■『ツイン・ピークス:序章』■(ブルーレイ) 







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アメリカ本国で『ツイン・ピークス』の新シリーズが25年ぶりにオンエアされた。
それに伴い、カンヌ映画祭ではその中の2エピソードが特別上映されたりとか、なにかと話題に事欠かない。

リンチストとでもあり、かつての呼び名ではピーカーだった(今もそうだが)僕としては、一刻も早くその新シリーズを観たいのはやまやまなれど・・・。
日本では25年前と同じく某衛星放送会社が放映権を持っていて、加盟していれば2か月後の7月には観ることができるようだ。
しかし、いまだに部屋のTVが「地上波」の僕としては(いえいえ、茶の間のTVはちゃんと地デジでございますよ)、いずれソフト化されるまでは、はやる気持ちを抑えつつ気長に待つしかない状態である。

そのはやる気持ちを抑えるには、今こそ旧シリーズを観直すのが一番!!

ってなことで、2年前に旧シリーズ全話+劇場版をすべて網羅したブルーレイBOXセットを購入したはいいが、なかなか観る機会が無くて、すっかり部屋のディスプレイの一つに鎮座していたわけで。

今こそこれを紐解き、25年前に抱いていたドキドキ・ワクワク感を蘇らせつつ、観直していこうと思った次第。

な~~~に、毎日1エピソードなんて到底こなせないし、全話観終わる頃には新シリーズも観ることが可能になっているんじゃないか、という淡い期待を抱きつつ・・・。

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25年前、すでに『エレファント・マン』(80)、『デューン砂の惑星』(84)の洗礼を受けて、デイヴィッド・リンチという稀有な監督に魅せられていた僕は『ブルー・ベルベット』(86)で決定的にノックアウトされていた。

シネマライズ渋谷で上映されていた際には、初日に観に行って衝撃を受け、その後2~3度通ったものだった。
その後、SHVからビデオ・ソフトがリリースされるや(当時は15000円くらいしたね)、即購入しては毎晩部屋のBGM代わりに流していたような次第。

まさにリンチ中毒になっていたわけだが、そんな頃にリンチが新作を作った、という具体的な話題を知ったのは、日テレ系の深夜番組「11PM」だったか。

今は亡き、今野雄二氏の解説で映像を伴って紹介されたのが、その新作である『ツイン・ピークス』だった。

ただ、映画ではなくTVドラマシリーズというのが、ちょっとネックに思えた。
それまでのリンチ作品にあったような「毒」が、TVドラマということで薄れてやしないか?
そして、映画ならば公開されれば映画館で観ることができるが、TVドラマとなると果たして日本でまともに観ることができるのだろうか? という懸念があった。

実際に作品を観ることができたのはWHVからリリースされた「序章」のビデオソフトだった。
もちろん、リリース当日に秋葉原の石丸電気でソフトを購入し、初めて『TP』に触れたその時の衝撃たるや・・・。

その後、シリーズ自体、本国はもちろん、日本でも大ブームを巻き起こしたことは、いまも覚えてらっしゃる方も多いと思う。
なにしろ、ジョージアの缶コーヒーのCMにまで、カイル・マクラクランが登場したり、劇場版である『ローラ・パーマー最後の七日間』が封切られることには、新宿アルタ前でローラ・パーマーの公開葬儀まで開催されるほどだった(もちろん、参列したよ)。

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ローラ・パーマー(シェリル・リー)の遺体が発見されたのは、アメリカとカナダの国境に近い町、ツイン・ピークスでのことだった。

町の高校一の美女であり、ボランティア活動にも参加し、誰からも愛されていたローラだったが、遺体は暴行を受け全裸のままビニールシートで包まれるという、異様なものだった。
遺体を発見したのは町の巨大な製材会社、パッカード製材所の従業員ピート(ジャック・ナンス)。

ピートを演じるジャック・ナンスは、リンチの長編第1作『イレイザーヘッド』(77)で主役を務めて以降、『エレファント・マン』を除くリンチ作品の常連で、不慮の事故で亡くなるまでまさにリンチ作品の顔でもあった。


