『映画音楽研究会 ライヴ』(ライヴ) 



10月21日(土)の夜、近鉄平城駅前にある、カフェデミタスさんで、素晴らしいライヴがあった。
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昨年の9月にも行かせてもらったけど、ほんとに雰囲気のいいライヴであり、みっちりまったりとした時間を過ごさせてもらった。
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ご覧の通りの映画音楽に特化したライヴ。
スタンダードなナンバーはもちろん、え? そんなものまでやるんですか? という選曲には正直驚かされる。

たとえばバーナード・ハーマンの『サイコ』なんて、普通はやらないでしょ?(笑)
でも、ライヴで聴くとこれがまたいいんだなぁ・・・。

やらないでしょ、といえばバート・バカラックの『幸せはパリで』もそう。
こういうところのこだわりが好きだなぁ・・・。



また映画に対する蘊蓄もお見事。
エンニオ・モリコーネの『ニューシネマ・パラダイス』は、こういったライヴでは人気の曲だけれど、映画のクライマックスを飾る「愛のテーマ」は息子アンドレアの作曲だ。

なかにはすべてエンニオ・モリコーネの作曲だと捉えている向きもある中で、今回のライブではちゃんと「息子さんの作曲で」とフォローされているところが、さすが「映画音楽研究会」である(笑)

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今年の2月にもライヴがあったんだけど、その時は私用で行けなかったのだが、その際になんと! ジョン・バリーの『ある日どこかで』も演奏されたと知って、切歯扼腕していた。

でも、今回のライヴでもちゃんと演奏していただいたのはほんとに嬉しかった。
演奏を聴いて、思わず涙腺崩壊しそうになったほど・・・。

『ある日どこかで』も、映画音楽ファンの間では鉄板の曲だが、一般にはあまり知られていないと思う。
それをラインナップに入れてらっしゃるという点でも、そのこだわりはわかっていただけると思う。

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4名編成ゆえ、全体のアレンジもジャズっぽいカラーにはなっているが、それはそれまた違った魅力があり、つくづく映画音楽の深さを思い知らされる。

ヴォーカルの田口さんは、リクエストがあれば受け付けますとおっしゃってらしたし、「007」シリーズって一度もやったことないですね、ともおっしゃっていた。

極々個人的にはナンシー・シナトラの『007は二度死ぬ』が希望だが、ライヴではシャリー・バッシーの『007 ゴールドフィンガー』も面白いかもしれない。
バッシーのようなパワフルなヴォーカルではなく、田口さんのソフトタッチなヴォーカルでの「ゴールドフィンガー」なんていいんじゃないかな。
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次回は来年1月20日(土)にまた開催される。
興味のある方は是非是非!!




















あ、そうそう、ライヴの途中で僕の番組の宣伝をさせていただきました。
貴重なライヴの時間をいただいて、どうもありがとうございました!!
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なんだか、場違いな酔っぱらいの客が、
「おうぃ! わしにもなにか歌わせてぇなぁ!!」
と、マイクを無理矢理奪って、「温泉すっぽん芸者」を唸っている一幕、といわれてもおかしくない一場面だ。

ライヴの中でイーストウッドの『恐怖のメロディ』に関連して、DJつながりということで、引っ張り出されたのでありまして・・・(笑)
いやいや、僕とイーストウッドを一緒にしたらあきまへんで(笑)

そんなことより、こんなことなら、もうちょっと体型がわかりづらい服装にしておくのだった。
あらためてダイエットせなあかんなぁ・・・と自己嫌悪に陥ってしまいそうな写真である。

いや、そういう意味でも戒めとして、この写真は部屋に貼っておくのがいいだろう(泣)


【※写真提供は寒川素子さま。寒川さま、どうもありがとうございました!!】


♪富貴晴美さんのピアノコンサートへ行く♪ 







作曲家、富貴晴美さんのコンサートが先日、開催された。
といっても、コンサートホールで、というのではなく、なんと「あべのハルカス」7階にある、「街ステーション」というイベント・スペースでだ。

