbow Promise」(vo:林慶台、大慶、他) co:リッキー・ホー ♪

スコアを作曲したのはシンガポール出身の作曲家リッキー・ホー。

彼の書くメインテーマの旋律は、日本人が聴いても琴線に触れる美しいメロディで、これが劇中の随所に流れて魂をゆさぶってくる。
他にアクション・シーンでの躍動感あふれるスコアや、現地の方のコーラスによるトラディショナルなども加えて、サントラはCDで2枚組というボリュームとなっている。

エンドクレジットに流れる壮大なバラードは、出演者全員がコーラスを担当しているというサービスぶりだ。

映画公開当時は一部のネット販売でしか入手できなかったこのサントラ、現在はamazonでも扱っている(しかも廉価で!)ので入手しやすくなっているのは嬉しい限り。


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【第1位】 『かぐや姫の物語』(日本)   11月23日公開
カグヤヒメノモノガタリ
2013年度ベスト1はこの作品。

劇場で観た際にも書いたが、これは「日本の宝」である。
アニメという枠を超えた、一級の芸術品でもある。

鑑賞後、あらためて原典である「竹取物語」を読んだが、やはり物語の舞台は我が故郷である奈良県だと強く思う。
諸説あるが、それを示唆する部分は多々あるし、そう考えることで辻褄が合う。

ただ、せっかくかような作品が公開されているのにも関わらず、竹取物語にまつわる名所があるのにたとえば「竹取公園」もある広陵町あたりで映画とのコラボレーションがまったくないというのは、とてももったいないことだ。

また、当番組にチケット提供していただいているMOVIX橿原さんの所在地のすぐ近所、十市という地名は原典の「竹取物語」にも登場するので、ここはMOVIX橿原さんも大いにPRしてもいいと思うのだが(笑)


まだ劇場公開中なので、公開が終わるまでにはもう一度、劇場へ足を運びたいと思う。

カグヤヒメノモノガタリ
♪ 「いのちの記憶」 vo:二階堂和美 ♪

スコア担当は久石譲。
ジブリ作品ではお馴染み久石譲だが、意外なことに高畑勲作品には初登板。

古典「竹取物語」の世界を見事に音楽で表現。
古楽器を駆使した雰囲気づくりはもとより、かぐや姫が育つ山里を思わせる牧歌的なメロディの美しさ。
また、クライマックスに流れる沖縄民謡のような、エキゾティックなナンバーなど、久石譲会心の一作。

ただ、全体的にスコア1曲1曲の演奏時間がかなり短い。
それはサントラという性質上のことなのだが、たとえば宮崎作品でよくリリースされていた、イメージ・アルバムのようなものでじっくりと聴いてみたい。それくらい、スコアも素晴らしいということ。

サントラには劇中に重要な意味をもって流れてくる「わらべ唄」、「天女の歌」も収録。
こちらは高畑勲監督と脚本を担当した坂口理子による歌詞と、高畑監督の作曲によるナンバー。

そして、エンドクレジットに溜飲を下げるかのように流れる二階堂和美(僧侶の肩書きを持つシンガーソングライターなんだそうだ)による主題歌「いのちの記憶」を収録。

なお、サントラはディスクとダウンロードでのリリースになるが、ディスクのほうは先着特典として、5曲のボーナス・トラック(いずれも久石譲の作曲による)が収録されたミニ・アルバムが付く。
古楽器によるスコアばかりで、これだけでも物語の世界にすぅっと入っていける。
ぜひ、入手されたし。


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【タワーレコード】
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そのほか、番組にチケット提供していただいてます、MOVIX橿原さんの上映情報など。


以上のラインナップでお送りいたします。



奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。

番組では、MOVIX橿原のペア・チケットをプレゼント中!
ご希望の方は、上のリンク先より当番組宛に番組の感想、リクエスト、映画に関連することならなんでもメール、FAX、受け付けております。
いただいた方には全国のMOVIXで使用できる(できれば地元、MOVIX橿原で使用していただきたい・・・)ペア・チケットをお送りいたします。



《裏ばなし》

あいかわらず本業が忙しく、今週も番組オンエア後の内容アップとなりました。

先週に引き続き、年末恒例、「ビンさんが選ぶ、2013年度映画ベスト10!!」の後篇をお送りいたしました。

上記のような結果と相成りましたが、この2013年度はほんとにいい作品に数多く出会えて、10作品に絞るのは例年にも増して断腸の思いでした。

さぁ、2014年度はどのような素晴らしい作品(と、肌に合わない作品)に出会えるか、それを思うとワクワクしてきます。


番組を盛り上げていただいたリスナーのみなさま、この一年間、誠にありがとうございました!!

2014年もどうかよろしく、お願い申し上げ奉ります~~~♪