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時を同じくして、パッカード製材所の従業員の娘で女子高生ロネットも行方不明になっていたが、彼女は監禁されていた場所から自力で逃げ出したところを保護される。

町の保安官トルーマン(マイケル・オントキーン)による捜査が始まり、ローラとロネットが暴行を受けたであろう場所も発見されるが、犯人につながる有力な決め手が見つからない。

トルーマンの部下のアンディ(ハリー・ゴアズ)が、遺体を見ると泣きだしてしまう性格だったり、保安官事務所の受付係で、超天然なルーシー(キミ-・ロバートソン)はアンディと付き合っていたりと、このあたりのキャラクターの書き込みも本筋とは関係ないが、かなり深く描かれているのが面白い。

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ローラ達が暴行を受けたとされる廃車両のなかには、奇妙な盛り土がしてあり、その上に、

「Fire walk with me (火よ、我とともに歩め!)」 

と書かれた紙片が置かれているのが発見される。

しかし、それがいったい何を意味するのか、その時点では誰にもわからない。

この言葉は後々いろんなところで登場し、さらには劇場版のタイトルがこれを引用したものであることは周知のとおり。

ちなみに、ブルーレイBOXセットには、おまけとして、この紙片がついているのがご愛敬(笑)
新シリーズが始まったのを機に、ブルーレイBOXセットが、劇場版を外した内容で廉価版にて再発されるようだが、この紙片のおまけはついてないんだろうなぁ・・・。

リンチの演出は、この「序章」から大全開!!

特に、ローラの死を告げられた彼女の母セーラ(グレイス・ザブリスキー)が、悲しみで嗚咽する様をねちっこく延々と映し出すという、観ている者の心をえぐるような演出は、リンチの真骨頂だ。

さらに、ローラの父、リーランド(レイ・ワイズ)が、彼が務める観光ホテル「グレート・ノーザン」へローラの訃報を伝えにやってくるトルーマンの姿におののく姿であったり、ローラの通う高校で、校長から校内放送を通じてローラの死を伝えられる際の、ドナ(ララ・フリン・ボイル)、ジェームズ(ジェームズ・マーシャル)、オードリー(シェリリン・フェン)たち同級生たちの動揺など、リンチの演出はますます冴えわたる。

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そうこうしているうちに、やっと登場するのがFBI捜査官のクーパー(カイル・マクラクラン)。

『~砂の惑星』、『ブルーベルベット』に続き、ジャック・ナンス同様、すでにリンチ作品の「顔」でもあったマクラクランの出現で、物語はさらに面白さを帯びてくる。

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クーパー捜査官はモルグに安置されたローラの遺体の親指の爪の下から、小さな紙片を見つける。
どうやら、ローラの死は、1年前に他の町で起こった、テレサ・パンクス殺害事件と関連があるようだ。

この遺体の爪の間にピンセットを突っ込むなんて描写は、まぁ観ているだけで痛いシーン、いわゆる生理的嫌悪感100%な場面なんだけど、こういうところもリンチらしいといえばリンチらしい。

ちなみに、『TP』のビデオが日本でリリースされた当時、リンチの劇場作品の新作であった『ワイルド・アット・ハート』(90)のプロモーションも兼ねた、リンチ自身による絵画の個展が、当時表参道にあった東高現代美術館で開催された。

リンチ自身来日してのトーク・ショーも行われたのだが(もちろん、駆けつけましたよ)、その際のティーチ・インで

「何をしている時に快感を感じますか?」

みたいな質問が会場から上がり、それに対して、

「親指の爪を横からギュッと押す時」

とリンチは答えたものだった。
(あと、ワイシャツのボタンを一番上まできちっと留めた時、なんて回答もしてたっけ)

ほんとに、リンチらしい回答だが、爪云々に関することは、おそらく『TP』を意識してのことだったんだろうな。
あるいは、本当に常々そんなことを思っていて、それをドラマに用いたというとだったのかも・・・。



さて、クーパーはトルーマンと共に、ローラ殺害の容疑者として補導されていた、ボビー(ダナ・アシュブルック)の事情聴取を行う。
素行が悪いうえに、ローラと付き合っていたというから最も怪しい人物なんだが、クーパーはあっさり彼をシロだとして釈放するのだった。

しかも、捜査の中で、ローラの裏の顔が徐々に見えてくる。
彼女の貸金庫から出てきたのは売春情報が掲載されているアダルト誌、大量のお金、そしてコカインが入っている袋・・・。
いったいローラという少女の本当の顔とは・・・?