富貴さんについては、いまさら書くまでもないが、いまもっとも実力のある作曲家であり、マスコミでも若手作曲家と表現されることが多い(実際にお若いのだけれども)のだが、すでに数多くの映画、TVドラマのスコアを手掛けておられる。
『わが母の記』(12)では日本アカデミー賞優秀音楽賞を最年少で受賞されているし、なんとっても、現在はNHK朝の連続テレビ小説『マッサン』のスコアでお馴染みだろう。

僕自身、『わが母の記』のスコアにいたく感動し、以来、個人的にも応援させてもらっているのだが、その富貴さんのコンサートが、しかも大阪で行われるということで、矢も楯もたまらず行かせてもらった。


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このコンサート自体は、住吉区役所主催のイベントの一環だった。
『マッサン』のドラマのモデルとなった、ニッカウヰスキーの創設者、竹鶴正孝氏とリタ夫妻が、住吉区で暮らしておられたということから、当時の資料や、夫妻が暮らしておられた家の模型、写真のパネル展示などを「街ステーション」を利用しての展示会「竹鶴正孝とリタ展」開催期間中のイベントだったのである。
その日は前半が富貴さんのコンサート、後半はニッカウ井スキーのアンバサダー本田氏の講演会というプログラム。


開場時間(イベントスペースに椅子が並べらてており、そこへ座ることができる時間)は13時、開演は13時半で、とりあえず12時頃に様子を見に行ったらば、すでに20人ほど列が!

こりゃ、並んでおかないと、いい席に座れないなぁ・・・ということで、すぐさま列に並んだのだった。
ただ、僕以外は概ねご高齢の方がほとんど(住吉区在住の方々かな?)であり、これから1時間以上も立ったままというのは、さぞかし辛かろうと案じていたが、係員の方が30分切り上げて開場してもらったのはご高齢の方々も助かったことだろう。

開場までの間、並んでいる時に一度、富貴さんがキーボードの音合わせのために登場された。
写真だけでなく、実際に演奏されてい映像はYouTubeにご本人もアップされているが、やはり身近でのお姿には思わず感動ものである。
コンサートで演奏されるであろう、「マッサンのテーマ」などをさらっと弾いてらっしゃる姿に思わず見入ってしまう。


やがて開場となり、やはり列の前の方は、キーボードの真ん前の席に座っていかれる。
ああ、いいところ取られてしもうたなぁ・・・と思ったが、ちょうどキーボードの左側の席がぽつんと空いていた。
結果、鍵盤もよく見えるし、なんといってもほとんどかぶりつき状態(笑)のベストポジションで、うわぁ、こんな場所でいいんでしょうか・・・ってなものだ。

そこから約1時間後、ようやくコンサート開演。
MCの方の進行(この方がまた、とっても美人!)でイベントが始まり、いよいよ富貴さん登場!
音合わせの時はシックな装いだったのが、本番でさらに若々しいお姿が眩しすぎる!(笑)


MCの方との掛け合いのなかで、音楽の道に入るきっかけのお話や、『マッサン』のスコアづくりのエピソード等々、貴重なお話が次々に披露されじつに興味深い。
そして、『マッサン』からメインテーマをはじめ、いくつかの楽曲をピアノソロで演奏してくださった。
その間も、曲それぞれのエピソードもお話され、時に感心するお話であったり、笑いが起こるようなお話もあって終始なごやかなムード。
ギャラリーも相当な数に膨れ上がり、大盛況だった。


お話をされている時は、むちゃくちゃキュート(写真などのお姿ももちろんキュートだが、実際はその何倍もキュートである)だが、いざ演奏となるとカッコいい。
そして演奏が終わると笑顔でまたキュートに戻る。
おそらく、あの会場にいた男どもの多くはハートを鷲掴みにされていたことだろう。
(あ、僕は横で感動のあまり、終始涙目だったのだが・・・)
とにかく、あの細い指先から、スコットランドの大地、夫婦の愛情、夢に対する情熱といった力強いスコアの数々が生み出されることに、ただただ感嘆したのだった。


