ビンさんの銀幕音楽堂・第609回(2013年9月28日放送分) 







【放送日:2013年9月28日 PM9:00オンエア】

・銀幕アラカルト:ジャパネスク・シネマスコア特集

『将軍 SHOGUN』ostより「Shogun」(co:モーリス・ジャール)
『将軍 SHOGUN』ostより「The Japans」(co:モーリス・ジャール)

『最後のサムライ ザ・チャレンジ』ostより「"As You Wish" / End Title」(co:ジェリー・ゴールドスミス)

『SAYURI』ostより「芸者」(co:ジョン・ウィリアムズ)


・ニューシネマ・サウンド

『ウルヴァリン:SAMURAI』ostより「Where to?」(co:マルコ・ベルトラミ)


・銀幕音楽堂メールボックス

番組宛にいただいた、メール,FAXを紹介。

また、番組にチケット提供していただいてます、MOVIX橿原さんの上映情報など。



以上のラインナップでお送りいたします。



奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時

コミュニティFMですので、奈良県内だとカーラジオならたいてい聴取可能なのですが、自宅となると限られた地域しかクリアに聴けません。
もし、聴取可能だよ~、という地域にお住まいであれば聴いていただけるとありがたいです。
聴けない方には、雰囲気だけでもお伝えすべく、ここに放送内容をUPしておきます。

番組では、MOVIX橿原のペア・チケットをプレゼント中!
ご希望の方は、上のリンク先より当番組宛に番組の感想、リクエスト、映画に関連することならなんでもメール、FAX、受け付けております。
いただいた方には全国のMOVIXで使用できる(できれば地元、MOVIX橿原で使用していただきたい・・・)ペア・チケットをお送りいたします。



《裏ばなし》

※諸般の事情で、オンエアから約一週間遅れの内容アップでどうもすみません・・・。

いよいよ今クール最後のオンエアです。

公開中の映画『ウルヴァリン:SAMURAI』が、ハリウッド映画でありながら日本が舞台という作品であり、我々日本人が観ると、「ん?」、「え?」、と感じる部分が相変わらず登場します。

それを国辱と表現する方もおられますが、僕はカルチャー・ギャップが生んだ一つのエンターテインメントの要素だと捉えているんですよね。

そういった日本が舞台のハリウッド映画におけるスコアもまた、独特の味わいをもったものであり、それをCD等で聴くことで著名な作曲家もいかにして日本を表現しよう試みたのか、そこに苦心の跡を垣間見る思いです。

今回は、そんな作品の中からいくつかピックアップして選曲してみました。

と同時に、公開中の『ウルヴァリン~』のスコアはいったいどうだったのか、そのあたりのお話もスコアを交えてお送りしております。


さぁ、次回は新クールがスタートします。
でも・・・当番組は特に変わり映えしないことでしょう・・・ね(笑)



ショーグン
『将軍 SHOGUN』(80)のサントラ。
スコア担当はモーリス・ジャール。

米NBC製作の連続ドラマ。
江戸時代、日本に漂着したイギリス人航海士ウィリアム・アダムズ(徳川家康に三浦按針という日本名と現在の三浦半島を領地として賜る)の物語をベースにジェームズ・クラベルが書いたベストセラー小説のドラマ化。

本国アメリカ以外(日本を含む)では2時間程度に編集されたものが劇場公開された。
日本ではテレビ朝日系で放映。

スコアを担当したモーリス・ジャールは物語の舞台となる国の民族楽器をスコアに取り入れることで定評があり、本作においても例外でなく、尺八、三味線、琴といった和楽器をフィーチャーして、音楽面で日本を表現している。

ただ、やはり日本人以外の国の方が、それがたとてモーリス・ジャールのような大作曲家であっても、われわれ日本人が聴くとどことなく違和感(たとえば日本というよりも中国じゃないのか?)を抱くのを否めない。

それでも勇壮なメインテーマにおいても和楽器を取り入れることを忘れないし、サブ・テーマなどには実に美しいジャパンを想起させるようなメロディで魅了してくれるのは、さすが巨匠のなせる業かと思う。

サントラCDは08年に米INTRADAより3000枚限定でリリース。
内容は既発売されていたLPレコードと同じだが、既に現在は売り切れとなっている。

入手はかなり難しいと思うが、中古ショップやオクションで出品されるのをこまめにチェックするほかないだろう。



サイゴノサムライザチャレンジ
『最後のサムライ ザ・チャレンジ』(82)のサントラ。
スコア担当はジェリー・ゴールドスミス。

監督ジョン・フランケンハイマー、主演スコット・グレン、三船敏郎、中村敦夫という錚々たる顔ぶれでありながら日本未公開のアクション巨編。

グレン演じるヤンキー青年が、京都の武道家のお家騒動に巻き込まれてしまうという奇想天外なストーリー。
一本の刀を所有するのが、その家の跡継ぎの証であり、それを兄(三船)と弟(中村)が取り合う。で、兄は武道を重んじているけれど、弟は欲にかられた実業家。主役のグレンは当然三船に加勢する。

という、まぁじつにわかりやすい設定なわけだが、ここで描かれる三船、中村演じる日本人の描写が逐一「なんですの、これ?」というようなカルチャー・ギャップというか、観ている日本人にはカルチャー・ショックを与えること請け合い。