その後、ローラの遺体が見つかる前夜、彼女と最後に会っていたのはジェームスだということがわかってくる。

二人がひそかに付き合っていることを知っていたドナは、ジェームズからローラが亡くなる前夜の彼女の異様な様子を聞かされる。
そして、ハート形のネックレス(半分に割れるようになっており、半分はジェームズが、半分はローラが持っている)を、ドナと共に埋めるのだった。

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「序章」はこの後、娘を亡くし憔悴したセーラが、何かにおののく姿と、ジェームズたちが埋めたハートのネックレスを、誰かが掘り出す場面が映し出されて終わる。

とにかく、このセーラを演じるグレイス・ザブリスキーの「顔芸」が、この「序章」における真骨頂かと。
「顔芸」なんて書いたけど、とにかくこの方の驚愕の表情はインパクト大。

もちろん、リンチの演出ゆえのことだろうし、続く『ワイルド・アット・ハート』でも素晴らしい「顔芸」(笑)を披露している。
『インランド・エンパイア』では、この方が登場しただけで場内から笑いが起こったものだ(それって失礼やろ)。

本作のことを考えれば、愛する娘を亡くした母ということで、その悲しみに対するリンチなりの表現であり演出なわけだが、それを受けて立ったグレイス・ザブリスキーの素晴らしさをあらためて実感。
25年ぶりの新シリーズでも、同じくセーラ役で登場ということなので、こういうところも期待度が高まってくるというものだ。

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さて、監督したリンチとプロデュースしたマーク・フロストが本作を製作するにあたって、製作費を捻出するためにワーナーホームビデオとの間に、アメリカ本国以外ではビデオを売らんがために、TVシリーズのパイロット版ではなく、1本の独立した作品として仕上げるよう契約が交わされていた。

従って、アメリカ本国では上記の「ネックレスを誰かが拾う」シーンで、「第1話に続く」という形になるのだが、当時日本でリリースされたビデオ・ソフトには、その後30分の「完結編」にあたるエピソードが盛り込まれている。

これが当時としては、アメリカ本国では観ることのできなかった「幻の30分」だった。
その後、DVD化された際にその映像も収録され、本国のファンもようやく観ることが可能になった。
ということは、逆に日本では観れなかった本来の姿の「序章」のラストを観ることができたのもまた、DVD化されたからだった。

当時、「序章」はワーナーホームビデオから、それに続く「第1話」以降は、アミューズからビデオリリースということで、まったく発売元が違っていたので、本来の形の「序章」は観ることができなかったのである。

まぁ、もっとも某衛星放送に加入していた方は観ることは可能だったのかもしれないけれど。

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その、「幻の30分」だが、セーラはローラの遺体が発見された日の朝、ローラが彼女の部屋から起きてこないので、部屋を覗き込むが、そこに娘の姿はなかったことを回想するのだが、と同時にローラの部屋に不審な人物がいたことを思い出す。

それが後々、エピソードに登場してくるボブ(フランク・シルヴァ)という謎の男。
「幻の30分」、それまで劇中にまったく登場しなかったこのボブという男の独壇場になってくる。

ボブを演じるフランク・シルヴァという人物は、確か俳優ではなくドラマの大道具スタッフだったはず。
面白いのは、セーラがおののく場面の写真の右上、注目してもらえばわかるように、鏡にこのフランク・シルヴァの姿が映り込んでしまっている。

これは、確かなことはわからないが、演出ではなく、たまたま映り込んでしまったもののようで。
これを機にリンチは物語に彼を無理矢理導入したようだ。

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彼を導入するってんで、わざわざボブがローラのベッド脇からこちらを覗いているショットまで撮り直している。

このシーンは、グレイス・サブリスキーの顔芸とあいまって、むちゃくちゃおっそろしい場面になっておりインパクト大!!