結局、コンサートでは8曲くらい演奏されただろうか。
中には1月からの「北海道編」のスコアを2曲披露されたのは嬉しい。

そしてコンサートのラストは、当日1月17日が阪神淡路大震災から20年目ということで、富貴さん自身があの日体験されたエピソードも披露されつつ、万感の思いを込めて『マッサン』から「愛をもとめて」を演奏された。

じつは、個人的に「愛をもとめて」が最もお気にいりのスコアだったので、さらに感激してしまった。

最後にもう一度、MCの方との掛け合いで今後のドラマの展開なども話されていた。
その中で、今回のような多くのギャラリーを前にしての演奏、さらにマイクをもって喋るというのは、ほとんど体験されたことがなかったということだ。
いやいや、あれだけ笑いもとれて、さらに感動も呼ぶMCであれば作曲家のみならず、そちらの方面でも才能が十分おありだと思う(笑)


感動のなかコンサートが終わり、舞台そでではサイン会が。
特にサイン会を行います、というアナウンスはなかったが、僕のみならずファンの方はそれぞれに『マッサン』のサントラCDを持参されてこられたようで(中にはNHKのガイドブックを持参され、そこにサインしてもらってらっしゃる方もおられた。なるほど!)、気さくにそれに受け答えされている富貴さんがまたキュートである。


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そこで、僕も初めて直接サインをいただいた。
その際、「やっと会えました!」とおっしゃってもらったのが本当に嬉しかった。
じつは、当時はデジカメも持参していたのだが、コンサート中は撮影禁止と係の方がおっしゃってたもので、残念ながらそのお姿を撮影することは叶わなかったが、直接お話しさせていただいただけでも十分である。

いやぁ、こういう気分になったのは、中学生の頃、隣町のショッピングセンターに柏原芳恵さんが来られて、ライブ&握手会に行って以来である(笑)
当然、昨日から手は一切洗っていない(んなこたぁないけど(笑))。


次はぜひ、大きなホールでオケを伴ったコンサートを体験したいものだ。
そんな日がくるのも、案外近いのではないだろうか。


※※※ 富貴晴美さんのブログは⇒コチラ!! ※※※



マッサン
NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』のサントラ。
スコア担当は富貴晴美。

日本初のウイスキーづくりに情熱を注ぐ主人公と、その妻との物語。
とにかく、主演の玉山鉄二とその妻エリーを演じるシャーロット・ケイト・フォックスの演技に毎朝魅了されている方も多いだろう。

その感動的なドラマを盛り上げるのが、若手実力派作曲家である富貴晴美。

すでに多くの映画、ドラマのスコアを担当、それぞれに完成度の高い仕上がりには驚くばかりだが、そんな彼女の集大成ともいえるのがこの『マッサン』だ。

ヒロインがスコットランド出身ということもあり、またウイスキーの故郷という意味でも、スコアのメインとなるのはケルト音楽の響き。
無論、民族楽器などをふんだんに取り入れた音楽構成は、それだけでも特筆ものだが、ケルトの響きを巧みに盛り込みつつも、これは日本のドラマの音楽なのだ、というアイデンティティもしっかり備わっている。

とにかく、彼女の魅力である耳触りの良いメロディ・ラインや、時折はじけるユーモアのセンスもさることながら、ドラマの主人公夫婦を包み込む愛情のこもったスコアは、それゆえ感動的である。

サントラCDにはヒロイン、エリ―を演じるシャーロット・ケイト・フォックスのヴォーカルによるトラディショナル3曲が収録されているのも、ドラマのファンにはたまらない試みになっている。

なお、2月にはサントラ第2集もリリースされる。

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♪映画『砂の器』公開40周年記念コンサートに行く♪ 







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昨年の地元での大野雄二氏のコンサートも夢のような話だったが、今年も引き続き、映画音楽ファンにとって夢のようなコンサートが実現した。

日本映画の最高峰(少なくとも僕自身はそう思っている)、『砂の器』(74)が今年、40周年を迎える記念行事の一環として、劇中のクライマックスを彩る名曲「宿命」をライブで聴くことができるコンサートが開催されたのだった。