そこが、この映画が「国辱映画」と言われているゆえんでもあるし、日本公開が見送られた原因ともいわれているが、そこは一種のエンターテインメントとして観ればじつに楽しい映画である。
なお、三船演じる武道家の道場には稲葉義男、宮口精二(この二人に対する演出もトンデもない)がいたり、近所の食堂のおばちゃんは中原早苗だったりする。

残念ながら日本では過去にビデオ化されたのみで、いまだDVDにもなっていない。
フランケンハイマーといえば『ブラック・サンデー』(77)も同じ憂き目(まぁ、その原因は大きく違うけれど)に遭っているが、めでたく「午前十時の映画祭」にて日本公開も実現した。
なので、本作もぜひ劇場の大スクリーンで観たいものだ。

さて、ゴールドスミスのスコアだが、できるだけ「日本」というイメージに重きをおいた仕上がりになっており、ところどころに和風なメロディが顔を出す。
ただ、ゴールドスミスが書く和風のメロディって、『トラ・トラ・トラ!』(70)でもそうだが、どこか「元禄花見踊」を思わせる旋律で、正直一本調子だ。
映画音楽ファンでゴールドスミスのことを悪くいう方はかなり少ない(というかほとんどいない)し、僕も個人的に大好きな作曲家ではあるけれど、この和風のメロディについては、どうもワン・パターンの印象が否めない。

また、アクション・シーンでは『猿の惑星』(68)で聴かれたステンレス・ボウルの音色がさく裂する。
あの作品ではゴリラ兵のバーバリズムを表現していたが、ということは、本作におけるこの楽器の使用って、日本人=猿、という意味なんだろうか・・・。
それを考えると、本作に対するゴールドスミスの考え方というのは・・・色々と興味深い点ではある。

サントラCDは2000年にベルギーのPrometheusから3000枚限定でリリース。
その後、今年になって数曲追加されたものが米LA-LA-LANDより同じく3000枚限定でリリースされた。


【amazon】
【タワーレコード】




サユリ
『SAYURI』(05)のサントラ。
スコア担当はジョン・ウィリアムズ。

京都は祇園の芸者さゆり(チャン・ツィイー。娘時代は大後寿々花)の数奇な運命を、太平洋戦争をはさんで描く壮大なドラマ。

主演のチャン・ツィイーをはじめ、コン・リー、ミシェル・ヨーと、どこが日本、もとい京都やねん! と公開当時はツッコミもしたが、ちゃんと桃井かおりに工藤夕貴、そして渡辺謙に役所広司も出てますよ、ってことで調整のとれたキャスティングではあった。ただし、全編英語だったけど。

そういう外見は日本人としてはどうなんだろ? とは思った映画ではあったが、その内容は特にトンデモ日本が登場するわけでもなく、けっこう日本の文化も重視したつくりにはなっていた。

ウィリアムズのスコアも、たしかにメインとなる旋律は和風なテイストではあったけれど、チェロにヨー・ヨー・マ、っヴァイオリンにイツァーク・パールマンを起用するなど、西洋的な要素の強いスコアになっているのも、バランスとしてはよかったんじゃないかと思う。

特にヒロインが芸者の稽古に励む場面のスコア(今回、番組で取り上げている)は、後に女子フィギュア演技のBGMに使用されるなど、ウィリアムズ作品としては映画を離れてよく耳にするスコアという意味では久しぶりのヒットではなかっただろうか。


【amazon】
【タワーレコード】:現在、輸入盤のみ扱っている




ウルヴァリンサムライ
『ウルヴァリン:SAMURAI』のサントラ。
スコア担当はマルコ・ベルトラミ。

『X-メン』シリーズの人気ヒーロー、ウルヴァリンを主人公としたスピン・オフ作品の第2弾。
今回は日本を舞台に大暴れの巻。

ベルトラミとしては『ワールド・ウォーZ』に続いての公開、そして同時期に『ウォーム・ボディーズ』公開、この後『キャリー』も公開が待機しているということで、ここのところ日本でもそのスコアを聴く機会が多い作曲家である。

さて、日本が舞台ということで、やっぱりそれなりに和風なテイストを期待していた(本編は久しぶりにどこかおかしいニッポンが登場して、大いに楽しませてくれた)が、残念というかなんというか、そういった要素はほとんど聴くことができなかった。

アクション・シーンにパーカッションを使用することで、ある種のバーバリズムを表現してはいるけれど、想像していたものに比べりゃかなり地味である。

ベルトラミって、けっこうムーディなメロディも書く作曲家なのだが、本作においては和風テイストはともかく、ヒーローの主題さえ明確なものが鳴り響かないのはさらに残念であった。
僅かにエンドクレジットでメインテーマらしきものが流れるけれど、アメコミ・ヒーロー物としてはあまりに寂しい。

もちろん、彼なりの作品へのアプローチ、たとえばエンターテインメントな派手さよりも、ヒーローの内面をスコアで表現したのかもしれない。
それは理解できないでもないが、やっぱりここはケレン味あふれる派手なスコアを鳴り響かせてほしかった。

サントラは輸入盤のみでヨーロッパ盤とアメリカ盤ではジャケット・デザインが異なる。
ヨーロッパ盤は夜の東京を見下ろすウルヴァリンの図。アメリカ盤は水墨画風に描かれたウルヴァリンの雄姿。
収録曲に相違はないが、ジャケット人気の点ではアメリカ盤なんだそうだ。


【amazon】:米盤
【amazon】:ヨ盤
【タワーレコード】:米盤
【タワーレコード】:ヨ盤