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時同じくして、保安官事務所にマイク(アル・ストロベル)と名乗る男から通報が。
ローラを殺害した犯人、ボブがモルグの地下にいるというのだ。

クーパーとトルーマンはモルグに直行する。
そこには、それまで劇中1シーンのみ登場した片腕の男マイクがいた。
彼は長年ボブを追っており、ようやくその場を突き止めた、みたいなことをクーパーたちに語る。

そして、ローラ達が暴行された現場に残っていた紙片に書いてあった言葉、

「Fire walk with me (火よ、我とともに歩め!)」 

をいきなり喋ったりするわけで。

まぁ、なにしろ事件の犯人はボブだ、っちゅうことで押し通さなくちゃいけないんで、この際、辻褄が合ってないなんて関係ない・・・(笑)

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はたして、モルグの地下では、ボブが地べたにローソクを並べて、なんだかよくわかんない儀式みたいなのをしている。

マイクはボブを撃ち殺そうとするが、突然発作で倒れてしまう。
結局、クーパーとトルーマンに射殺されるボブ。

事件は一件落着・・・のはずだったが・・・。







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いきなり物語は25年後へ。

ここからがいわゆる『TP』の真骨頂なわけだが、謎の赤い部屋に年老いたクーパー。
その隣には、謎の小っちゃいおっちゃん(マイケル・アンダーソン)。
さらにその隣には、死んだはずのローラが。






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小っちゃいおっちゃんはクーパーに、

「あんたの好きなガムが、また流行る」

と、中島みゆきの「りばいばる」の一節みたいなセリフをのたまう。

この25年後というのが、今年なわけで最初から新シリーズを2017年に作るなんてことは、この当時は思っちゃいなかったんだろ
うな。

でも、それを考えると、なんで25年なんだろう?
その25年という数字は、どこから来たものなんだろう?

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おもむろに流れてくるアンジェロ・バダラメンティによるアンニュイなスコアに乗って、小っちゃいおっちゃんがクネクネ踊りだす。

この小っちゃいおっちゃんを演じるマイケル・J・アンダーソンという方の経歴はよくわかんないんだけど、リンチが90年当時に演出した舞台でも、ダンスを披露していたり、『マルホランド・ドライブ』(01)にも出演していた。

『TP』では、赤い部屋での人物は、みんなセリフを逆再生で収録されていて、このあたりの演出もリンチの真骨頂かと思うが、この「幻の30分」の最後は、あまりにシュール過ぎて初見の際には大変困惑したものだった。

実際この赤い部屋の場面は、のちのエピソード用に撮影されたものを無理矢理くっつけたので、余計に混乱を招くが、逆にそれが『TP』全体を表現する不条理さを加速させるに十分なものであり、それゆえ『TP』という作品の本質が、ここにあるといっても過言ではない。

もっとも、なにを言いたいのかよくわかんないエピソード(笑)だが、まさにリンチの力業というべきだろう。

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そして、ローラはクーパーに耳元で何かをささやくところで、この「幻の30分」は終わる。

彼女はいったいクーパーに何を語ったんだろう?

「こんなもっともらしい顔して演技してるけど、私にもいったい何をやってんのか、さっぱりわかんないのよ」

とでも言ってるんだろうか?(笑)


この「幻の30分」が収録された、いわゆるインターナショナル版の「序章」のビデオも、当時は『ブルーベルベット』のビデオと同様ことあるごとに観ていたものだが、25年経って観直してみても一切色あせていないのが見事だ。

そして、『TP』の主要人物のほとんどが、この「序章」に登場しており、それぞれの関係もさりげなく描かれていて、この「序章」だけである程度の相関図が書けるくらいに人間関係は入り組んでいるが、キャラクターが際立っているので混乱することはない。

ローラという一人の少女の死をきっかけに、想像もつかない物語が展開していき、驚愕のラストを迎えることになるのだが、25年前に「序章」のビデオを観て、狐につままれた思いだった当時の僕には、そんなことは知る由もなかったのだった。