『砂の器』については、初見はTVだった。
たしか小学生くらいの頃、劇場公開後、TV初放映の時だったと記憶する。
ただ、おそらくノーカット放映だったかなにかで、終りが夜遅くなるのでその際は最後まで観ることができなかった。
が、翌朝、母親の顔が感動の涙で腫れ上がっていたのをおぼえている。
実際に最後まで観たのは社会人になってから。
故郷を離れ東京で一人暮らしをしていた頃で、たまたまビデオソフトが安く販売されていたのを見つけ、買ってきて自宅で鑑賞した。

ある殺人事件をきっかけに、そこに絡む人間模様。
松本清張の原作も良くできているのだろうが(いまだに未読)、野村芳太郎監督の演出、そして橋本忍、山田洋次の脚色、そしてなんといっても菅野光亮のスコアに圧倒され、名場面であるクライマックスでは涙がとめどなくあふれ出たものだった。


当時はすでに映画音楽ファンになっていた。
ただ、ラジオの映画音楽番組でも『砂の器』が取り上げられたことはあったが、いわゆる音源は長時間演奏でもあり、いつも全曲聴くことは叶わなかった。
映画のクライマックスを彩る「宿命」は、芥川也寸志氏のオーケストレーションによって、「ピアノと管弦楽のための組曲」としてパート1、2合わせて40分ほどの組曲となって、映画公開の翌年にレコード化されていたわけだが、パート1だけでも23分あるので、ラジオ番組ではどうしても途中でフェイドアウトせざるをえなかったわけだ。

僕自身、後年映画をビデオで観た頃に、CD化された「宿命」をようやく購入し、以来何度も聴いているお気に入りの一枚になっている。
無論、映画音楽の番組を担当させてもらっている中で、過去に取り上げたこともあるが、先にような理由で僕も途中でフェイドアウトせざるをえなかった。


今年、この編曲された「宿命」ではなく、いわゆるオリジナルサウンドトラック音源が発掘され、CD化されたのは映画が40周年を迎えた今年のビッグニュースだった。
そこにはクライマックスの「宿命」だけでなく、映画全編で使用された菅野氏のスコアが収録されており、これには歓喜の声をあげたものだった。

そのサウンドトラックCDリリースのニュースとともに飛び込んできたもう一つのビッグニュースが、組曲「宿命」がライブで演奏されるというものだった。


指揮はクラシックに疎い僕でもその名前も容姿も知っている西本智実氏。
ピアノは名前は存じ上げなかったが数々の賞を受賞されている外山啓介氏、演奏は日本フィルハーモニー管弦楽団。
残念だったのは、このコンサートが東京(東京芸術劇場コンサートホール)でのみの開催だったということ。
関西在住の僕としては、東京へ行ってでも聴きたかった(かつて、エンニオ・モリコーネやジェリー・ゴールドスミスが来日してのコンサートが東京のみだった際には、東京まで出かけていったものだ)が、3月30日という本業が一年のうちでも最も忙しい日だったことを恨みつつ(笑)、風の便りでコンサートの状況を憶測するしかなかったのだった。


が、東京での公演が好評だったのだろうか、幸いなことに大阪でのコンサート開催もすぐに決定したのは嬉しかった。
西本氏の指揮、外山氏のピアノ、そして大阪公演は日本センチュリー交響楽団(かつての大阪センチュリー交響楽団。改名などのいきさつは推してしるべし。某大阪市長のナンセンスな政策の影響で・・・とこれに触れると長くなるので割愛)の演奏である。

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場所はザ・シンフォニーホール。

ここではかつて、毎年夏に関西フィルの演奏による映画音楽のコンサートが開催されていた。
オリジナルスコアを用いて、『エデンの東』も有名なメインテーマではなく、エンディングのスコアや、『サヨナラ』から「カツミのテーマ」などを演奏するという、映画音楽ファンにはたまらないラインナップを聞いたのはもう10年くらい前になるだろうか。
あまりにマニアックな内容だったのか、その後は映画音楽だけじゃなく、いわゆるスタンダードナンバーなどを盛り込んだ内容になったので、コンサートの情報にアンテナを張ってなかったが、毎年夏に開催されるというスタイルは連綿と続いているようだ。