《以下、第1章につづく》



◆『ゲスト』◆(DVD) 


ゲスト
『箪笥』(03)を観た時は、とにかく衝撃的でした。

それまで『シュリ』(99)『カル』(99)で、韓国映画のパワーを実感してはいましたが、それらを凌駕するほどの内容にただただ驚愕したものです。
美しい姉妹の周辺で起こる不可解な出来事。
ホラー映画でありながら詩情あふれる映像音楽。
そして、壮大なカタルシスに包まれるエンディング。

とりわけ、驚愕のクライマックスに度胆を抜かれたの僕だけではないでしょう。


その証拠に、日本で公開された時にはすでに「史上最高額でリメイク権をとった」という、ドリームワークスの名前も華々しく踊っていたものです。

しかし、それから幾星霜、とんと『箪笥』のハリウッド・リメイクが公開されたって話を聞かないなぁ、と思いきや、とうにアメリカでは公開され、日本ではDVDスルー・・・。

「史上最高額」という鳴り物は鳴りをひそめてしまったわけですな。


本作にハリウッド、とりわけドリームワークスが目をつけたのは、おそらくはあのクライマックスのくだりでしょう。
先にも書いたように、あれには僕も驚かされたし、ハリウッドの連中も「スゴイのを観たなぁ」と思ったことは想像に難くない。
実際に、本作もオリジナルと基本的にはストーリーは同じだし、肝心のクライマックスもオリジナルを踏襲しています。

だから、仮にオリジナルを観てなくて、本作を初めて観た方には、そのあたりのことは十分堪能すること請け合いな作りになってはいるものの、そこへ到達するまでの部分は、いかにもハリウッドらしいなぁ、と思わざるを得ない改変がなされています。
その改変も、結果的にプラスになっていればよいのですが、少なくともオリジナルを知っている(そしてそれに惚れ込んでいる)者としては、残念ながら辛口な感想を述べてしまわざるをえないのです。
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◆『チェイサー』◆(DVD) 


チェイサー
2009年度は映画館で111本の映画を鑑賞しました、というのは普通の人(なにをもって普通とするかの基準は曖昧なれど)に比べりゃ多いほうだとは思うのですが、それでも残念ながら観逃がしてしまった作品もあるわけで。

嗚呼、あんな映画(具体的なタイトルは挙げませんけどね)を観るくらいなら、なんでこれを観なかったんだろう・・・と後悔することは、毎年のようにありまして、2009年度でいえば『愛のむきだし』がそうだったし、今回観た韓国映画『チェイサー』もそう。
おそらく、両者とも劇場で観ていたならば、ベスト10の順位は多少なりとも変わっていたことと思います。

で、この『チェイサー』、ストーリーの元となったのは2004年に韓国で起こった「ユ・ヨンチョル事件」。
1年足らずの間に30人以上も殺人を犯した最悪かつ凶悪な事件で、詳細については検索をかければいろいろ詳しいことを教えてくれますのでそちらを参考していただくとして、犯人であるユ・ヨンチョルが警官に連行される際に、被害者の遺族が彼に殴りかかってい映像を、日本のニュース番組でも流れていたのをたまたま観たことがあって、「ああ、あの事件の映画化なのか!」と。

ただ、実録モノではなく、あくまでストーリーのモデルということなので、映画と実際の事件の顛末とは若干違いがあるようです。
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◆『オカルト』◆(DVD) 


オカルト
昨年(2009年)は、一年の間に4本も監督作品が公開されるという、じつに精力的な活動をされている白石晃士監督。
その中の1本である『グロテスク』(09)は、イギリスでDVDが発禁扱いになったなんてニュースが一般紙に掲載されるなど、記事の内容がどうであれ日本に白石晃士あり! とその名が知れ渡ったのは、映画監督としては「おいしい話」だったんじゃないかな、なんて無責任なことを思ったりするわけで。

さて、その白石監督が『グロテスク』と同じく2009年に発表したのが、今回観た『オカルト』。
内容は同監督が2005年に発表した『ノロイ』(05)と同じくフェイク・ドキュメンタリー。
本作に限らず、レンタル・ショップに行くとそれこそ何作ものこの手の作品が並んでおりまして、こういうジャンルが好きな僕でもなにから手を出せばよいのやら迷ってしまいます。
明らかに、仕上がりがチャチそうだなぁ、という匂いがジャケットから伝わってくるものが多い中で、それでも『ノロイ』なんて作品は劇場公開された作品でもありますし、それなりのクオリティもあるので、この手の作品をチョイスするのに迷ってらっしゃる方は、ぜひご覧になるとよいでしょう。

奇しくも、昨年末には『フォース・カインド』が公開されたり、この週末からは『パラノーマル・アクティビティ』が公開されて、いずれもマスコミが大きく取り上げるなど、フェイク・ドキュメンタリーが静かなブームになりつつある予感がしないでもないですが、まぁ、この手の波ってのは今に始まったことじゃありませんし、なんだか周期的にブームが到来しているようなそんな感じがいたします。

世界的に不況が続く昨今、日常の中に潜む異常、しかも極めてリアルな異常を目の当たりにすることで、現実逃避したい人々が増えるという説もあるようですが、僕自身は単に人間誰しも持っているだろう「コワいもの見たさ」な部分を刺激する要素がある。
ということはホラー映画と本質は同じなんだけれども、はなっから「胡散臭さ」がぷんぷん漂っているんだけれど、フェイクとはいえドキュメンタリーの手法をとることで「胡散臭さ」のなかにも「さもありなん」と思わせる信憑性っていうんでしょうか、それが「コワいもの見たさ」な部分を、たとえばホラー映画の1.5倍程度増量して刺激するからこそ、人々は飛びつくんじゃないのかな、なんて思うわけなんであります。


で、なんの話だったっけ?
あ、そうそう、白石監督の『ノロイ』はそんなフェイク・ドキュメンタリーの王道を行くような作品でありまして、王道を行くからこそ懲りすぎたきらいがあって、それゆえちょいと残念な仕上がりになっておりました。
それについては映画を観た当時に、ミクシィのレビューでダラダラ書き連ねたのでいまさら蒸し返すつもりはありませんが、そこで今回の『オカルト』ですよ。
同じ監督だし、おそらく『ノロイ』と同工異曲な内容だろう。
どうせ二番煎じみたいな仕上がりだろうな、と思いつつ、それでもなぜかこの監督の作品には惹かれるものがありまして、早速拝見いたしました。
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◆『女教師 少年狩り』◆(ビデオ) 


オンナキョウシショウネンガリ
僕が小学生の頃からにっかつロマンポルノを劇場で観ていた(そればっかりじゃないですよ)というのは、『女教師』のレビューのところでも書きましたが、そのなかで長年それがなんという作品なのかわからなかったものがありまして。
やはり『女教師』と同じく、学校が舞台でやっぱり教師が生徒たちにご無体なことをされるという作品だったのです。てっきり、それが田中登監督の『女教師』だと思っていたんですが、後年、『女教師』を観たら「あ、違うわ」って。

学校の屋上で女性教師が数人の生徒に襲われる。
そこに叙情的なフォーク・ソングが流れる。

それが強烈に印象深くって、さらにラストシーンではその教師の結婚式に、生徒の一人がナイフを持って乗り込んでくるというのも強烈でした。
あれは一体何という映画だったんだろう? とウン十年間謎のままだったのですが、ひょんなことからこの年末にそれがようやく判明したのでした。
75年に作られた『女教師 少年狩り』(なんちゅうタイトルだ)という作品がそれ。
監督はにっかつロマンポルノでも数多くの作品を撮っている小沼勝。

主演はひろみ麻耶。70年代にロマンポルノに数多く出てましたし、東映の作品でもよく出てましたな。
彼女が出た『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』(77)は、カルト映画ファンには有名な一本ですが、残念ながら僕は未見なんですよ。なぜかアメリカではDVDが出てるのにねぇ。

ま、それはともかくとして、にっかつロマンポルノの女教師ものって、『女教師』が最初かと思ったら、それ以前から作られていたんですねぇ・・・。
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