さて、今回のこのコンサート、ギリギリまで行くか行くまいか迷っていたのは、もちろん仕事の関係もあったが、母親にもこのコンサートを聴かせてやりたいと思ったから。
ただ、ここ数年、長時間歩くのはかなりつらそうなので、公共の交通機関を使ってホールのある福島(あ、大阪のですよ、東北じゃなくって)まで果たして行けるだろうか、という懸念があった。
しかし、母も『砂の器』は好きな映画の一つでもあるし、「宿命」も好きな曲でもある。
それをライブで聴けるというのは、母親の年齢から考えればこれが最後だろうし、ひょっとしたらコンサートホールでのコンサート自体、連れて行けるのもあとどれくらいか、と考えるとぜひとも聴かせてやりたいと思った。

が、体調のことも考えると・・・といろいろ逡巡した挙句、車でホールまで行くなら母親の負担にならないだろうと。
そのうえで、こういうコンサートがあるがどうする? と母に尋ねると「ぜひ、行きたい!」ということだったので、ようやくチケットを取ったという次第。

本音を言えば、僕自身、高速道路は初体験だったので、しかも高速初心者には難度が高いと言われる阪神高速環状線を使わねばならない。
しかし、母のためにも、と思い一念発起(そんな大袈裟なもんじゃないけど)し、前の週には予行演習で現地まで車で行ったりして(笑)、当日に臨んだ。

まぁ、結果、かなりスムーズに現地まで行けて、ホール開場の1時間前に到着したわけだが・・・(笑)

近くの「なか卯」(近くに朝日放送があった頃、妹尾和夫氏がよく通ったという)で昼食を摂り、それでもまだ開場まで1時間弱あったので、隣接する駐車場に停めた車の中でしばらく待機。
その頃は、ホール前にもほとんど人影がなかったが、開場30分前くらいになると福島駅あたりからゾロゾロと人がやってきたし、何台もタクシーがホール前に停車しては、お客さんを降ろしている。


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ようやく開場となり、ごったがえすホール内の中、2階席(建物でいえば4階にあたる)まで母の手を引いてなんとかたどりついた。
先に書いたように、速攻でチケットを取ったわけじゃなかったので、2階の桟敷席、№でいえばRF列9番10番という席になった。
事前にシンフォニーホールのサイトで確認すると、舞台が見えづらくはないけれど、一部席のでっぱりが死角になって舞台全体を見渡せないような感じだった。

が、実際に席に着くと思いのほか舞台がよく見える。
指揮者もピアニストもその表情がよく見えて、結果的にはこの席で十分だった。
1階席にはパイプ椅子による補助席もかなり出ていたが、これも母の体のことを考えると長時間パイプ椅子も辛かろうと思い、この席にしたわけだが結果として満足だった。


コンサートは前半と後半に分かれ、前半のオープニングは外山氏のピアノ・ソロ曲が3曲続いて演奏された。
ラフマニノフによる「ヴォカリーズ」、「前奏曲 作品23-4」、そして「前奏曲 作品3-3 鐘」である。
コンサートのオープニングとしては、かなり地味な印象があるが、「ヴォカリーズ」の甘美なメロディ、「作品23-4」の高貴な響き、そして浅田真央がフィギュアで使用して知られるようになった「鐘」の迫力に圧倒された。
個人的には「鐘」はオーケストラ演奏でも聴きたい1曲。おそらくクリストファー・ヤングの『ヘルレイザー』のメインテーマは、この曲からインスパイアされているだろう、というのは余計な話(笑)

で、なぜこの3曲が選曲されたかについては、配布されたパンフによると組曲「宿命」をアレンジした芥川氏がラフマニノフに傾倒していたということと、「宿命」をオーケストレーションする際に参考としたからだそうだ。
演奏する外山氏、かなりのイケメンである。
演奏が終わるたびに、客席から咳をする音が聞こえると、「演奏中、よく我慢していただきました」と言わんばかりに微笑みを浮かべていたのがかなり好印象だった(笑)


続いて、舞台上の楽器の配置がスピーディーに変更され、颯爽と西本氏が登場。
いやぁ、TVなどで西本氏の姿を拝見したことはあったが、やはりスタイルがいいしかなり男前(という表現はおかしいけど)。いわゆる麗人というイメージがピッタリ。
そして演奏されたのが芥川氏による「弦楽のための三楽章」。
これはコンサートでもよく演奏される人気の曲で、僕も以前にTVでこの曲が取り上げられたのを見たことがある。
激しい第一楽章に続く、牧歌的な第二楽章。そして第三楽章への盛り上がり。
弦楽器だけでもこれだけ豊かな表現ができることにあらためて感動する。


そこから20分の休憩を挟み、後半は40分にもおよぶ「宿命」の演奏となる。

再び舞台の中央にピアノが置かれ、今度は楽器も管楽器や打楽器も加わってのフルオーケストラとなる。
指揮者の西本氏、ピアノの外山氏も登場し、演奏が始まった。

いやぁ~~~もう、オープニングのピアノの音色から続くストリングスの演奏。
この冒頭部からすでにこちらの息は荒く、目頭が熱くなる。
パーカッションの響きに続き、「宿命」の主題が流れた途端、とうとう涙があふれた。

いま、実際にあの「宿命」をライブで聴いているということに強く熱く感動に震えた。
もう、そこからの40分は本当に夢のような時間だった。

CDで何度も聴いたあの曲が、どのように演奏されているか、それを目の当たりにするというのもこういったコンサートの醍醐味だ。
流麗なメインテーマの箇所もさることながら、いわゆる映画で言うところの「蒲田駅で死体が発見される」場面や「捜査会議」の場面での、前衛的な部分の演奏などもかなり興味深く聴き、見ることができた。

演奏もラストに近づき、まるで舞踊を踊っているかのような西本氏の指揮と、我賀英良の魂が乗り移ったかのような外山氏のピアノ、そして日本センチュリー交響楽団の演奏もクライマックスを迎える。

演奏が終わり、鳴り止まない拍手の中、何度も会場に深々と頭を下げる西本氏と外山氏。
さらに場内の拍手の音も大きくなる。
もうその時には、感動を通り越して軽い疲労感と多大な満足感にこちらも包まれていた。
隣で聴いていた母も、涙ぐみながら何度も拍手を送っていた。


じつに素晴らしいコンサートだった。
あえて注文を書くとすれば、MCがまったくなかったことか。
ただ、クラシックコンサートだとこういうスタイルなのかもしれない。
かえってMCを挟むと、全体のイメージが崩れてしまうかもしれないな。


コンサートとは別の点で気づいたことといえば、2階席に隣接するトイレの規模が小さいこと。
3階席にはトイレがないので、休憩時間には2階のトイレに人が殺到する。
しかも、女子トイレは4基しかないので、長蛇の列ができていた。
係員は「1階のトイレが広いのでそちらへお回りください」と何度も言っておられたが、足の悪い母のような方だと、1階へ行くのもまた困難である。
せめて、2階のトイレを増やしてもらうか、足の悪い方専用などの配慮がほしいところだ。
それ以外は申し分のない素晴らしいホールである。

あと、日本センチュリー交響楽団のフルートのパート、女性の方が2名担当されていたが、向かって右側の方、海外の方のようでジョディ・フォスターそっくりの美人だった(笑)


帰りの車中、「よかった、よかった」と、何度も言う母と共に、新世界の通天閣の横を走る高速道路を通過中、そういえばここも『砂の器』の舞台になった場所だったなぁ・・・と思いながら感動に包まれつつ帰路を急いだ。



今回の東京公演でのライブ・アルバム。
指揮:西本智実
ピアノ:外山啓介
演奏:日本フィルハーモニー交響楽団

「ピアノと管弦楽のための組曲『宿命』」と「弦楽のための三楽章」が収録されている。
リリースは7月23日だが、今回の大阪公演の際にロビーにて先行発売されていた。


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スナノウツワシュクメイ
「ピアノと管弦楽のための組曲『宿命』」。
『砂の器』(74)公開の翌年にリリースされた、「宿命」を組曲にアレンジしたLPレコードを86年にCD化したもの。

今年、オリジナルサウンドトラックがリリースされるまでは、このディスクがいわゆるサントラという立場にあった。

最初にCD化されたのは、このポリドールからリリースされたバージョン。
86年に初CD化後、廉価版となって95年に再リリースされている。

指揮:熊谷弘
ピアノ:菅野光亮
演奏:東京交響楽団


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スナノウツワ
『砂の器』(74)のサントラCD。

今年(2014年)、映画公開から40周年を記念してリリースされた、オリジナル・サウンドトラック音源のCD化。

これまで組曲としてアレンジされたものしか聴けなかったが、こちらはオリジナルサウンドトラックなので、映画音編で流れるスコアを可能な限り収録されている。

クライマックスを飾る「宿命」も幾つかのパートに分かれており、既発売盤の組曲と聴き比べするもの一興である。


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♪小林万里子ライブに行ってきました♪ 







6月15日(土)、阿倍野ロック食堂にて、念願の小林万里子さんのライブに初参加、もとい、初参戦してまいりました。


小林万里子(敬称略)と聞いて、どれだけの方がご存知でしょうか?
僕が中学生の頃、文化祭で先輩がバンドを組んで舞台上で演奏したのが「朝起きたら」というナンバー。

♪朝起きたら、男の態度が変わってた~~~♪

その時はいったい何を歌ってるのかその意味もよくわからなかったけど、けっこうウケていたと記憶しています。

それが小林万里子さんという方の歌だと知ったのは、それからずっとずっとずっと後のこと。
そして、その小林万里子さんという方が、他にどんなナンバーを歌っていたか、また、歌ったナンバーが放送禁止になったということも、同じ頃に知りました。

いまにして思えば、けっこう厳しいことでも有名だったうちの中学校で、よくもまぁ「朝起きたら」のようなナンバーを、しかも中学生が全校生徒の前で歌うことが許されたもんだ・・・。

その小林万里子さんが関西で地道にライブ活動をしていることも、いろんなところから伝え聞いてはいましたが、メディアで確認したのはたまたま観た読売テレビの深夜番組『ブラマヨ流』でした。
お笑いコンビ、ブラックマヨネーズが司会のバラエティ番組で、かれこれいまから10年近く前になると思うけど、その番組の中で彼らのテーマ曲を作る、みたいな企画があって、それをオファーされたのが小林万里子さんだったのです。

で、その時にできたナンバーは、彼女のアルバムにも収録されているし、ライブでの模様もYouTubeでアップされているのでお聴きただくのがよろしいでしょう。
とにかく、「ぶつぶつとハゲのブルース」というタイトルからして相当に強烈ですが、その内容は予想を上回るほどさらに強烈でございますよ。




さて、その小林万里子さん、上の動画でもお分かりのように、基本はブルース・シンガー。
その声量のほどは動画でもお分かりいただけると思います。
しかし、(しかし、ってこともないけど)そのヴォイスから紡ぎだされる歌の内容がとにかく驚天動地!!
ベースには反体制と女性問題があるのでしょうが、そこに時事ネタも盛り込みつつ、ふつうは人前でこんなこと言えませんわ、というようなことも、ドド~~~ンと歌い上げる。
個人的には右寄りな思想のある僕としては、彼女のナンバーの中には共感できないものもなくはないけど、それでも躊躇なしに歌い切るその姿勢は、ただただカッコいい。
そして、そこにエロネタをスパイス(このスパイスは往々にして激辛だが)として放り込む。その加減が絶妙なんですよ。

ゆえに、彼女の歌を放送媒体で聴くことは不可能に近いけど、それゆえライブは貴重なものとなってくるわけで。
一度はその毒に触れてみたい、いや、その魅力的な生ヴォイスを聴いてみたいと思いながらも、なかなか都合がつかなかったのが、その願いがようやく先週末、叶ったのです。


ライブ当日、生の彼女を目の当たりにして想像と大きく違って、じつに気さくなどこにでもいそうなオバちゃん、もとい、ご婦人だったことに驚き(驚くこたぁないけど)。
が、ひとたびライブが始まると、一気に小林万里子ワールドが展開!
そこから阿鼻叫喚の3時間が始まったのです。


ライブ内容は彼女自身が作詞作曲したものもあれば、既成曲に独自の詞をつけて(早い話が替え歌)歌うものとがミックスされた構成。
その間にもちろんMCもあるけど、これがまた普通に観客と会話する、そしてそれが熱を帯びる、てなことでどんどんMCの時間が延びる延びる(笑)

印象深いナンバーもいくつかあって、たとえば某金融会社のCMでそれまでベテラン女優がでていたのが、いつのまにやら若い女優に交代になった件に女性問題を絡めた「●●ッ●のテーマ」(敢えて伏字にしておきます)。
これをそのCMで使われている「ソー・マッチ・イン・ラブ」のメロディで歌うものだから抱腹絶倒。

ほかにもホイットニー・ヒューストンの転落人生を「アイ・ウィル・オールウェイ・ラヴズ・ユー」のメロディで。

さらに、大阪にある某テーマパークに隠された恐るべき事実を歌い上げた「●●Jのテーマ」(敢えて伏字にしておきます)。これをマンハッタン・トランスファーの「トワイライト・ゾーン」(トワイライト・パスに絡めて)のメロディで。

他にも某凶悪殺人事件の犯人が刑務所から出てきて、のうのうと生きているという社会の矛盾を、あの「ド・レ・ミの歌」に乗せて歌ったナンバーなどなど、映画音楽ファンとしても微妙ではあったがなんとも嬉しい選曲(嬉しいか?)にも満足満足。


そうそう、忘れちゃならないのが、小林万里子さんとともにステージで演奏を披露する鷲尾悠持郎さん。
ライブ中はギターとコーラスに徹してらっしゃるが、唯一オリジナル曲だという「あかし」というナンバーを披露された。
これがじつに名曲。自身の友人の結婚式のために作ったということだそうだけど、歌詞の内容に深くこだわらなければ(笑)、結婚式ソングとしてもブレイクしてもおかしくない(こちらもYouTubeで鑑賞可能)。




そうそう、ライブの途中で、小林万里子さん本人が傷害事件の被害者になった体験から、警察に対する不満をぶつけたナンバーを披露。
その後、突然外から警官がやってくるという、ハプニング(ひょっとして歌が外に聞こえて、それに対する国家権力の弾圧か?)と会場内は一瞬騒然となりましたが、まったく別件だったことに場内は和む(笑)


とにかく、日頃から僕自身も矛盾に思っていることを、次々と歌われていくことに対する爽快感(歌詞の内容は爽快とは程遠いけれど)たるや!!
今回はやっぱりというか、某市長の問題発言はもとより、その人物のこれまでの政策に対する批判がけっこう多く、それについても逐一共感する部分も多くて、なんだかたまっている鬱憤が発散されたよう。

ゆえに、小林万里子さんのライブは、リハビリ&リラクゼーション効果もあることを実感しました。

相当にひねくれたリハビリ&リラクゼーションではあるけれど(笑)

また、心身ともに疲れた時には、小林万里子さんのライブで癒されに行こう。
あ、あくまで極々個人的な感想ですので、ライブを鑑賞したところ、癒されるどころかより症状が悪化したとしても、当方は一切関知いたしませんので、ご参考まで。


最後にこんなナンバーも。



※これもライブで歌ってらっしゃいましたよ(笑)※



コバヤシマリコファーストアルバム
『ファースト・アルバム』。

81年にリリースされた、文字通り小林万里子のファーストアルバム。
ちなみにプロデュースは井上陽水。

なんやかんや諸事情があって永らく廃盤となっていたが、2003年にCDとして復刻(追加音源あり)。



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コバヤシマリコアサオキタラ
『朝起きたら・・・』。

2011年にリリースされた、現在のところ小林万里子の最新アルバム。

歌詞の内容はともかく、音楽的にもバージョン・アップしている。


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